HAL'S DIARY
オーナーのひとりごと。買付けの裏日記など。
きまぐれに更新しています。

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続、マーサ三宅
2013/07/17

昨日の日記のマーサ三宅の[Don’t explain]の歌の事で、面倒がって書かなかったけれど、長いから書かなかったとは、これはやっぱり良くないなと思い直して書き写すことにした。


あらためて、マーサ三宅「星空にスイングを」の本から抜粋させて頂いた。


『 Don’t explain(言い訳しないで)
内容は朝帰りした旦那の顔を見た途端に、
「お帰りなさい帰って来てくれたのね。でも、もう黙って。何も言わないで。そのままバスルームに行って、口紅を落として来てちょうだい。・・・・どんな事があっても、私があなたを愛しているのはわかっているでしょ。近所のみんなは私は騙されている、って言うけれど、私はその噂に耐えているのよ。でも、あなたが帰って来てくれただけで私はいいの」
ビリーホリディ自身せつない経験を沢山した人ですから、この詞もせつないですよね。
そういうせつない歌だと、やっぱり女というのはホロッときますよね。
けれど、歌い手として、理性を保つにはブレーキが必要なんです。
そのブレーキになるのが客観性です。
つまり、これはドラマのヒロインの感じで歌うんです。
もし同じような経験が自分にあっても、
「わたしもあの時はそうだったわ」と思って泣いてしまうのではなく、演技するつもりで歌った方がいいですね。

たとえば出だしの、hush now(シーッ黙って)は本当に静かに。
Don’t explain はちょっといさめるような、強い調子で、だけど声は大きくなく、アクセントをつけて。それから、Just say you remain (ただ帰ったって言ってよ)は優しく語るふうに。
I’m glad you back(私はあなたが帰って来てくれただけでうれしいの) は嬉しさというより、せつない感じで。
音の大きさではわりと大きく、メゾ・フォルテぐらいで。
そして、backはckという子音に心をこめて・・・・。
Don’t explain またここで、「言い訳しないで」とせつなげに。
でも、その時はもう口紅が見えているわけですよ。
Quiet(静かに)。本当にhush now と同じくらいに静かに。それから、
Skip that lip-stick(その口紅を落として来て)のところは、哀しみと怒りとそれから、まだ未練の情をこめて。
Lip-stickは憎悪をこめて。で、
You know that I love you(わかっているでしょう、私があなたを愛しているのは) ってところは綿々とかき口説くように歌うんです。』

常人にはとても出来ることではない。

「一点醒めていないと私たちの音楽の場合はダメなんです。」
という話にも重みがある。
マーサさん、本当に良いわー!ホントにホント。

思わず、感動のあまり涙が出るところだった。
でも、ダメなんです。
私達もレコード屋だから、一点醒めてないとね。

マーサ三宅
2013/07/16

古本屋でパラパラ見ていて目について、おもわず買ってしまった。
マーサ三宅“星空にスイングを”婦人画報社 (1989年)

本の最後の方の彼女の言葉。

「ジャズには、リズム感の中に絶妙な陶酔感みたいなものがあります。
体をやたら動かすから、膝を動かすから、足を幅を広げるから陶酔するというものじゃないんです。
シンコペーションって言うんですけれど、変拍子が続いて今度はまた正しい拍子になって、また今度は
変拍子になって、っていうそのリズム・パターンの中に、ミディアムのテンポのものは、セクシャルなものを感じさせるんですね」

感心してしまった。
また、ビリー・ホリディの「Don’t explain」の歌い方の解説も、流石に大物歌手らしく素晴らしい解釈なのだが、長いので、この日記には書けない。
本を探して、読んで欲しい。

