HAL'S DIARY
オーナーのひとりごと。買付けの裏日記など。
きまぐれに更新しています。
  
| JOHNNY HODGES "MEMORIES OF" | - 2012/07/20
- JOHNNY HODGES “MEMORIES OF ELLINGTON BY HODGES” NORGRAN MG N-1004 (USA)
このレコードは後日、同じNORGRANに於いても、VERVEでも発売になる「IN A MELLOW TONE」の原盤である。 後発はジャケットを変えて出した。 だが、私はやっぱり最初のこちらが好きだ。それはお前がオリジナル至上主義だからだと言われると反論は出来ない、 実際、本でも必ず初版本でなければ気が済まなかった。 ま、そういう話は置いといて。
このレコードはNORGRANの1004番だからかなり古い、だから写真のホッジスも結構若い。 ピアノの前で、何かの曲をおどけて弾いた様子が伝わる。 彼等は多分、ピアノは普通に弾けると思う。 良き時代の、良い写真である。 この写真にハッとした方もおられよう、指名手配の写真ではないが、VERVEのSAIDE BY SIDEの写真がこれの裏焼きなのである。商売はお金を使わないようにしないといけない。 そういう事である。
サウンドの話に移る。これは51年頃からの録音の作品である。 ようするにエリントンのいないエリントンバンドとでも言おうか。 だからと言って出来が悪いのではなく、実にエリントンらしい良い演奏ばかりが詰まっていて、尚且つ、そこにホッジスがクリーミーな味付けを更に施した、実に美食家のための超美食作品なのである。 「エリントニアン」という人たちはそういう人達なのである。 ホッジスの「DAYDREAM」から「SOLITUDE」などの長〜い、息使いのアルトの音色は、まるで本当に音に色が付いて出て来るような錯覚に陥る出来の良さ。
彼等の50年代の作品はどれを取っても、超絶な作品ばかり、出来たら、エリントニアンの作品はどれも聴いて欲しいものばかりである。
|
|
| BEN WEBSTER “AUTUMN LEAVES” | - 2012/07/19
- BEN WEBSTER “AUTUMN LEAVES” FUTURA SWING 06 (FRANCE)
このレコードは新入荷ではなくて、ひと月ほど前から店の棚にある。 それを今更なんだと言われると、私も少々困る。 困るが、ちょっと閃いてしまったのである。 昨夜、家で聴いていて、「彼のサックスは風」であると。
いつも言い続けていることであるが、彼のサックスは空気の音が物凄く多い。 それが空白でもなく無音でもなく、ちゃんと音がある。 それは「風の音」なのである。 サックスのムーディーな音に合わせて、その上に被さった倍音は、実は風の音なのである。 朝は朝の清々しい風があり、夜は夜で頬に優しい風がある、いずれも心を慰めてくれる風である。 いつの時間であっても、自分の体にそうっと入ってくる風があり、人も思いでそれはどうにでも変わる。 淡い色の風にもれば、灰色の風にもなる。 酸いも甘いも感じる人次第である。 だが、風の音だけで、人を感動させてくれるサックスは彼以外にはいない。 サックスを極めた彼にだけ許される音がここにある。 音楽の神の使いカラビンカに許された、彼の境地がある。
晩年はヨーロッパで過ごし、彼は最後までサックスを吹いた。 その死の一年前のフランスでの吹込みで、バックはGEORGES ARVANITASというフランスを代表するピアノトリオが務めた。 不思議に出来の良い作品になった。 ジャズを聴く人も年齢と共に、こう言うのを聴いてくれると良いと思う。
彼のサックスは風の音を聴け。 なんだか村上春樹の小説の題名のようになってしまったが、本当に私はそう言いたいのである。。
ところで、このジャケットの写真は何時頃撮ったのかはわからない。 だがセピア色の写真から、決して若くはない事が見て取れる。だが帽子のつばを上にあげ、意気揚々とした面構えと、愛用のサックスのネックを左手でむんずと掴んだその姿。 シャツは柄物で、左足のつま先の靴がピカッと光ったあたりは、洒落っ気たっぷり。 まだまだ男の色気が漲っている。 決して枯れていない男がいる。 ジャズはこうでなくては。
|
|
| ROBERT MALMBERG “LINNEA” | - 2012/07/18
