HAL'S DIARY
オーナーのひとりごと。買付けの裏日記など。
きまぐれに更新しています。

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逆流性食道炎
2014/07/13

どうも、口臭がヒドイし、空腹時に口の中も苦味を感じてしまうので、検査をした結果は、逆流性食道炎。

結構、辛いものだ。
お客様が来る度にガムを食べるわけにもいかないし。
治さないといけない。

JERI SOUTHERN “WHEN YOUR HEART’S ON FIRE”
2014/07/12

JERI SOUTHERN “WHEN YOUR HEART’S ON FIRE” DECCA DL8394 (USA)

この人の歌は、通り掛けに耳にした時に、ふと立ち止まって聴き入ってしまうような雰囲気である。
仕事をしていても、手を止めて聴いてしまう。
気付くと裏面も聴いている。
きっと、良い歌手なのだろう。

同じDECCAの「YOU BETTER GO NOW」「SOUTHERN STYLE」, ROULETTEの「SOUTHERN BREEZE」など、どれを聴いても大人の雰囲気と上品さと、丁寧でそして哀愁が滲み出て来て良い。
「YOU BETTER GO NOW」の歌など、オジサン抱きしめて上げたい気持ちになってしまう。
本当に危ないオジサンになってきた。モトエ。

各々ジャケットのデザインも素敵である。
私が感心しているのだが、その割に、世間であまり凄いとは言われている様子も無い。
きっと私の好みなのであろう。

彼女の声は決して高い声を自慢げに聴かせることは何のだが、なぜかハスキーな感じと声の周囲に漂う哀愁が、何とも耳に残る。
素敵な歌手である。
オマケにジャケットを見ていると、何処かに必ず美人の写真がある。
どうしたって美人は徳である。ちょっと古風な美人で、そういうのオジサンは好きだ。
仕方ない。

と、書いて来て読み返すと、私のようなオジサンしか聴かないような人にされてしまうような感じになってしまう、
それでは彼女に申し訳ない。
ちょっと前の事、アメリカから来られた若い男性が、ちょうど店にあった彼女のアルバムを3枚まとめて購入された。
「そんなレコードはアメリカで買いなよ」と言って上げたら。
真剣な顔になって「好きでずっと探していたのだが、もうアメリカにはこういう綺麗なレコードは無いから」と言っっていた。
話によると結構、アメリカでは評価が高いらしい。

ところで、このアルバム。
しみじみ、ジャケットを眺めていたが、タイトルの「WHEN YOUR HEART’S ON FIRE」という曲が入っていない。
ヘンだなと思いながら聴いていたら、ちょうど出て来た、「SMOKE GET IN YOUR EYES」の歌詞が。
その中のフレーズだったのだな。
解って良かった。
分かったとたん嬉しくなって、また聴いてしまった。
しかし、うまい事タイトルを付けるものだと、甚く感心した。
ま、それを書きたかったのだけれど...。

ハートが恋に燃え上っていた時
当然、その後には、悟る時が来て
煙が目にしみる

恋が燃え上がった分だけ、終わったあとは、煙が目に滲みる、なんて素敵な言い回し。良い歌だね。

という単純な歌だけど、こういうトーチ・ソングも今聴いても中々良い。
ずっと同じムードで続けてあるのが好ましい。
次々と良い歌が出て来てしまう。
仕事にならねー。

KENNY BURRELL “A NIGHT AT THE VANGUARD”
2014/07/11

KENNY BURRELL “A NIGHT AT THE VANGUARD” ARGO LP655 (USA)

これは珍しいアルバムの入荷。
このアルバムは近年見かける事も稀になった。

先日、久しぶりに友人が来てケニーバレルのレコードで何が好きかという話になった時、友人はすかさず、このアルバムだと言った。
なるほど長い事ジャズを聴き続けた事はあるものだと感心して、私も同調したので、大いに気分が良くなったらしく、話が長引いた。
だけど、本当に私もそう思う。

