HAL'S DIARY
オーナーのひとりごと。買付けの裏日記など。
きまぐれに更新しています。

前ページTOPページ次ページHOMEページ

お彼岸過ぎても
2012/03/24

お彼岸を過ぎて、これほど寒いのも珍しい。
寒さが苦手なので毎日が憂鬱だ。

春が来ない。

HARRY SWEETS EDISON
2012/03/22

Harry "Sweets" Edison “SWEETS” CLEF MGC-717 USA

あだ名の「スィーツ」とはLESTER YOUNGが名付けた。
レコードを聴けば、甘いケーキを連想させてくれる、スィーツと呼ぶにふさわしいミュートを付けた、優しい音色である。

ジャケットをみれば大きなテーブルにトランペットを立てその奥に彼が頬杖を付いて少し笑っている。トランペットは名器セルマーであろうか。派手な柄の開襟シャツをはだけている。
腕には良さそうな時計が巻かれ、小指の指輪と首にぶら下がったアクセサリーで飾っている。当時の姿が写っている写真集などを見ると、髪をポマードで伸ばしてピタッと撫で付けているので、こうして考えると中々の伊達男だった事が伺える。これぞちょい悪親父の粋な姿である。ベイシー時代はこれでツアーの行く先々で随分女にモテたに違いない。
彼の事をスィーツと呼んだのはLester Youngらしいが、確証はない。ただレスターが付けたと言った方が見栄えが良いのでそれでよい。

37年から50年までの13年間の長きに渡ってCount Basie楽団に在籍し、そのスタープレイヤーとしての地位を築いた彼が、Johnny Hodgesの例と同様にNorman Granzにそそのかされたかどうかは分からないが、ともかく退団しJ.A.T.P.に参加する。
その後はウエスト・コーストで音楽活動をしていた。
ラスベガスなどでも演奏していたようで、私が買付で何回かお邪魔したラスベガスに住んでいる年配のマニアが、何度も演奏を聴いて、「スイーツだ、スイーツなんだよ、忘れられない甘いサウンドだった」と言っていた。
確かに耳触りの良い心地良さがある。

この作品は56年、 Ben Websterとの共演で、ムード・テナーとスィーツ・トランペットのサウンドがより全面に出ていて、更にその柔らかなサウンドをBarney Kesselのギターが支えるしくみである。
タイトルもそのものずばり「SWEETS」と押し出した名盤である。

バーブ・レコードの演奏はハードバップの熱気やパワーは無いが、どれも上品で楽しくて、心が和む。ジャズとはこうやって楽しむものだという見本である。
スイング、中間派そしてモダンジャズの気持ちよさが堪能できる。
好きな一枚である。

お彼岸
2012/03/20

道路を歩いていると墓参りに来た老人たちの乗った車が行きかっている。
年に一番、あらゆる道路が混雑する日で、私はこの日だけは車で出掛けない事にしている。
いらいらするから。

また新宿区も山手線の内側に来るとお寺がいっぱいあって、隣同士、裏と裏でつながる程お寺が多い。

横と横、裏と裏といえば、エリントンとホッジスの「SIDE BY SIDE」と「BACK TO BACK」を思い出す。
聴きたいな。
ま、それはいずれ、と置いといて。

昼間から墓参りの家族連れの賑やかな声も聞こえる。
甲高い子供の声も響く。
春が来たと感じる時だ。


九九数え 得意な声に 春一番

マシン
2012/03/19

数日前のオーディオ続き。
超マニアのHさんとショップの方と、散々試した後、盛り上がってしまいそのままファミレスに行き、結局深夜1時までは話し込んでしまった。
女子会レベルだったかも。

そこで高性能のオーディオ・システムとはどういう物なのかというと「揃っている」という事が一つの要素だと結論になった。
スピーカー・ユニットの左右のスペックを揃えることの困難さ。
アンプの真空管、トランスなど厳密に左右を揃える大変さ。
本当に揃ったときの音は鳥肌が立つと聞いた。

