HAL'S DIARY
オーナーのひとりごと。買付けの裏日記など。
きまぐれに更新しています。
  
| レコード屋 | - 2014/08/11
- 時々お客様に、あなたはなぜサラリーマンから レコード屋になったのかと聞かれる。
会社のリストラとか色々成り行きがあったものの、やや面倒な話なので、話す気も無くここまで来たのだが、レコード店として自分がやらなければならないと思った理由がある。
まず、開店の前の事、某チェーン店で欲しいレコードを見つけた。価格が1万円は超えていた。 その時私は、生憎お金の持ち合わせが無かった。 明日取りに来るから、それまで取っておいて下さい。と頼んだところアルバイトの店員の返事はNOだった。 それなら会社の帰りに寄るつもりで、夕方頃まで取っておいてといっても返事はNOであった。では銀行を往復の1時間とお願いしたがNOという事であった。 当時でもその店では、上得意だけには内緒で取り置きをしている事は、私も知っていた。 必死に店員にすがる自分を、その時、冷静に俯瞰する自分がいて、そこまでして買物はするな。 馬鹿にされてまで、お金を使ってはいけないと諭す自分がいて、その場を引いた。 あれ以来その店にあまり行かなくなった。 ん、いや正直には、ほんのたまには行くけれど。
それから、やはり15年程も前の事、まだ会社員だった頃、ちょっと大きなお金が必要になったので、委託で売ろうと某レコード店にレコードを持って行った。 レコードは下記の通り HANK MOBLEY “HANK MOBLEY SEXTET” BLUE NOTE 1540 HANK MOBLEY “AND HIS ALL STARS” BLUE NOTE 1544 HANK MOBLEY “QUINTET” BLUE NOTE 1550 HANK MOBLEY “HANK” BLUE NOTE 1560 HANK MOBLEY “HANK MOBLEY” BLUE NOTE 1568 (片23付) HANK MOBLEY “PEVKIN TIME” BLUE NOTE 1574 とこんなオリジナルばかりのラインアップ。 忘れたが確か、もう1枚くらい余分にあったはずである。 抱えて委託に持って行き。「最近の相場は解らないが、お金が必要になったので高めに売って欲しい。金額については任せるから」 「分かった。任せてくれるんだね」 「お願いします」という事その場終わって。 2週間後、店に行き売れましたかと尋ねると、売れたよと封筒を渡してくれる。 開けると20万が入っている。 その当時、HANK MOBLEY のBLUE NOTE1568は40万を超えている時代である。当店が開店した15年前には70万で売った店もあるのである。 それに持参したレコードは、ブルーノートのハンク・モブレイの人気盤ばかりである。 当時としても全部で、最低100万円で売れてもよい計算であった。 手数料を払っても7−80万はあるはず。私のコレクションは綺麗だし。 それが某チェーン店に売るより安い。 呆れて、「まさか、たったこれだけですか?」と聞くと、彼はこう言った。 「任すって言ったよね」 「だからって」 「それって昔、20万で買ったものでしょ」 「それは、あまりに...」 「何だかんだ言われてもさ、売っちゃったから」 任されたから1円で売ろうとオレの勝手とも言える態度に、争うのも大人気ないので引き下がった。 ここの店とは、最早これまでだと思った。
別に私はそれで恨んでもいないし、どうこうしようとしている訳ではない。 お金の事は、自分が働けば良いのだし。 その店も、お客様によっては信頼に足る立派な店であろう。 その店の名誉を傷つけるつもりはない。 無いがただ、そういう事実があった。 私にも大いに反省点はある、大切なレコードの売買価格を他人に任せるべきではなかった。 そういう態度が、問題を起こしてしまったのだろう。。
という経緯があり私としては楽しく、また信頼と安心を持って売買できる店が無くなった。 レコードを買ったり売ったりする事は人生で最も、楽しくも真剣な遊びであったはずが、その遊びが楽しめない。 それなら自分でやろうかという、一つの原因になったのである。
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| おみやげ「タイヤカス」 | - 2014/08/10
- サーキット「ツイン・リング・もてぎ」のお土産。