このアルバムは、昔からあまり綺麗な物が無くて入手に苦労した記憶がある。
良い物は昔から簡単に入手など出来なかったのだ。
と言う昔話は置いといて。
ジャケットを見ると、ギターを持って演奏中の真剣な眼差しの写真。
後ろは漆黒の暗闇。
あたかもクラブの中で演奏していると言いたいのだ。
その通り、ここは1959年の有名なクラブのビレッジ・バンガード。
トリオはRICHARD DAVIS(リチャード・デイビス)、ROY HYANES(ロイ・ヘインズ)。
まあ、あの時代は本当に凄い人達が集まったものである。
人の出会いの不思議さよ。
演奏は当時レギュラー、だっかどうか不明だが3人でニューポートにも出演した。
ま、間違いなく気心の知れたメンバーだった。

早速聴こう。
このアルバムを聴くと、私はなぜかウエス・モンゴメリーのSMOKIN’ AT THE HALF NOTE(VERVE)を思いだしてしまう。
勿論メンバーも演奏もスタイルも違うのだけれども、ライブ独特の音楽の雰囲気、そして、ノリ方。
あちらはノリノリでグングン進行していく凄さがあるのだが、こちらは全部ノリノリではない。
所々、調子を落として観客も自分もクールダウンするコツを得ている。
しかし、一たびノルと、そこは天才バレル君、有無を言わせぬ力強さを感じさせるスイング感。
そんな時、音の向こう側にウエスの顔がにっこり笑って、浮かんで来てしまう。
ま、良い作品には何とは言えないが共通点があるものだな。
家にある昔のモノラル・カートリッジで聴くと、ギターの音が立っていて感心した。

ところで、この3人の絡みの見事さ、息の合った演奏でA面、B面と全部聴いてしまう。
ギターのレコードと言う物は、ライブ演奏が似合うのかな?

こういう作品は深夜に一人で聴きたい。
強い酒でも飲んで。

和菓子
2014/07/09

前々から時々、買って食べている饅頭。いや、饅頭ではなく和菓子。

新宿区 大久保駅近くの和菓子屋「源太」。
源太などと腕白坊主のような名前であるが、それが上品な和菓子。
お茶の関係の方々に聞くと当然の店だという、それが、最近は若い人にも人気であるらしい。
らしいというのは、店に行ったことが無いから。
それは全て予約制でいきなり「くださいな」と行っても、モノがない。
銀座の最中(もなか)の老舗「空也」と同じ様な事らしい。
また噂によると、茶の湯菓子専門店であるから、予約しても主人にお茶の話などを振られると、話せないので困ってしまうという事も聞いた。
それでは、お茶の嗜みのない私など、こういう場所には行けない。

じゃ、何処で買うのかと言うと、たった週一回、木曜日だけ新宿伊勢丹に出る。
それを午前中に買いに行く。
ところが欠点があって、6個入りの箱売りで2400円也。
日持ちがしないので、一つだけで良い物を、一気に3つも食べてしまう事になる。
コレステロールの値が上がる。
というジレンマがある。
有るが、食べたい。
という意地汚い話になる。

ところで、饅頭じゃなくて菓子はなるほど美味しい。
例えば、百貨店に必ずと言って良いほど入っている、名店「鶴屋吉信」などと、別にどっちが美味しいというものでもない。
個人的には「鶴屋吉信」の方がしっかりして好みではあるが。
それはそれ、これはこれ。
お茶の菓子としては、なかなかのものだろうと思う。
特に近年の飽食の時代には、甘い菓子より、やや抑えた方がウケる。
そういう意味では、茶道に親しんだ上流階級の奥様方は甘いものや脂ぎった食べ物は嫌がられるはずで、柔らかく、程好い甘さが、受けるのだと思う。

いや、どっちもどっちか。

AL HAIG “TODAY”
2014/07/08

AL HAIG “TODAY” MINT  AL-711 (USA)

さて、こんなナイス・アルバムの入荷。
先日、このレコードのラベルのオリジナルの判定について一言、書いたばかりなので、ここで切り返しても仕方ない。
ちょっとだけその部分を要約すると、ラベルが「黒い葉」と「緑の葉」の2種類ある分、説も二説あって、決め手は無い。
基本的に、自分が持っている方がオリジナルという説になってしまうのは仕方が無い。
どちらが良いかと言う話は置いといて。
ところで、緑の葉のラベルは711番と記載があるが、黒い葉の方は番号が無かった記憶がある。
おかしな事である。
しかし悩む、あそうだ両方持っていれば解決する。

