HAL'S DIARY
オーナーのひとりごと。買付けの裏日記など。
きまぐれに更新しています。

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お父さん
2013/12/10

新宿の地下道で女の子が、大声で叫んでいるのを見て急に思い出した。

あれはもう20年以上も前の事だ、出勤途中の青葉台の駅近くで、中学生の二人連れの女の子が私の前でしゃべっていた。
「あのさ、歩いている人に向かって、お父さん!って叫ぶとさ、オジサン達はみんな自分だと思って振り返るよ」
「やめなよ」
「親父達、馬鹿だから、面白いよ」
「やめなよ」
「平気、平気、ちょっとやるね」
と大声で「お父さ〜ん!!」
前にいたオジサン達は皆、振り返った。
「ほらね」
確かだ。

世の中を舐め切っている中学生がいる事に驚いた。
と同時にオジサン達の優しさに感心した。
オジサン達は、自分の子供でなくても振り返るものだ、可哀想な事態かもしれないから。
それを逆手に取るとは、恐るべき子供。

あの時の中学生は、現在すくなくとも35歳前後という事になるが、どういう人間になったのだろう?
今でも群衆に向かってお父さん!と叫んでいるのだろうか。
そんな事がある筈がないだろうから、親父狩りでもしているのだろうか。
怖っ!

FRANK FOSTER “FRANK FOSTER QUARTET” VOGUE(仏)
2013/12/09

FRANK FOSTER “FRANK FOSTER QUARTET” VOGUE LD.209 10インチ (FRANCE)

さても、珍しいレコードの入荷。
このアルバムはブルーノートの10インチ盤(5043)とジャケットの雰囲気が近いので、つい同じ録音かと思ってしまうが、れっきとしたオリジナル・フランス盤。
大変なレア盤である。
彼がベイシー楽団とヨーロッパに行った時の吹込みだと思われるので、53・4年の時であろう。
一応これが初リーダーという事になる。

演奏は、フランス勢のアンリ・ルノー・トリオとの共演で、バリッとしたハードバップである。
才能を発揮して、気持ち良いプレイである。

そうそうついでに言わないと、彼はあの有名曲「Shiny Stockings」の作曲者。
凄い才能である。

ところで、今日の話は、盤に関する話。
このレコードは知る人ぞ知る、やっかいなレコード盤。
それは針飛び。

今回の入荷も針飛びである。
今回もと言うのは、どれも同じ針が飛ぶような盤の作りであるという事。
コレクターに電話して確認したので間違いない。

それで今後の事もあるので、どういう盤であるのかしみじみと見た。
まずA面。全く問題無くトレースする。
B面、観察すると数センチに渉り、周辺部が波打っている。
まず針圧3,5グラムで掛けると、針は飛ぶ。
周辺部のみに問題がありそうなので、ここをよく見ると、どうもB面のスタンパーのみに問題があったようで、その部分の厚さが、やや厚くなったりしている。
通常の針飛びは裏表両面が曲がるのだが、このレコードはちょっと異なる。であるから機械にかても直る事はない。
という事で、B面側のスタンパーに歪があったのだ。
それで、こういうプレスになった。

さて、考えると、当時そういう盤を平気で売っていたのか?という疑問が沸々とわく。
何故ならば、今回のコレクションは実はヴォーグレーベルの経営の関係者が持っていた物らしかったので、ヘンなものでは無さそう。
するとこれが正規な盤であったと考えられる。
ということであれば、これは普通に売られていた物と思って差し支えない。
こんな盤を平気な顔をして売るとは厚顔無恥。
ならば、掛かる掛からないか確認をするしかないと、家に持って帰って聴いてみた。
針圧8グラムの初期型のオルトフォンのカートリッジが活躍。
あら不思議。
カートリッジは全く動じる事が無いばかりか、音質も重厚感たっぷりのいたって良好。
ヘッドがピョコピョコと上下動する事もなく、静かに機関車が進むごとく、堂々としたもの。
これは商品として問題無い、という事を確認。

60年前に遡って当時の事情を想像すると、まだステレオなど存在せず、モノラル装置で聴いていて、当然針圧は8〜10グラム。
トレースに全く問題などあるはずもなく、商品としても問題は無かったのだ。
ステレオが出来て、更に針圧が1.5グラムなどという時代になったからこそ、こういう事が出て来る。
ステレオとモノの違いが大きすぎて、オジサンたまげた!