ところで、彼女の歌の上手さとはどのくらい? と思い、失礼ながら、軽い気持ちでYou tubeを聴いていると、日本語の歌があって、これが素晴らしい。
オジサン感心してしまった。
思わず腰を抜かすところだった。
やっぱり日本人なんだね。当たりまえだって。

http://www.youtube.com/watch?v=RYnPdjjTDPM&feature=player_detailpage

大先輩
2013/07/14

ご年配のお客様。
我々のジャズの先輩。
当然、声も態度も大きい。
先日も来られた時、ちょうど他のお客様が試聴をされていた。
つかつかとカウンターに来て、いきなり大声で「こんなレコードを買うやつがいるのか?」。
返事のしようがない。

次に掛けたレコードは、エアチェックのレコード。
当然、音はちょっと落ちる。
すると、すかざず、「お宅のアンプはこんな音か、壊れているんじゃねーの? まあ、レコード屋なんて、どこの店もこんな程度だな」。

先輩には逆らえない。

JIM CHAPIN “ENSEMBLE FEAT.PHIL WOODS”
2013/07/13

JIM CHAPIN “ENSEMBLE FEAT.PHIL WOODS” PRESTIGE 213

昨日の続きと言えば続きになる。
それはPHIL WOODSの関係でもある。
こちらのアルバムの主人公JIM CHAPIN(ジム・チェピン)はドラマーである。
どのくらい活躍したかというと、ジャズ批評のプレステイジ・ブックを検索すると一致するのは一項目のみである。即ち、当アルバムのみという事になる。
録音に恵まれなかったと言うべきか? しかし、私はいつも言う、世の中に幾万のジャズプレイヤーがいるけれど、3大レーベルに一枚でもアルバムを残した人は幸せであると。
10インチ盤と言えど、彼も自分の名義のLPを残したのであるから立派である。

さて、このアルバムは何と言ってもPHIL WOODSの参加が光る。
随所にきらびやかな彼のアルトのサウンドが現れると、作品の重みも増すというものである。
後にアレンジの方で活躍するBILLY BYERSも流暢なトロンボーンを聴かせてくれる。
本当なら、ここにトランペットのJON EARDLEYでもいてくれたら、私としては文句なかったが、60年前に向かった下らぬ文句はあまりに下らない。いや、ここでのトランペッターも悪くない。
この時の作品は、ドラマーの主人公もしっかり業務を全うして、溌剌とした、若々しいプレイを聞かせてくれる。
55年の録音なのに、なぜ12インチで発売しなかったであろうかと、こちらの方に文句がある。

等々、下らぬ思いを巡らせながら、聴いていて、同時に入荷したあるアルバムに目が行った。

JIM CHAPIN “THE JIM CHAPIN SEXTET” CLASSIC JAZZ CJ-6
という彼の77年に作ったというアルバムである。
妙な事もあるものだと、繁々と眺めると、おや!
これはPRESTIGEの10インチ盤即ち、213番の内容と同じである。さらに4曲を加えてある。
その4曲と言うのは、10インチに収録されなかった4曲という事になる、となると貴重な4曲。
まさかと思いつつ、聴くとこれはどう考えても同じ時の、演奏に違いなく、この12インチ盤が未発表曲を収めたコンプリート盤という事になった。

珍しいレコードが別々に入荷して、その中に同じ人の作品があり、見れば関係ある録音だったとは
いや、不思議な事もあるものだ。
これだからレコード屋は止められない。
10インチ盤を購入された方に、12インチ盤も付録で付けようか....。

それにしても幸せな一日であった。

JON EARDLEY “THE JON EARDLEY SEVEN”
2013/07/12

JON EARDLEY “THE JON EARDLEY SEVEN” PRESTIGE 7033 (USA)

通好みの一枚。
久しぶりの入荷である。という事は意外にレアな一枚だと言いたいのだ。
ところで、この人は、この辺りの作品のあと、田舎に引っ込んでしまう。
その後はヨーロッパに仕事を見つけ、長い事ヨーロッパで演奏活動を続け、70年代にはイギリスのSPOTLITEレーベルから数枚、リリースに至っているから、まあ音楽家としては成功した方かもしれない。