このレコードは70年代に出版された「幻の名盤読本」等で、廃盤ブームの中でも圧倒的存在として、マニア垂涎盤として上位にあった。
私も大騒ぎして入手した記憶がある。

アル・ヘイグは「ビ・バップ」ピアノ演奏家の一人として一時代を築いた。
しかし思うのだが、ビ・バップのピアニストは圧倒的に白人が多いのが不思議で仕方がない。
黒人と言えばバド・パウエルとモンクくらいなのである。
それでもその2人の存在が大きすぎるので良しとする。
それで、話は戻って、アル・ヘイグはビ・バップからモダン・ジャズの流れの中で、頑張って演奏を続けており、マイルス・デイビスの「クールの誕生」にも参加している重要人物である。

そしてドラッグなどの影響で途中引退するが、65年に復帰したのがこの作品である。
白人らしい淡々とした流れがあって、しかも音楽の奥深さを感じさせる、味わい深い作品で、世の中に多々あるピアノトリオの作品の中でもトップクラスの演奏である。
ピアノトリオ好きには、お奨めできる好アルバムである。
何しろ、60年代で しっかり聴ける作品はこれしか無いのだ。

ジャケの写真は手前にベースがあって、その奥に彼がピアノの前に座っているという、演奏中のスタジオ風景。
さりげなさが、いかにもお金を掛けてないレコード制作という様子が伝わって来て、そこがそれ、ジャズ・マニアとしては好ましい。
そして、ピカピカに光ったコーティングがマニアにはソソられる。

さて そのまま、復帰してうまく音楽人生が進むと思ったら大間違い。
60年代終りに、2度目の夫人の殺人事件を引き起こす。
噂によると、ある日、彼は両手で奥さんをバーベルのように持ち上げて、あろうことか、開けていた二階の窓から、そのまま下の道路に投げ捨てたのだ。
そのまま夫人は死に、彼は殺人罪で刑務所に入る。重刑であった。

ところが、何故か突然釈放されたのだ。
理由はアルコールとか薬の影響だという事に加え、彼は元来精神的な病気もあったという事であった。
日本でも刑罰の決め手となる問題点、心神喪失という事だったのだろう。
そういった不可思議な釈放に、知人たちが驚いたという。
ともかく、人生を棒に振るような重大事件も有りながら、なんとかモダンジャズの音楽を続けてきた。

その後、彼は再び蘇り、74年にSPOTLITEから「INVITATION」をリリースする。
これはまた実力を示す大傑作となり、久々に大いに評価を上げた。

危うく音楽人生さえも俸に振るところを、なんとか戦後のモダンジャズの道を歩んで来た事は不幸中の幸いであった。

精神的な問題などが無ければ、大物ピアニストであっただけに、実に惜しい。
しかし、不幸中の幸いが彼を救ったのだ。

彼は昔の評論家の間では、非常に評価が高いピアニストであった事を付け加えておきたい。
個人的にも、一番に挙げておきたい。

HORACE SILVER “THE STYLINGS OF SILVER”
2014/07/07

HORACE SILVER “THE STYLINGS OF SILVER” BLUE NOTE 1562 (USA)

久々の入荷。
こんなのが久々かと言われそうだが、きょう日、ラベルが「47WEST63rd・NYC」の後に「23」が付いた、それも両面。
こういうオリジナル盤で状態の良いものは、そうそうある物ではない。
ジャケットの作りも初期のものはちょっと雰囲気が違って、その後の番号に比べ実際にやや薄めである。所が、それにも関わらず重厚感が感じられ、さすがに風格がある。
ジャケットを手に取っただけでその瞬間、私など昔レコード集めを始めた頃を思い出し、胸が熱くなる。

このアルバムのタイトルが特に良い。
正規の純度のスターリング・シルバー(sterling silver)と掛けて、スタイリング・シルバーとはこれいかに。
これぞ本当のシルバーのスタイルだと。
良くぞ言った。
その自信ある姿勢はジャケットの姿勢に現れていて、なんと国連の建物の前で写真に納まったのである。
これぞ世界に通用するシルバーである。
ジャズのレコードにここまでの自信ある姿勢を見せたものがあろうか。
そこまで凄かったかと言われると、その通り1950年代に於いては、彼はハードバップの申し子であった。