というわけで、そういう装置を持っているマニアの方にのみ販売。
状態はキズのない良好さで¥35,000円。

MARION BROWN “LE TEMPS FOU” POLYDOR
2013/12/08

MARION BROWN “LE TEMPS FOU” POLYDOR 658.142 (FRANCE)

珍しいレコードの入荷。
さて、これほどカッコ良いアルバムは他に無い。

どのくらいカッコ良いかというと。
音楽を言葉で表すのは限界があるので、比較の話で。
かつて私が持っていたフリージャズのコレクションの中で、これだけは何があっても売るまい、子孫に残して必ず聴けと、遺言でも残そうかとも思ったレコードが2枚ある。
いや、あるではなくあった。嘘を言っちゃいかんな。
まずJOE McPHEEの”NATION TIME” それと、そしてこれ。
残念ながら、店を経営して行く流れの中で「お気に入り」を持ちこたえる夢は叶うべくもなく、すでに手元にはない。

ただ、いまから20年前に遡ると、NATION TIMEはまだ価格が付かない程の廉価盤。
価値観などそんなもの。
一方こちら、マリオン・ブラウンの1968年録音のナイス・ジャケットのこのレコードは6万円であった。
6万円といってもブルーノート盤のように最初から諦めてしまうような高額知名度ではなく、3千円位で見つかるだろうと思いながら探していると、有名ショップの壁に飾られていて6万の価格に驚く、というところの価格。
しかし、いかに当時でもマニアに演奏内容の偉大さが認められていたかが分かろうというもの。
そもそも彼の作品の価格は相対的に安い。
それなのに、これだけが傑出して高額なのである。
それだけ欧州のマニアにおいても音楽的評価が高く、かつレア度の評価も又高いという事が分かろうという物である。
とここまで頑張って書いて来たが読み返すと、説明空しく全く価値観が伝わっていない事に気づいたものの、これ以上饒舌な表現力を持たぬ私にはどうする事も出来ない。
もはやこれまで。

ではどのくらい珍しかったか。
当店が開店当時、相当のフリージャズのコレクターが店に来てくれたが、多くの方々がこのレコードを知らなかった。それで、ああ、やっぱり珍しい物なのだと思った次第。
確かに、このアルバムも日本でもほとんど見る事がなかった。
評論家の書いたものの中にも、紹介記事にほとんどお目に掛かった事がない。
そうだ、評論家などの書いたものを追っかけても良いレコードは手に入らないのだ。
それは置いといて。
説明しづらいので、この辺で止めよう。

では元に戻って、どのくらいカッコ良いか、再確認と。
ジャケットの不思議なカッコ良さは一体何だ。
まるでお隣の国が禁止した旭日旗を、青くしたようではないか。
しかし、建造物の角に立って演奏しているような、遠近感がアッチコッチに飛んだような、不思議な感覚にさせられる。
中々、シュールでいいジャケット・デザインだ。

A面の冒頭から劇的な演奏である。
それもそのはず、これはフランスの映画のサントラなのである。
残念ながら映画は見たことがない。
ところで、B面の方がもっとカッコ良い。
STEVE McCALLのドラマの刻み方が良い。
ベースがBARRE PHILLIPSとは、これまたイケるメンバー。
例によってGUNTER HAMPELが入り、ヴィブ、バスクラなど多彩な音を入れてくれる。
抜群のノリで、フリージャズがこんなにノリが良くしてしまって、いいのかと心配してしまうが、フリージャズとはフリーフォーム・ジャズであり、自由ならフリーという事。
うん、いいね。
6人のユニットで見事な映画音楽。