そうすると高性能の第一歩は揃うという事に尽きる。
そう言えば、車のエンジンも、良く回るエンジンはピストンが揃っているという話がある。
ピストンの長さ、重量、バランスが企業の規格の中にありながら、更に最高の水準で揃ったものがあるらしい。
それが駄目なパーツが一つあると、そっちに性能が引っ張られてしまうものらしい。
その話題は評論家の福野礼一郎の車の本にも出て来る。

勿論個々の素材・造りが良くなくては話にならないが、多分、多くはそうなのかもしれない、と思った。
マニアの世界は深い。

燃費訴訟
2012/03/18

ニュースから
米国で、ホンダの2003〜9年のハイブリッド車の燃費が広告より悪いとして、所有者20万人が損害賠償集団訴訟し、結局ホンダが敗訴。総額140億円の支払いを命じられた。
驚いたが、こういう事が本当に起こるのだ。
ホンダだけにこういう問題が降りかかったとは、はやり苛められるとすぐに金を払いそうな弱いヤツと、見切った上での訴訟だと思うが、なんだか日本も甘く見られたものだと気分が悪い。
憎っくきアメリカめ。
今後、日本企業がターゲットに、こういういじめのような訴訟が増えそうだ。
しかしトヨタのハイブリットの時と言い、日本は弱いな。
頑張れ日本!

それはそれで話は変わって、自動車のカタログのスペックと言うのは実際の数値と比較すると、とても甘い。特にその中でも異なるのが「馬力」と「燃費」。
両方とも最高の状態の時に計測したという事を我々日本人は納得しているので、クレームをつけることはない。もちろん外車とて同じ事である。
馬力など実際に計測に行くと、ポルシェでも381馬力だと掲載されていても340馬力なんて事が普通にある。フェラーリなんかでも計測したら馬が何十頭も消えていたと、仲間内で笑い話になったくらい。
燃費も当然で、絶対にカタログ数値に到達することはない。

そんな甘い自動車業界のパンフレット・カタログだが、消費者センター等からも指導が入ったという話は聞かない。
私が旅行会社にいた時に、旅行パンフレットに、ホテルの海側が玄関なので、正面写真を掲載したら、実際の宿泊は海側でないからと、そんなちょっとの違いでも消費者センターから鬼の首でも取ったかの勢いで「誇大広告」と指導が入ったものだが、自動車のCMにおいてもとんでもない誇大代広告の宣伝があるが、それでもCMが中止になった話は聞かない。
そういう仕組みなのだろうと思っていたら、遂に出た。

普通、我々が買い物と言えば、洋服なら試着して購入するのが当たり前、購入するものを選択することが出来る。ところが車だけは、それが出来ない。
実際、個体差は非常に大きいので、ディーラーに行って、この新車の馬力を今計ってなどという話は聞かないし出来ない。実は個人的にはそうしたくてウズウズしている。なので、私などは良いエンジンに当たろうと思うと中古車から選択することになる。
そういう意味では、自動車業界は恵まれている環境にいる。

最近のCMでも燃費、燃費と燃費合戦をするならもっとシビアな数値を出して欲しい。
一般の運転手を乗せて、街中と高速道路と両方計測しようよ。
ホント。

ツィーター検討
2012/03/17

先日スピーカーの話を書いた。
ドイツの古い「Klang Film KL-L307」というフルレンジのスピーカー。

セットするときに、一緒に運び込まれたツイーターがある。
JBLの名機と呼ばれる「LE20」と同じく同社の「075」。

まずLE20を二本セットして試聴。
正直にいうと、ツイ−ターを付けた音がそれほど良くなった感じがないのでこれは却下。
良いツイ−ターなのだが、マッチしない事もある。フルレンジで十分と判断。

次に075。だが見ると一本しかない。
この075は購入の際すでに一本しかなかったという事で、製造番号は3桁で非常に古い初期モデル、16オームの金属加工もきれいでツルツルしていて良い仕上がり。
せっかくなので、一本でも実験してみることにして、片方のスピーカーに接続し、ツーターは両方のスピーカーの真ん中にセット。
ところがこれが不思議なことに、実にキラびやかで、明るさが出ている。