その証拠はというと。
まず、1954年ハードバップの誕生の証拠と言われる演奏の、A Night at Birdland (Blue Note 1522/1523 )に参加を皮切りに、ブルーノートに於いて、ハードバップの最も濃いテイストを出すピアニストとして尊重されるのである。
有名盤だけを羅列すると。
Kenny Dorham Afro-Cuban (1535)1955
J. R. Monterose (1536)1956
Lee Morgan Lee Morgan Indeed! (1538)1956 そして、Vol/2 (1541)1956
Hank Mobley Qintet(1550)1957
Sonny Rollins, Vol. 2(1558)1957
これだけで一体いくらになるのだと。
そう、ハードバップの初期の大名盤、それもブルーノートの1500番台の前半は彼無くして成り立たないのである。
1500番台後半はちょっとテイストが違って暗めのソニークラークという天才が現れ、その地位を譲ってしまうとは言え、ブルーノートの最も右肩上がりの良い時期の代表ピアニストであったのだ。
我々も当時、ホレス・シルバー無くして、ハードバップのコレクションが成り立たない程の重鎮であったのだ。

その、もっとも美味しい時期の作品がこれという訳。
最初の「NO SMOKIN’」は、ハンク・モブレイとアート・ファーマーの親しみ易いサウンドが全面に出て、時折カンカンと鳴るシンバルの音も、いかにもハードバップで、ハードバップで育った私としては、心から嬉しくなる。
ハードバップとはこういう演奏だったと、改めて聴き直した。
惚れた。
首を振って、昔のジャズ喫茶状態だわい。

彼は、この後も演奏、作曲で大活躍し、63年の大ヒット作、「Song for My Father(4185)」のリリースなど、実力ぶりを発揮する。
彼のサウンドはハードバップからファンキー、ソウルと当時の黒人音楽の良い所をこれでもかと聴かせてくれた。
まさにアメリカのジャズであり、アメリカ合衆国の音楽そのものであった。
彼の音楽に親しみ易いメロディが多い事と、それ故に、ヒットの後は飽きられるのも無理はない。
ある意味、コレクターなら、誰でもが家の棚に5枚以上は入っているジャズメンなのである。

生まれた年代を探してネットを調べていたら、WIKIの文中に「PARAGON」という単語が出て来た。
「パラゴン」とは模範と言う意味だったな。
だが、私にはJBLのあのスピーカー名器のパラゴンとダブってしまい、ジャズが単純でガンガン走っていく、サウンドが良かった時代と、JBLのパラゴンがジャズ喫茶でガンガン鳴っていた時代が、まさに、ジャズという音楽とサウンドが一致する「模範」であり「手本」であったのだと改めて思った。
亡くなってしってから思えば、我々日本人のジャズファンにとっては、ジャズの学習を始めた頃には、誰もが、欠く事が出来ない存在であった。

カプチーノ
2014/07/06

今朝は9時に某所のセガフレードに行ってカプチーノ。
顔見知りの女の子が「美味しく淹れなくちゃ」と、一生懸命に入れてくれた。
何気ない会話だったのだけれど、「美味しく淹れなくちゃ」という、その言葉だけで、オジサンもう嬉しくて、一日が楽しくなりそう。
良い人だね。
というより優秀な社員だね。

ちょっと時間が空いたらしいので、どうやって練習しているのかと尋ねると。
まず研修が数か月あって、そこでOKがでると、ショップでマシンを相手に仕事をする。
その間も練習が欠かせない。
その後、ショップのマネージャーのテストがあって、それもクリアしないといけないという事だった。
厳しいものだ。
「私はまだまだです」と言うので、失礼ながら試させて頂いたが、砂糖だって沈んでしまう訳でもなく、水面も見える訳でもなく、ふわっと感も、クリーミーさも、味も、この業界の中では、しっかりしたレベルである。
それが、まだまだと謙遜するのであるから、先は大変なのであろう。
修業して良いバリスタになって欲しい、と思った。

私も、こういう仕事やりたいな。
今から入れてくれるかしらん、と思ったりする。
思うのは勝手だわい。

HANNIBAL MARVIN PETERSON  "HANNNIBAL"
2014/07/05

HANNIBAL MARVIN PETERSON  "HANNNIBAL"  MPS/BASF 20 22669-7  (GERMANY)