最近はレアグルーブ名盤に入っているそうだ。
多分レアグルーブ・ジャンルにおいてもトップクラスであろう。

再度、読み返してみると...。
無駄な文章で成り立っているのだな、オレの文章は。
まるで、オレの人生そのもの。

多忙
2013/12/07

従業員は友人の結婚式だと言って、京都の方に出かけたので、土日の二日間は私一人。
商売の大事な時期だけに、抜けられると痛いが仕方ない。
朝からトイレ掃除、片付けと働くともうそれだけで閉店にしたくなってしまうほどの疲れよう、いや本当に弱くなった。
おまけに窓側に座っていると冷えて仕方が無い。
文句ばかりでイカン。

気を取り直して。
今朝、公園で見た猫の銅像の写真でも。

TERRY GIBBS “TAKE IT FROM ME” IMPULSE
2013/12/06

TERRY GIBBS “TAKE IT FROM ME” IMPULSE A-58 (USA)

こんな良い演奏のレコード入荷。
コーティング・ジャケットを見れば彼が演奏している何の変哲もない写真である。
ジャケットについて取り立てて話をすることはない、そこで、ちょっとその前に。

私が店を始めて思った事の一つに、ヴィブラフォンの嫌いな人の多い事。
勿論、フルート、ギターも同じ部類に入るが、圧倒的にヴァイブ嫌いが多い。
それでは、あまりにヴァイブ奏者が可哀想なので、ちょっと紹介をしたいのだ。

また、ハルズの親父は生意気なことばかり書きやがってと怒られるのは十分承知で。

ヴィブラフォンのレコードを聴いて面白くないのに一つ大きな理由がる。
それはオーディオが鳴っていないから。
ちゃんと鳴っていればその鋭いサウンドが分かる。
演奏者の指の背が潰れるほどの、強い叩き方が伝わるはずである。
あちこちの本で読んだので忘れてしまったが。
「あるヴァイブ奏者の指を見たら潰れていて驚いた。それでどうしてこんなになったのかと聞くと、強く叩かないと、音が響かないから」と言われて、プロとは、ここまで努力をし、実際こう言う者かと腰が抜けたという話。

聴けば音の強さに感銘を受けるはずである。
もう一つ、ギターもそうである。
貧乏くさいと音だと言っている人こそ、オーディオが鳴っていれば、驚きの演奏が解るはず。
しかし、こういう音がしっかりと鳴らすのは大変でもあり、誰でもがオーディオ道に血道を上げている訳ではないので、私がいう事は無理難題である。承知はしている。
だけどそれなりに鳴らす努力はして欲しい。
お金を掛けなくとも、やる方法は多々あるはずである。

それで、このアルバム。
小気味の良いヴァイブの音にKENNY BARRELLのギターが絡む、ピアノが居ない分、余計に二つの音の印象が深い。この二つの楽器が絡むと、よりスイング感が出る。
自信に溢れた二人の音は淡々と進む、前になり後ろになり、猫がじゃれ合って歩いているような軽快さがいい。
バレルのギターはブルースの味わいがあって、こういう時には本当にジャズを聴いている気にさせてくれる。

ギブスの40歳の時の演奏で、音楽家らしい無駄の無い優れた楽曲で、それでいて親しみを感じさせてくれる
通好みの良いアルバムだ。
こういうのを探すのが趣味の面白いところでもあり、これがまた愛聴盤にもなる。

EUROPEAN ALL STARS  「ROOM1220」 「さび」
2013/12/05

EUROPEAN ALL STARS (JOHN SURMAN-SLBERT MANGELSDORF) “ROOM 1220” トリオ ESP-9014 (日本)
EDDIE LOUISE-JOHN SURMAN “さび” 日本コロムビア(MPS) YS-2506MP (日本)

一日の差で、これらのアルバムが2枚入荷したとは珍しい。
こんな事もあろうか、では一遍に書いてしまおう。
何故2枚一遍かというと、大阪万博関連のアルバムであるから。