- ROBERT MALMBERG “LINNEA” FERMAT FLPS35 (SWEDEN)
今回のこのレコードは久しぶりだ。 最近はこういうのも、なかなか入って来なくなった。 あちらの知り合いに一枚無いのかと聞くと、お前に売ったから無くなったと返事が帰ってくるのがシャクだ。
ジャケットを見ると、やや神経質そうだが整った顔にヒゲを蓄えて、白いワイシャツを来た所は、なかなかの伊達男である。アメリカの映画俳優のようなイメージも受ける。 かれはNISSE SANDSTROMのPAINTERという有名なレコードにもちょっと参加している、スェーデンでは中堅どころのピアニストで、ビル・エバンスのハーフ・ブラザーとライナーにも書かれたように、やや神経質な感じの端正なヒサウンドである。 だが、明るさはビル・エバンス以上で、とても親近感を持てるサウンドの人だ。 タイトルのLINNEAというのは女の子の名前で、可愛らしい花のイメージなのだそうだ。 作品を聴きながらなるほどと納得。
このレコードはほぼ自主制作だと現地で聞いた。 そのまま再発される事が無く、しばらくしてストックホルムのあるレコード・ショップが、彼と友達だという事で、許可を得てCDを作った、と。 モノクロの写真のジャケットだった。 それも何百枚のプレスだったという事だった。 当時は私のあまり知らないミュージシャンだったが、聴けばなかなかの腕前のピアノ・トリオなので、買う事にして、10枚ほど購入した。持って帰ったらそのCDが大人気であっという間に売れた。 次には店の中のあちこちに散らばって残っていたので、一生懸命に棚の下、階段の上、キッチンの中、と拾い集めて、10枚ほど買った。 次回に行った時にもっと探して、トイレの中にまで探して7・8枚はあっただろうか。
次に行った時には、まだCDが沢山家にあると。 ジャケットは印刷すれば出来るからというので50枚分ほどお金を払って来た。 そして、その次に行った時には店が無かった。
知合い数人に経緯を話して、どうしたのだろうと聞くと、かれは体が悪いので入院するとかで店を閉めざるを得なかった。悪い人ではないから気にするなと言われ納得した。 いつか店を再開するつもりでいると聞いた。 あれから10年。
それは置いといて、ナイス・ピアノ・トリオのレア盤である。 音質も良好で、これは全編通して気持ち良く聴く事が出来る。
因みに今回入荷したものは綺麗だ。
|
|
| MILES DAVIS "IN BERLIN" | - 2012/07/17
- MILES DAVIS “IN BERLIN” CBS S62976 (GERMANY)
さて、このアルバム。 ブラック・スーツに蝶ネクタイをしてタバコを咥え、視線を左前方に向けたマイルスをやや遠方から望遠レンズで捉えたかのような写真である。それともピントが甘かったのか? いや、望遠にしておこう。近寄りがたい人だから。 遠方からでも自信に満ち溢れた顔の表情が見て取れる。 数ある彼の絶頂期の一コマ。
1964年、WAYNE SHORTER, HERBIE HANCOCK,RON CARTER,TONY WILLAMSという、当時の新時代を迎えたオール・アメリカン・リズムセクションに加えてショーターを足した世界トップクラスのクインテットでヨーロッパツアーはスタートした。 ベルリンでのジャズ・フェスティバルに参加したマイルスは最も充実した演奏を楽しんだに違いない。
ところでこの作品、ライブ演奏にしては恐ろしく音が良い。 よく聴くと、何しろA面冒頭からのスタート・ダッシュが良いのが効いている。 これで観客の心は彼の術中にハマった。 何が良いかと、レコードをもう一度聴こう。 まず1小節遅れでシンバルが入る、この小節遅れいきなりのチキチキと来て、シャン・シャーンと思いっきり響き渡る。多分会場にTONY WILLIAMSのシンバルの音が響き渡ったのであろう。 TONY WILLIAMSは得意の絶頂だ、幸せだ、ついでに観客も幸せだ。
これですべてが決まった。シャン・シャーンとシンバルは響きを止めることがない。 ずっと脳裏に残ったままA面を終える。 スタート時、この時の印象が結局、この作品の印象を決定づけたのである。
こんな作品滅多にない。 ぜひ音質の良いドイツ盤で聴いて頂きたい。 ラベルはオレンジ色の憎いヤツ、である。 A面だけでお腹がいっぱいになるはず。 あれ、TONY WILLIAMSのアルバムだったっけ?