このレコードを、私が最初ゲットしたのは、機関車のジャケットである。
それがオリジナルかと思っていた。ところが後になって、それは2度目のジャケットである事が判明した。
判明したが、比較すれば機関車の方がカッコ良いと言っていた。
だが結局、買い替えをした。
買い替えをしてからは、やっぱりオリジナルのこちらの方が好きになった。
ま、人間という物はそういうものである。

ところで、この作品は私が30歳の頃に聴いた時の印象と、その後20年以上も聴き続けてからの印象は随分異なって、歳を追うごとにずっと好きになった。勿論今も大好きである。
私も30歳の時に解らなかった音楽の心がようやく、しっくり来るようになった。
通好みの作品という物はそういう物で、誰にも受ける有名作品とはちょっと違う。

プレステイジ・レーベルの初期のジャケットは妙に前衛絵画的なものがある。
これもその中の一枚である。
この前衛的デザインは当時のジャズプレイヤーのギル・メレによるもので、中央に目玉のように模様が引かれ、その周辺にメンバーのポートレイト写真が散りばめてある。
そして、左上に数字で「7」と漫画文字が記入されている。ラッキーセブンとでも言いたかったか。
確かに演奏内容から言えば、同社の期待の一枚だったと思われる。この後何度もジャケットを代えたりして発売し続けたのであるから。
その通り、音楽の出来は大変良い。

ニューヨークに出た時はPHIL WOODSと組んでいた。その後GERRY MULLIGANのメンバーに入る。
この作品は56年1月なので、そのマリガン・バンドに入る直前と思われる。したがって演奏メンバーにPHIL WOODSも参加している。なによりZOOT SIMSがいて、私の知合いはこれこそZOOTの大傑作と力説する。
この作品の出来の良さを聴けば、ピンと来る人がいてもオカシクない。
そう、同年3月、マリガン・バンドとしてフランスに演奏旅行中、ZOOTと組んで吹き込んだ、あのDUCRETET THOMSON盤がこの続編とも言える作品なのだから。
DUCRETET THOMSONの方は、選曲・曲調と録音が見事で、ZOOTが苦手という人も、あれだけは好きだと言い切る。
それに比較すると、こちらはやや大人し目の音作りなのか、入門者用の名盤100選に入れる事はない。
しかし、プレステイジの音が悪いはずがなく、突出して出現してしまったDUCRETETの録音を忘れて聴いて欲しいものだ。
この作品の管楽器の出来は、それぞれ持ち味を出して見事である。
白人ジャズメンのクールなバップの味わいを是非、堪能して頂きたい。

おはぎ
2013/07/11

昼の弁当を買いにデパートに行く。
食料品売り場をぶらついておにぎりを2個購入。
ついでにデザートで、大福でも2つ買おうと思い和菓子屋を覘いていると、ガラスケースに「おはぎ」を山のように売っている。
あそうか、東京はもうお盆か。
お盆におはぎと言うのは違和感がある。
お盆におはぎを食べるのは東京だけの様な気がする。

昨夜もスーパーに寄るとお盆セットを売っていた。

しかし、7月の東京のお盆ほど実感のないお盆も珍しい。

交通取り締まり
2013/07/10

小田急百貨店にある喫茶店の窓から下を眺めていた。
やがて警察官が3人やってきた。
これは取締りだなと思って見ていると、どうも一時停止の取締りらしい。
運転手からちょっと死角になった場所に3人は立った。
卑怯とか、そういう意見はここでは言わない事にする。
私は見ていた30分間、そこで捕まったのが乗用車3台。

観察の結果。
一時停止線で、きちっと止まっているのは、みなプロの運転手たち。

マチュアであろうと思われる乗用車は、大体が止まったか、止まらないか中間位の感じ。
何となく動いている。
それでもギリギリで許されないな、と思える車は、見逃してくれている。
これはどう贔屓目に見ても停止しなかったな、と遠くの私でさえ残念と思われるケースだけ、捕まっていた。
警察もギリギリまで許していたとも言える。