まず、ROOM1220。
これは油井先生のライナーによると、公式の日本滞在の期限が過ぎたので、JOHN SURMANとALBERT MANGELSDORFの二人は、赤坂東急ホテルのシングル・ルームを引き払って、一緒のツイン部屋にした。
その部屋番号が1220だったのである。
なあんだクソ面白くなかった?すみません。
でも、私が付けたネ−ミングではないんで。ハイ。
でもジャケットは素敵で、真っピンクで、真ん中にオレンジに抜き、その中に1220と銀色の文字が躍る。
上部には「ROOM 1220 EUROPEAN ALL STARS AT THE MIDNIGHT」と文字がある。正に深夜の録音だったといいたい。
裏ジャケは真っ青。演奏中の光景が抽象的に浮かぶのみ。
インパクトの強い造りで今見ても、私などのマニアは心が躍る、血沸き肉躍る嬉しさ。
ダブル・ジャケットを開くと、油井先生のライナーを読むことが出来るが、このライナーこそ実に重要なのであるが、それは、次の「さび」の所に記す。
演奏はジョンサーマンとマンゲルスドルフの二人にペデルセン、ダニエル・ユメール、エディ・ルイスのクインテットである。
録音が飯野ホールであったので、ライブだったかと思っていたのだが、録音だったので、今更だが納得。
演奏は冷静沈着な中に当時の熱気が伝わる。
演奏は素晴らしいので、今更、書く事は何もない。


さて、もう一枚のアルバム「さび」。
ROOM1220も欲しいが、こちらも欲しい。白地に墨で、ひらがな二文字で「さび」と書き切った所が素敵。
30センチ四方の中に「さび」の二文字、バックは白、和紙のイメージそのものである。正に「寂び」。
よくぞやった。
カッコいい。世界に出しても恥ずかしくないとはこの事。

さて、侘び寂びの効いた厳かなダブル・ジャケットを開くと、おっと、ここも油井先生のライナー。
そう、大阪万博関連のレコードは油井先生抜きでは語る事が出来ないのである。
それどころでは無く、当時のマニアに取って、怒りと、涙なくして語る事ができない、万博のジャズ事情。
さて、その内幕とは。
ちょっとライナーを拝借し、当時の噂話を思い出して加味し、勝手に着色する。
例によって江戸時代の瓦版のように、ある事ない事、ごちゃまぜなので、寛容な心で読んでいただきたい。

70年8月18日・19日の2日間、大阪万博の万国博ホールで、ジャズフェスティバル開かれた。
その準備が2年前に始まった。当初の規模は10日間の期間で予算も付けると。
しかし1年前になると事務局から中止命令が下された。理由は予算が無くなったと。
堺屋 太一が、ジャズに興味が無いので、切ったという噂が飛んだ。
それで新聞各社も異論を掲載、読者も怒った。
油井先生はじめジャズフェス実行委員会も怒った。何とかならないかと折衝を続けた所、僅かに雀の涙ほどの予算が付いた。
「お前ら俺の命令に逆らってもやりたきゃ、やってみろ」といわんばかり。
いじめ状態。
昔はこういう時に「継子扱い」と言ったものだが、今はいじめと。
時代を反映しているな、私も。脱線しないで。

油井先生達も、日本のジャズ文化のために、最初にやるとぶち上げた以上、振り上げた腕の下す所もなく、やるしかない。
しかし、無い袖は振れない。
予算の都合により、泣く泣く米国勢は切るしかなかった。
悩んだ挙句、仲良しのヨアヒム・ベーレントに相談すると、それなら良いアイディアがあると。
ちょうどヨーロピアン・ポール・ウイナーズが発表されたが、皆若手ばかり、新進気鋭の彼等はまだ若くて、ギャラが安い、人数もいる、その上斬新で滅法良いと来ている。
それがベルリン・ジャズ・フェスティバルに出演した所、大好評でマスコミにも受けが良かった。そのメンバーなら何とかしてくれると。帰りに香港にも寄って演奏をするのでギャラも安くて良い。
知名度は無いがそれで行こうという事になったが、交通費も払えない、と困っていると天の助けか、いや空から飛行機の助け、ルフトハンザ航空が手を貸してくれると。
金持ちと言われる日本の空の会社も、当時の役人もジャズには厳しかった。
ジャズは不良の音楽だったからね。
だが、ここに日本人グループも加わり、ようやく万博ジャズ・フェスティバルが実現したのである。
ある意味目出度しではある。
がしかし、油井先生はその後も相当に怒っていたようだ。
ファンは皆、解っておりました。