次に同じく075だが製造番号38000番台のを二本セットして試聴。
二本揃っていたし、明るさが出た。 バランスが良いし、フルレンジを邪魔しない音質で好ましい。
それを前の実験のように、スピーカーの真中に二本置くと、これまた結構。レコードやジャンルによってはセッティングを変えると、雰囲気も変わる、変わる。
正直に言うと、初期型の075一本の方が品もあって更に上を行って素晴らしかった、だが入手不可能だし、今回の二本で納得。購入するかどうか検討。

いや、オーディオは同じ型番でも音にエライ違いがある事を実感した。
実際同じ種類のカートリッジでも音質に著しい差がある事は、仕事の上でいつも実感しているが、ツイーターでもそうなのかと実感した。
オーディオは面倒だ。

まあ、私は中庸で。

LESTER'S HERE
2012/03/15

LESTER YOUNG “LESTER’S HERE” NORGRAN 1071

これまた素敵なレコードが入荷。
51年の彼の代表作の一枚である。
ジャケットは正にレスターヤングそのものを表現していて、彼のトレードマークである帽子(ポークパイ)、が彼のテナーサックスのケースかどうかは分からないが、上蓋を開け、その上蓋にちょこんと掛けてある。
ケースから、サーやるかと楽譜がなりげなく置かれている。
「Of Me」とだけ読み取ることが出来る、All Of Meと言えば分かりやすいと思えるが、音楽の解るお客、数人とも話し合って楽譜を読もうと努力をしたが、どうしてもAll Of Meとは読めなかった。だがセッティングから行けばそういう事にするのが一番自然であろう。
楽譜と一緒にハンカチがフワッと置かれている。
手前にはコーラの空き瓶。相当古い空き瓶である、今ならコカコーラ・コレクターが欲しがる年代ものである。
コーラの瓶の口には吸いかけの両切りのタバコが置かれ、かすかに煙が漂っている。
静物画としての画面に唯一の動きが与えられ、そこに彼すなわちレスターが休憩中ではなく、休憩から立ち上がって、演奏にとりかかり、仕事中であることが伝わって来る。彼がこの画面の中にいない事が即ち、彼が存在し、彼が現在演奏中である事を示しているのである。
素晴らしい仕掛けである。

いや、見れば見るほど素晴らしい仕掛けになっていて、画面は全体が、茶色と深いグレーの色に統一されている。
深いトーンに落ちているところがいかにもジャズというかブルースというか、「深さ」がジャズにはいかに重要かと伝わる。

DAVID STONE MARTHINのイラストのジャケットも良いが、こういう写真のジャケットもここのレーベルは見せ場を作ってくれる。
ジャズマニアの私などでも、涙を流して喜ぶツボを掴んでいる。

曲はルージーなサックスのサウンドが終始流れる。
恋とてルージーな味わいで、日本男児の張り切った恋とは大分違う。
ガキの恋などもう面倒と言わんばかりの、大人の恋がある。
恋に落ちた後は勝手にしな、と言わんばかりである。
子供には解らないだろうな。

この人のジャズはいい!

PASSAPORTO PER L'ITALIA
2012/03/14

VA “PASSAPORTO PER L’ITALIA” RCA-VICTOR PML-10319
(CHET BAKER, HELEN MERRILL & OTHERS)
VAという事は、Variety Artistなので色々なミュージシャンの音楽の寄せ集めという事になる。
ただちょっと違うのは、HELEN MERRILLやCHET BAKERが2曲づつ収録されている点が大きい。

アルバムは「イタリアへのパスポート」というタイトルで、飛行機が飛び立つ写真である。ちょっと安易だがよしとしよう。
真っ青な上空に向かった飛行機を下から仰いで撮った写真が気持ち良い。
機種はダグラスDC−8であろうか、60年代の主力旅客機である。
残念ながらアリタリア航空かどうかははっきりしない。
でも飛行機の写真のジャケットは気分が良い。
その飛行機に搭乗したつもりで聴く事が出来る音楽はというと。
チェットベイカー、ヘレンメリルのジャズ関係のほか当時流行のポールアンカ、ニールセダカ、ペレスプラード等そうそうたる世界のスター達が並ぶ。
世界のスターたちに交じってチェットとヘレンメリルがいるという事はこの二人がいかに、当時のイタリアで人気が高かったかという証明でもある。