ここでプロの運転手の意識の高さが際立ったのには、驚いた。
タクシーも運送業者などプロの運転手は、しっかり停止線で止まる。
さらに中には、バスなどきっかり3秒停止する。
見事である。

そういう点を自分で忘れて、むやみに国家権力憎しで、怒るのは慎みたいと反省した。

新宿駅のハルクの前。
こういう場所は要注意。

色紙
2013/07/09

時々行く、日本食の店。
そこに色紙が掛かっている。

聞くと、有名なヤクザの親分さんが書かれたものだと。
色紙には「人生 常に 挑戦」と書かれている。

ヤクザだって、常に挑戦していたのだ。
縄張りとか、殺しとか。
重みがある。
感心した。

未婚の母
2013/07/08

ちょっと前のニュースから。
芸能人の安藤美姫選手の出産を支持しますか?というアンケートが週刊誌やさらにTBSまでも、実施していた事があったらしい。

そのニュースで思い出すのは、私が以前居た会社での出来事。
以前、一度書いた事があった気もするが、うろ覚えなので書く事にする。

ある女性が妊娠した。
未婚であった。
また、相手の男性が外国人であった。

さて、だからと言って、どうなるものでもない。
所が、意外なところから火の手が上がった。
それは同じセクションの同僚たち。

「そんなフシダラな女性を同じ課に居るのは許せない」と猛烈にあちこちにアピールを始めた。
それまでは仲良くしていたのに、急に敵が現れたかのように。
仕事中でも、あちこちの社員のところを廻り、あなたはどう思いますか?と聞いて歩いた。
皆、大人だから、「まあまあ」とか「はい」などと相槌を打っていると、彼らは賛同を得たと解釈し、益々増長して、ついに人事部にまで話をもっていったらしい。
私の所にもその内の一人もやってきて普段、仲良くも無いのに、その時だけはニコニコと話を始めたのが可笑しかった。

有る時、私の部下の若い女性がその人に向かって、「私たちは支持します。また応援もして行きます」ときっぱり堂々と意見を述べた。すると、同じフロアーの若い女性社員の間に、同様な意見をはっきりと、彼らに告げるものが現れ、女性たちの間に連帯が広がり、やがてオジサン達も同調の反応になった。
事なかれ主義の人事部はどうも否定的だったらしいが、女性たちの意見がはっきりすると社内はなぜか落ち着く。
やがて反対派の課内の同僚たちは孤立して行ったと同時に、課内は分裂。
管理・管理とうるさかったそこの、課長の能力は、こんな時こそだが、なぜか遂に発揮される事もなかった。

そして、無事に出産という運びになった。

しかし、反対って面白い意見だ。
反対しても生まれてしまうのだから。

真夏日
2013/07/07

今日も暑い真昼。
外に出て見る。
新宿の住宅街を歩いていて、ふと気が付くと、街に人がいない。
人っ子一人いない街とは、何処かで見たなと思っていたら、キリコ(Giorgio de Chirico)の絵を思い出した。
キリコの絵の中のコンクリの建物や煙突も、立派な建造物に囲まれているにも関わらず、そこには人がいない。
探せど、小さな人陰さえも存在しない。
その場所こそ見事な文明の結果があり、それが怖い。文明の行きつく先は人の存在が無いと。

強い日差しで、日向が40度はありそうな、新宿の街もまた人の存在を許さない勢いである。

強い光の中、人気の無い街は、一体ここは何処だったのだろうかと、白昼夢に迷い込んだかのような不安な心持にさせられ、孤独に歩いていると、それがやがて、子供の頃、母親と一緒に夏休みに近くの大きな町に行った時、あの時の街並みに迷い込んだような、あの場所。
振り返ると日傘を差した母親が立って居そう。

真夏に背筋が寒くなる。
首筋に汗がびっしょり。
風邪でもひいたか。

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