先生の活躍で、ジョン・サーマンなどが日本のジャズファンに知られるようになり、ジャズはアメリカだけでなく、ヨーロッパでも斬新で興味深い、より掘り下げたジャズをやっている事が分かった。
よって世界には色々なジャズがあり、それによれば日本のジャズも捨てたものではないと認識されるに至った。

そんな、重要な作品群が70年に日本で作られたのは、日本人の一ファンとして本当に自慢したい。
これらの関連アルバムは直接・間接に関わらず、他に「実況録音盤(東芝)」や「TRIO BY CONTACT(日本コロムビア)」などもある。

今回はさわりの2枚だけ。

オートマ
2013/12/03

ポルシェの新しい「GT3」(991-GT3)なんとオートマになるらしい。
ニッサンのGTRのオートマ化以来、ヒール・アンド・トゥも不要になり、マニアや走り屋の車は社会から無くなり、初心者でもスポーツカーを操った気になれる車の時代の到来。
日産などオートマで良いさ、大量生産大量販売の会社だから、だけどポルシェよ、お前もか!
お前はレース屋ではなかったのか?
オジサンは淋しい。
ここで急にクールになって、ま、もちろんレース屋ではないわな。
そんなことは知ってたさ。
だけど、マニアのための車だったじゃないか、GT3は。

いままでのように、2速のドリフトが出来なければ、GT3は乗れないとか、3速のドリフトが出来ないとフェラーリのF40には乗れないとか、そういう事が嬉しくてやってきた。
まあこんな話などすれば、ウザイ親父の昔話と言われる事になるのだな。
今日からお金さえ払えば、500馬力台の車に乗る事が出来る時代になった。
スポーツカーに乗りたいばかりに、一生懸命に運転の練習をするのも過去の事。
お金が全ての時代に、突入したのだろうか。

F1からマニュアル・ミッションが消えて久しい。
それでもだれも元に戻せとは言わない。
楽な方が良いのだな。
車は所詮スポーツではないからな。

しかし、どんどん社会から疎外されていくなあ、オレの人生。

燃費
2013/12/02

車の燃費の良さを競うようになって、車が変わった。
乗る人も変わった。

先日会ったある人がトヨタのレクサスに乗っていると。
日本版ベンツかと思って聞いていると。
燃費が20キロだか走るそうだ。
ふーんと聞き流すと「こんな良い車に乗っているなんて他人に言わないでよ、やっかむから」。

へっ!
考えてしまった。
燃費の良さが車の自慢の要素の一つだとは思わなかった。
車は走りだと思っていたから、オジサン気が遠くなる所だった。

と言う話を知人にしたら、お前の方がオカシイと言われてしまった。
時代は変わったいた。
残念。

WHILLEM BREUKER-HAN BENNINK & OTHERS “INSTANT COMPOSERS POOL” ICP 007/008
2013/12/01

WHILLEM BREUKER-HAN BENNINK & OTHERS “INSTANT COMPOSERS POOL” ICP 007/008 (HOLLAND)

このジャケットは変形で、丸い箱に2枚レコードが入っている。
箱の上部は教会や工場らしい建物の前景に野菜畑があって、なんだかオランダの郊外の風景のようでもある。
きっと意味はあるのだろう。
ひっくり返すと、これはただの室内。ハン・ベニンクの家の部屋であろうかと想像してしまったが、ペルシャ絨緞が敷かれ、スピーカーとストーブが並んでいる、奥に籐の椅子。
シュールを狙ったのであろうか、だが芸術的な要素は感じない。
ただ、箱の周囲を紫と金色で巻いてちょっと豪華な感じにしてある。
チョコレートボックスと言われる所以である。
これを日本ではチョコレートボックスとは言わないが、本国では皆そう言う。まあ人それぞれと。
だがそんなところが余計にコレクター心をくすぐるのだろう、オランダ本国では大変な人気で、非常に高額で取引されている。