|
|
| 暑い夏が来た | - 2012/07/16
- 今日は朝から暑い。
遂に暑い夏が来た。
日差しが強烈なので、その影響で日陰がとても暗く見える。 スペインとかイタリアに行ったような感じ。
「のら猫も 日陰も真っ黒 炎天下」
|
|
| KFC | - 2012/07/15
- お客様に教えられて、ケンタッキー・フライド・チキンの創始者の自伝を読んだ。
「世界でもっとも有名なシェフ カーネル・サンダースの自伝」。 本ではなくPDF。 同社のホームページにアップされているので、簡単に読むことが出来る。
彼が成功と失敗の繰り返しの中から、65歳を過ぎてからの大成功のはなしである。 どうせ外食産業のいかがわしい宣伝なんか、と斜に構えて読むと、いやはや大した話で申し訳ない気持ちにさせられ感動する。
その中での、「人生の良きことは働くことによってのみ手に入れられるのだ」という台詞や。 「最後の息を引き取るまで夕暮れは暗闇にはなりません」というあたりに思わず、昔人間の私など同感、同感と何度頷いたことであろうか。 働かないで金儲けをしようとしている人が多い今の世の中を、嘆いている私としては心強いお言葉。 ジーンと来て、さっそくケンターキーを買いに行ってしまった単純なオジサンである。
ついでに料理のレシピもある。 今度挑戦しよう。
そういえば、以前読んだエリントンの自伝にケンタッキーの話が出て来る。 彼のバンドは年中演奏旅行をしている。それでも時々は楽しみがあって、地方の食べ物は楽しみだった。 特に養鶏の盛んなケンタッキー州に入ると、街道沿いにフライドチキンのレストランがいっぱいあって、それぞれ味を競っていて、楽団員達が元気になってあっちだこっちだと騒ぐ話があった。 一度行かないといけないな。 レコードがあれば行くのだが。
|
|
| 休日 | - 2012/07/14
- 考えたら5月から、2回の買付の海外旅行も含めて一日も休んでいない事に気が付いた。
どうもここ2,3日疲れが溜まっているなと感じているはずだ。
休みたいが、どういう訳か何が理由がないと休めない。 仕事中毒と言えば中毒だが、そもそもジャズのレコード屋になった瞬間から、毎日がジャズを聴いているので、それこそ毎日が日曜日になった。 それ故に、毎日休んでいるので休みが要らなくなった。 それほど、ジャズのレコード屋は楽しい日々であった。 今までは。 最近は不景気なので、楽しさも中くらい。
こなったら、年齢的にもちょっとキツイし。 休まないといけない。 そう思ったら、ああ、動悸がしてきた。
|
|
| 通販リストの更新 | - 2012/07/13
- 通販のリストを更新いたしました。
結構良いものがありますので、どうかご覧になって下さい。
今回のリストの後ろの方に、78回転SPが掲載されております。 MAILES DAVIS "DEAR OLD STOCKHOLM" BLUE NOTE などの珍しいものや、状態の良い物があります。 BILLIE HOLIDAY の3枚は内容・状態ともに素晴らしいです。 パーカーのCLEFの青ラベルのSPも素晴らしいものです。 興味のある方は、どうぞ
|
|
| 納豆キング | - 2012/07/13
- 知り合いがNATALIE COLE "UNFORGETTABLE"のレコードを探しているからあったら教えて、と言われていたことを思い出して、「ナットキングコールとのレコードが入荷しましたよ」とメールした。
間もなく返事が来て、「納豆が2000円?」高いね、と。 私が送ったメールを確認したところ「納豆キング・コール」となっていた。
「納豆キング」じゃ、まずい。
|
|
| BILLY MITCHELL | - 2012/07/11
- BILLY MITCHELL “THIS IS BILLY MITCHELL” SMASH MGS27027
ジャズの名盤のほとんどは有名人気プレイヤーの演奏や名門レーベルに限られている。 しかし、その範疇外に時として目を見張る作品が存在する。 その一枚がこの作品である。 ジャケットを見ると、演奏中の休憩時間であろうか、サックスストラップを首に掛けたまま、点けたタバコの煙を吐き出すと、燻らしたタバコの煙と共に彼の顔の周囲をめぐる。目を閉じて演奏での興奮を鎮めているのだろうか。 暗闇の中で、そこだけにスポットが当たる。 そしてジャケットの右の空白に「This is Billy Mitchell. The most exciting tenor sax in Jazz.」とサインペンを使ってカーシブ、いや気取り過ぎかな綺麗な筆記体で書かれている。 その下には本日の演奏曲が書かれている。 左下には端っこにSMASHとレーベル名が忘れないでよ、と記されて、これで夜のジャズの名盤の出来上がり。 早い話が、タバコ・ジャケに駄作無しと言いたかっただけ。
演奏は、柔らかくも太い音色を心地よく響かせた傑作である。 これでジャズ紳士は理解してくれているものと思う。 これ以上何も言う事はない。 あとは、男は黙って聴くのみである。 ここには男にしか解らないジャズの醍醐味がある。 もうひとつ、つけ加えるとシングル・モルトがあれば尚可である。
彼はCOUNT BASIE,WOODY HERMAN,DIZZY GILESPIEなど一流どころを渡り歩いてきた。 腕に覚えの職人芸を目の当たりにするよい機会とでも言おうか。 62年の傑作である。 これがもしブルーノートだったら10万は超えようというもの、SMASHレーベルではこれが上限とでも言おうか。いやマネートークは下品でいけない。せっかくの芸術の話だった。
このレコードはもう一つの楽しみがある。それはBOBY HUTCHERSONの極初期のソロも聴く事が出来る点で、将来を感じさせる演奏である。 暫く彼らはAL GREYも含めて一緒に演奏していたようだ。
|
|
  
|