ところで本題のチェトの曲は「IL MIO DOMANI」「SO CHE TI PERDERO」。
ヘレンメリルは「NESSUNO AL MONDO」「ESTATE」の計4曲。

上記4曲の為に買っても惜しくない好演奏の重要作品という事になる。
二人ともイタリア語で唄っていても違和感はない。
チェットの曲は当時EP2枚に分かれて発売されていて、ヘレンメリルはEP1枚に収録されている。それらのEPは非常にレア盤なのでこれ一枚で聴けるのも悪くない。

因みに、ポールアンカ、ニールセダカの計4曲も60年代ポップスが好きならこれまたイタリア語で唄った貴重な録音という事になる。
もうひとつ、このアルバムを聴いて発見することがあるはずで、それはチェットが他の当時の世界的スターと比べても、とても歌がうまいということである。きっと感心して、チェットのボーカルを見直すに違いない。

というレア盤の話。

プリアンプの事
2012/03/13

夕方、カートリッジ屋さんが来て雑談。
ちょうどカウンターで試聴していたレコードのジャケットを手に取られて、「これ、これ」という。

ジャケットの下の方に、何やら表が作ってある。
良く見ないと、なんだか解らないかもしれない。

レコードを聴いた時に、プリアンプの高音のツマミの位置、低音のツマミの位置、左右のバランスのツマミの位置を記しておくメモなのだそうだ。

一枚一枚レコードはすべてバランスが違うもので、それが当たり前なので、持ち主によっては小さなメモを貼り付け、位置を記入していた事もあるらしい。会社によってはこのようにメモ欄を作ってくれていたようだ。

戦後、アメリカでRIAAカーブに統一されたが、技術者により音の作りがかなりバラつきがある。
私も時にはかなりツマミを動かすときもある。
そんな状況を分かっていて、こうしたサービスをしていたレコード会社ってエライ。

マニアの方も、こういうカードを作りメモしてジャケットの中にでも放り込んでおけば、便利で良いかもしれない。
ま、それが本当のレコードの聴き方なのかもしれない。


2012/03/12

休憩に行った喫茶店に数名おばちゃん達が屯していて、会話が聞こえて来た。
「昔はさ、米穀通帳が無ければお米も買えなかったのよ」
「そいでさ、住所が無けりゃ米穀通帳がもらえないのよ」
私も知っている話題だ、嬉しいな。

戦時中から戦後にかけて、米穀通帳ほど幅を利かせた身分証明書はない。
米を入手するだけでなく、身分証明として最も権威ある証明書だったのである。引っ越ししたらすぐ役所に米穀通帳の申請に行った。
米穀通帳は紛失などすると再発行も困難で貸与など処罰の対象になったほどだそうだ。
旅行や寿司屋などでちょっと多い米を使う料理の場合、米穀通帳が必要だったという話を寿司屋の女将さんに聞いた。

私は子供心に記憶があった。
家では米屋の通い帳と一緒に戸棚にしまってあった。
家でも米は作っていたが、田んぼが小さく一年を通しては自給が無理で、夏前には米を買いに行っていた。だから3・4か月分くらいは買っていたことになる。
でも味が不味いからと、母親が貧しい生活でありながら配給米を嫌がった。
それほど不味い米だったのだ。
また当時は貧しいながら、配給米を食べることを恥として、近所の人たちも一生懸命に少しでも良い米を食べるように努力をしていた。
小さな見栄のせいか、時々お米屋さんが訪ねて来て「そろそろ払ってくれんかい?」「もうちょっと待って...」などという会話も覚えている。
母親は生活費を入れない夫に苦労していたらしい。
立派に貧乏だった。

前ページTOPページ次ページHOMEページ

 Copyright 2025 HAL'S All right reserved. Initial up at 2001