ハンニバル続きで。
ちょうど上手く入荷が続いた。

このレコードは演奏もジャケットも、私の好きなレコードの一枚である。
そして、なによりも思い入れの強いアルバムである。
昔、レコード屋に新入荷で入荷したのを見て、ジャケ買いした一枚であった。
家に帰って聴けば、新主流の音楽らしく、ちょっとフリージャズっぽさが同居した所が斬新。
なによりこのジャケットが良い。
これほどの見事なジャケット・デザインが他にあろうか。

ジャケットは動物園の象さんが主役である。
まだ仕事の途中であろうか、演技台にどっかり座った象さん。
きっと、「よっこい庄一」と言ったかどうかは、わからないが兎に角、座った。
そして象が上を向くと、なんと鼻がトランペットになった。
前足を上げ、口も開け、天に真っ直ぐに伸ばした、そのラッパ付きの鼻で、ブフォーと叫んだ。

そんな様子の「ブリキのオモチャ」を写真に使ってある。
バックはタバコの煙をくゆらせてある青い色。
漆黒の闇の中に、どっかり座ったブリキの象さん。

話は大きく過去に遡って、ハンニバルは、かつてローマ帝国を苦しめたカルタゴの英雄で、象を使った象騎兵隊を伴った。
当時、世界最大にして最強を誇った機動力ある軍隊であった。
祖国の為に戦い続け、連戦連勝、しかも最後は家族にも、祖国にも裏切られるという悲劇の将軍だった。
そういうハンニバルの歴史に思いを馳せ、このアルバムを聴くとなんとも言えぬ愛着がわく。

そのハンニバルの騎兵隊の象と、ハンニバル・マービン・ピーターソンのトランペットを掛けたところが、洒落ている。
なにより、このオモチャを良くぞ探し当て、更にこのジャケットに使おうと思った所が素晴らしい。
それにしても良いジャケットだ。

「ハンニバルこそ、ジャズ界のモハメッド・アリだ」とニューヨーク・タイムズに載ったと聞いた事があるが、自由自在のソロはまさにアリそのもの。
傘に掛かってサウンドが降り注ぐ。
ストレートというか数限りないジャブと言うか、もし数える事が出来るならば、その数は数万、数十万、いや数百万という数になるのだろうか、とにかく凄い。
激しいトランペットのサウンドの攻撃的な演奏のあとは、民族的なサウンドにもなり、必ず安らぎはある。
こんなトランペットを初めて聞いた時の我々の感激は、今の方々には想像もできないだろう。
サウンドの突き刺さる激しさにおいて、ウッディ・ショウかハンニバルかと言った論争もあったのである。

うん、良い時代だった。

HANNIBAL MARVIN PETERSON “CHILDREN OF THE FIRE”
2014/07/03

HANNIBAL (MARVIN PETERSON) “CHILDREN OF THE FIRE” SUNRISE 1944 (USA)

このアルバムは当時、新譜で購入した記憶がある。
どんと中央に置かれた黒人青年の顔が何か訴え掛け、何か意味ありげで、上部にこれまた大きく「HANNIBAL」と大きく書かれたジャケット写真が、レコード店の新入荷の壁に掛かっていて、激しく私の心に働きかけたのである。
こういう時は試聴などしないもの。
さっと手に取ると勢いよくレジに向かい、買って帰って、家に着くや即聴いた。
私もジャズに燃えていた。若かったし。
清水俊彦の「ジャズは燃え尽きたか」という本が出たのが77年だから、74年にはまだ燃え尽きてはいなかった。
ジャズは熱い血潮の火山活動の真っただ中であった。

聴いて行くと不思議な感じに捉われる。
この作品は、ジョン・コルトレーンとアリス・コルトレーンのINFINITYの続編のような音楽性と宗教感が溢れていて、あんたはコルトレーンの後継者となろうとしていたのかと、思わず尋ねてしまう事になった。
コルトレーンのテナーサックスを、彼は得意なトランペットで、代わりを演じてしまった。
アリスのサウンドも、彼は琴で演じてしまった。
そうかもしれない、コルトレーンが生きていたら、こうやりたかったと思われる事を、続編を続けてみたのかもしれない。
タイトルの下に「ベトナムの子供たちに捧ぐ」となっている。
ベトナム戦争の泥沼で、アメリカ国内でも人々の間に疑問視が広がっており、終焉に向かいつつある時期でもあった。
平和を願う、彼の宗教心がこういうスピリチャルな作品に向かわせたのであろうかとも思う。
ストリングスや琴やコーラスが入った、人間たちの抒情詩が組曲となって展開される。
25・6歳の若い彼が成し遂げた、大ジャズ交響曲である。