演奏はもちろんICPなので、フリージャズの力作である。
ブロイカーの作、アレンジによる即興演奏のための一大オランダ・フリージャズ抒情詩である。
演奏に感じるのは、日常的な音楽を聞かせては破壊するという行為を延々と聴かせて見せる、演奏を見られるならばきっと楽しい笑いが巻き起こったことであろう。
過去を破壊して歩いたアナーキーな演奏である。
それはエキサイティングであり、繊細であり、パワフルであり、優しさであり、そのサウンドが交互に表れては消える。
例えば、レコード番号8番では「おじいさんの時計」の歌も延々と出て来る。
慣れ親しんだ光景が繰り広げられる・
B面では、デキシー・ジャズのフレーズがそこかしこに飛び出す。
人々の笑いがあり、街の風景が浮かび、そこから音楽はパレードとなり街から街へと練り歩く。
子供たちは付いて歩く。
やがて、突然ユーモアは破壊される、そこから音は飛び出すと、飛び散って、引き裂かれ、取りとめも無く広がる。
そこは宇宙かも知れず、アフリカの混沌とした世界かも知れぬ、やがて何かの切掛けを得て、音は徐々に束ねられてまとまり、街の雑踏に帰る。
我々のジャズの根源即ちブルースとは、街の雑踏のパレードであり、大道芸であると音楽で言い切った彼等。
オランダのデキシーやダッチ・スイングこそジャズだと、開き直った所に真骨頂がある。
何もアメリカのブルースばかりに頼らなくても良いのではないかと、我々のオランダの街のなかにこそ、我々のジャズの根源が、いやオランダの音楽の根源があると。

イギリス等のフリージャズとは違うと演ってみせた。
芝居がかったこの音楽こそオランダ・フリージャズ運動の見本のような気がするのだ。
かれらが作り上げたものも、またオランダ・ジャズであった。
それは見事だ。
恐るべしベニンクとブロイカー、アナーキーな彼等により69年にこうした運動が行われていたとは。

CHET BAKER “QUARTET VOL.2” SWING
2013/11/30

CHET BAKER “QUARTET VOL.2” SWING M33.334 10インチ盤 (FRANCE)

今回の入荷のチェットは、チェットだけにチョット面白い。
冒頭から面白くなかった。
気を取り直して。

このアルバムはPACIFIC JAZZの10インチ盤のFeaturing Russ Freeman (PJLP-6)が原盤である。
それのフランスのプレスである。
ところが、ジャケットが写真の通り、ちょっと違っている。
まずこの写真はコロンビア盤のストリングと共演したWITH STRINGS(CL549)の写真である。
あるのだが、その写真とも違う。きっと同じ時に撮影したの物であろう。
比べるとコロンビア盤の方はトランペットが見えない。ところがこちらの方はトランペットを手に、膝に立てた。
さあこれから、一丁演ってやるかという気合の入った場面である。
良い写真である。
何よりジャズのトランペッターにして置くのが勿体ないハンサムぶりで、横顔がこれだけハンサムな人も珍しい。
前髪がハラリと一筋、カーブを描いて垂れた所もハンサムの横顔に似合う。
まるで映画の一シーンを、スティール写真というのだろうか、そんな撮影をしたかのような写真である。

写真だけでも価値がありそうなので、掲載してみた。
このアルバムは1954年頃の発売なので、綺麗な音で聴く事が出来るものが極めて少ない。
そう言う意味でも、綺麗な盤で良かった。
長い年月を経てチェットの音楽が、現代の人々に、生活に疲れた人々に、心に癒しを求めている人々に、大いに助けになっているとしたら、こういうジャズもありだったのかと感慨深いものがある。

かくいう私も時々、一枚しか持っていない「SINGS」などを引っ張り出して聴いている。
一曲目など全部口笛で吹ける程まで来たから。
その話は置いといて。

このアルバムがフランスのスイング・レーベルで出されたところも、なんだか嬉しい。
しかし、パシフィック・レーベルというのは、何だねGERRY MULLIGANもそうだけれど、タイトルが「QUARTET」と言うのが一杯あって困る。
もう少し一ひねりしたタイトルに出来なかったものか、せっかくの作品なのに、いつもイライラさせられる。
今更だけど。

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