| GENE KRUPA “The Gene Krupa Sextet #3” | - 2025/09/04
- GENE KRUPA “The Gene Krupa Sextet #3” Clef MGC-631
最近はあまり見なくなった、ちょっと珍しいアルバムで、ジーン・クルーパのリーダー作。 テディ・ウイルソンの静かなピアノから始まるのも素敵。 ノーマングランツが集めたメンバーは、Gene Krupa(d), Bill Harris(tb), Charlie Shavers(tp), Eddie Davis(ts), Ray Brown(b), Teddy Wilson(p)というセクステット。 当然、聴く前からワクワクする。 ラベルに記載はあるが、裏のライナーにはBallad Medleyとしか書かれていないので書き出す。 1.,Dancing In The Dark(Teddy Wilsonフィーチャー), 2. The Nearness Of You( Bill Harrisフィーチャー)、3. You Are Too Beautiful(Eddie Davisフィーチャー)、4.Tenderly(Ray Brownフィーチャー), 5. Autumn In New York( Charlie Shaversフィーチャー), 6. Who's Rhythm というA面の順番である。続きのB面はライナー記載通り。 みな実力通りの素晴らしい演奏。言う事無し! 彼は、決して派手に叩き過ぎないが、デキシーからの人なのにどこかモダンな雰囲気も漂い、聴いていて決して古臭くない。 良いねえ!と唸ってしまう。
彼はモダンになる以前のジャズドラマーとして、長い歴史を持つ。 大体モダン・ジャズの演奏家達は1920年代からの世代になるが、彼は1909年生まれであって、当然スイング世代でもある。 そして、何より彼がジャズドラマーとして記憶にとどめるのは、あの1938年ベニー・グッドマンのカーネギーホール・コンサートにおいて、中心的メンバーであった事である。 あの時の象徴的な演奏Sing, Sing, Singは、まず彼のドラムの響きから幕を開けたのである。その後の快演は、何度も書いて来たので、止む無くここでは省く。しかし、開始のドラミングの音は私の脳裏から死ぬまで離れないであろう。
彼は独学でドラマーを覚え、高い能力で当時のルイ・アームストロング、ベイビー・ドッズ、ズティ・シングルトン、エディ・コンドン、レッド・ニコルズなどの有名バンドを渡り歩き、デキシースタイルのドラマーの第一人者として名を馳せた。そして憧れのベニー・グッドマン楽団に誘われ、やがて38年のカーネギーホールの世紀のジャズコンサートに出演を果たす。所が彼はカーネギーホールのコンサートの後、間もなく退団する。 折り合いは良くなかったし、自身の楽団を作る為である。 彼のディスコグラフィーを調べると、30年代から40年代初めまで、非常に仕事量が多かった事が伺える。
さて、もう一つ話、彼は1943年、大麻所持で懲役刑を受け、オーケストラは解散した。話を聞いた元妻のエセルは、離婚で貰った慰謝料10万ドルの小切手をそっくりそのまま支払い助けた、という噂があった。 こういう話も、また彼に好感を持ってしまう。
*販売済です
|
|