メンバーを見ているとふと気が付く、コーラスにWAHEEDA MASSEY(ワヒーダ・マッセイ)が参加している。
72年の作品、アーチーシェップ( Archie Shepp)のアッティカ・ブルース( Attica Blues)を髣髴とさせる、カル・マッセイの娘のコーラスを思い浮かべ、胸にジーンとくるものがある。
子供の声を効果的に巧く使う事を知っている。
ハンニバルも、何と憎いことをしてくれるのかと感動する。

やっぱり彼はシェップやコルトレーンなどの黒人音楽の立派な後継者であった。
偉いぞ、ハンニバル!
若いのに良くやった!
と感心したのであった。

今、久しぶりに聴くと、スピリチャルな大抒情詩である。
当時はまだスピリチャルというジャンル分けが無かったので、これらもみんなフリージャズのひとつに括っていたのだが、改めて思うと、スピリチャルとは良くぞ言ったものだ。

ジャケの中には、ちゃんとライナーが残っていて、漫画などもちょこっと書かれていて、見ていてオジサンなんとなく嬉しくなった。
良いねえ。

JEROME RICHARDSON “GOING TO THE MOVIES”
2014/07/02

JEROME RICHARDSON “GOING TO THE MOVIES” UNITED ARTIST UAJ 14006 (USA)

本日入荷。これも私の好きなアルバムである。
なにしろ、こんなにバリッとしたバリトン・サックスがあろうか。
バリッ、ゴリッ、と堂々と鳴り響く音のプレイヤーは珍しい。
そういう人ではペッパー・アダムスもいるが、この人は、それに加えてリズム感が良いし、音がすっきりしてノリが抜群。
その人が、演っているA−1の「NO PROBLEM」。
もう最高で、これこそ全く問題がない、本当のノー・プロブレムなのである。
オマケにベースがヘンリー・グライムス(HENRY GRIMES)。
この人はフリージャズに於いてセシル・テイラーはじめ、幾多の名盤に登場する人で、アルバート・アイラーとはLive Greenwich Village(IMPULSE)で共演し、アーチーシェップとも共演している重要な人なのである。
これが、ちょっと個性的で深いベース音で、良いリズム。
レス・スパンのギターもノリが良い。
リム・ショットのグラディー・テイトのドラムもイケル。
ずっと身体を揺すって聴いてしまう。

次の曲の「MOON RIVER」も何だかんだ言って、リズミックな楽しい曲である。
良くぞ演ったと思える、ノリで、しかも上品さはあって、曲の雰囲気は壊さない。
こっちもノリノリで聴き入ってしまった。

ちょっと音が前に出るオーディオで聴きたい一枚である。

ところで、ジャケット。
「私を映画に連れてって」と言いたい気分になる。
映画に行こう、というタイトル通り、全てサントラが主題となっている。
そのまま、ジャケットは映画のポスターか、はたまたチラシかという出来具合。
左上はオードリー・ヘップバーンの顔が見える「ティファニーで朝食を」。
左下はかつてのギリシャの大ヒット映画で主題歌も大ヒットの「日曜はだめよ」。
下の真ん中は「危険な関係」、主演にジャンヌ・モローがでているし、ジャズとしても数多くの演奏曲。
右下は「ウエストサイドストーリー」、もう見たくない程のヒット作品。

そして本日の出し物はと書かれていて、
JEROME RICHARDSON
GOING TO THE MOVIES
ジェローム・リチャードソンの写真がドンとあって、いかにも映画っぽく、タバコに火をつけているポートレイトが素敵。どこのムービー・スターだっけ?

映画も、音楽も、またポスターだって良い時代であった頃の、良いジャケット。
見ているだけでも、嬉しくなってしまう。

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