それは「タイヤカス」。 さきイカなのだが、イカ墨で真っ黒にしてある。 それがあたかも、サーキットのコースに転がっている「タイヤカス」のように見える。 さきイカと、パッケージのフォーミュラ・カーやGTカー等の、アンバランス感が素晴らしい。 よくぞ作ったと思える。
袋を開けると黒くて汚らしい様子がして面白い。 味はそのまま、「さきイカ」である。
見ずらいのだが、下に、注意書きがある。 さきいかを「イカ墨」で味付けした絶妙な珍味です。本物のタイヤカスと間違えないで下さい。と
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| ピストン西沢の | - 2014/08/09
- 久々に栃木県茂木町にあるサーキット「ツイン・リング・もてぎ」に行った。
FMラジオJ−WAVEのDJ、ピストン西沢さんが主催の「みんなのモーター・ショー」略して「みんモー」に参加。 久々に休みを取った。 台風の影響で大雨といわれたのだが、行かなきゃ分からないと、出かけた。 着くと既にピストン西沢さんがいて、ありがとう、せっかくだから乗せてあげますよと、親切に横に大きくJ−WAVEと書かれた、愛車の「シルビア15」に同乗させてくれ、華麗なドリフトを披露して下さった。 いや、これだけでも来た甲斐があったというもの。
コースにいたら、知合いも来ていて、楽しく過ごした。 4年ぶりのサーキットなので、大した走りは出来なかったが、楽しかった。 モータ−・スポーツは知らない人でも、隣同士なら仲良くなれるの。
ところで、このサーキットの良い所があって、それは、道中の景色が素晴らしい事。 水戸からでも良いのだが、友部インターから、焼き物で有名な町、益子(笠間)を抜けて山道に入って行く道路の、周囲の田圃と、青い山と、麓の家々が何とも素敵。 日本の田舎の景色とはこうあったのだと言う、見本のような景色。 こんな場所故に焼き物も出来たのかと想像できる。
また行きたいな、サーキットではなくて、笠間の辺りだけでも良いと思う。
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| レコード・コレクション | - 2014/08/08
- お客様の中で、自分が死んだらレコード・コレクションはどうなる?
と心配される方は多い。 そんな時はハルズへどうぞ、といつも言っているが、実際亡くなった場合、ほとんどハルズにコレクションが来る事はない。
一度、海外のコレクターの一人も「もし死んだら、東京のハルズという店の池田という人に連絡しろ」と言ってあったらしいが、実際、遺族は連絡先も分からないし、また友人達に池田なる者の連絡先を訪ねても、「さあ、知らない」という話だったそうだ。 解っていても教えなかったのだ。 まあ、それは当然で、皆レコードが欲しいから、知っていても教えるはずもない。 その時は、その放出騒ぎが終わった後、現地のコレクタ−が、そういう事があったと教えてくれた。
この道の年配者に聴いた話。 葬式にコレクターが数人来ていて、奥様に「実は貸してあったので返して頂きたい物が一枚ありますとか、確か私に下さると約束してあったとか、御裾分けを友人にも少しづつ下さいな」等と言いながら、実は最も高額のコレクションが消えるという話は多い。 様々な怪しげな人が現れて、怪しげな話が次々とあるものらしい。
また貰う物を貰った後は、遺族に向かって「お父様のコレクションは大変な価値のものですから、レコード屋に騙されてはいけませんよ」などと耳打ちされ、息子達も生前は無視していた親父の趣味に、価値が付くと思うと、疑心暗鬼でおいそれとレコード屋に売る事も儘ならない。 そうこうする内、聴きもされなければ、保存もままならない中、カビにまみれていくだけの話である。
しかし、結局はどこかに流れていくものだ。 それは世の中の仕組みだから仕方がない。
ところで、ご自分のレコードのコレクションにオリジナルが多く、かつ美品が多い場合は、是非当店に連絡するよう奥様に伝えて置いて下さいね。 完璧でなくても良いんですよ、ちょっと綺麗なら。
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| 車 | - 2014/08/07
- 知合いが何か言いたそう。
訊くと、「最近、街中で見かけるオープンカーやスポーツカーの運転手は、ほぼ初老の親父である」ということを発見したと自慢していた。 「ジジイばっかじゃん」と。 「馬鹿にするない!」と言ったものの、ウッと詰まって、反論も出来そうもない。 それで、注意して観察していると、確かにそう言われた通り、みな 親父ばかりである。 若者の為にあるスポーツカーは、ジジイの楽しみになっているようだ。
つい2・3日前の、誰かの話で、合コンの会話の中で、女の子から「趣味がスポーツカーです、と言われると引いてしまう」と言われたと。 豊かな時代が続き、ついにそういう時代が来たかと思う。 たしかに世の中から、車は趣味ではなくなった感がある。
本当に若者が車に興味がないらしい。 そう思ってテレビのCMなどを真剣に見ていたら、外車と高級車を除くと、CMの対象車が一様に、四角いファミリーカーばかり。 若い夫婦と子供達がみんなで乗って荷物も積めて、楽しいなという内容。 私など、これは確かに車だけど、それってバスの一種じゃん、といつも思う。
それでも、そういうクルマで家族が幸せになれるのなら、それでも良いか。 時代が変わった。
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| 卵とコレステロール | - 2014/08/06
- ちょっと前にも書いた事。
胃腸科の病院でコレステロールが高いと言われ、いろいろ努力する事が増えた。 まずは、食事をゆっくり、そして良く噛む事と、卵を控えるようにと。 いい先生だったので、私も努力しようかな。
かつて私は旅行会社にいたせいか、同僚たちは一様に早食いだった。 昼食は、会社を出て食べ物屋まで、歩く時間と、待つ時間と食べる時間を合わせて30分弱。 次の喫茶店の時間も30分。 合計一時間ですべて賄うのだが、なにしろ合言葉は、客より後に食べ始めて、客より先に食べ終わる事。 であるから皆、噛まない。茶碗一杯のご飯など3口で瞬時に無くなる。 健康に良いはずはない、無いが、食事は噛まないから美味しいものも多々ある。 それを噛めと言われて、噛んでいると、まあ美味しくない事。 世の中の人たちは、こんな気持ち悪くなるまで噛んでいたのかとおどろく。 その典型的な食べ物は、蕎麦、ラーメン。
卵は取りあえず控えろと言われた。 所が卵という物を控えるとなると、もうそれは大変で、卵そのもの、マヨネーズ、ケーキも含めてカステラ、クッキー、揚げ物の衣、ラーメン、もちろん寿司ネタなどの魚卵も入る、等々ありとあらゆる食品に入っている。 大変だが一応頑張ってやっている。
昨日、先生に聞いたのだが、卵は確かに悪玉コレステロールが高い。 高いのだが、卵ならなんでも悪いのかと言うと、一概にそうでもなく、新鮮な卵なら良いのだそうだ。 保存している内に悪玉が増えるものだそうだ。 それで、どのくらい新鮮さかと聞くと、家で鶏を飼って、毎日新鮮な物を食べれば、よいのだそうだ。 先生!、東京でそれは無理だわ。
そういえば、卵という物は、魚であろうと何であろうと新鮮でなければいけないと寿司屋でも聞いた事がある。 古くなるに従って、速い速度で毒性が強くなるのだそうで、他の生物に卵が食べられないようにする宿命だとか。 そういう事であれば、鶏の卵もまた新鮮な方が良いのだ。
昔子供の頃、家では鶏を2・3羽飼っていた。 正月が近づくと、祖母はせっせと鶏が産んだ卵を、もみ殻の入った箱に仕舞って保管する。 正月用の料理を作るための材料にするのだ。 そうなるとその間、私も食べることが出来ず、朝食の楽しみが減って、非常に悔しい思いをした。 しかし今、思えば2・3週間ほども保存してあったのだが、あんなに長い事保存してよく腐らなかったのだろうか、と思うのだが、家のもので誰も中った人はいなかった。 いまさらホッとするのだが、しかし、悪玉コレステロールはきっと大量にあったのだろう。
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| SERGE CHALOFF “BLUE SERGE” | - 2014/08/05
- SERGE CHALOFF “BLUE SERGE” CAPITOL T-742 (USA)
こんな素敵なアルバムが入荷する事もある。 このアルバムはかつて、ソニー・クラークがハード・バップのトップクラスのピアニストという事で、日本で人気になり、ここにも参加、あそこにも参加とレコード屋で教えられ、マニアは皆必死に買い漁ったのである。 さて、ソニー・クラークで購入したものの、落着いて聴けば、なんと素晴らしいバリトン・サックス。 音楽センスが抜群。 という事で、サージ・チャロフの名前が広まって行ったのである。 いいんですよ、どういう方法でも有名になれば、いいんです音楽家は。
という事で、徐々に人気を高めた彼の代表作なのである。 という昔話は置いといて、ジャケットを眺めれば、なんという素敵なダジャレ。 サージ・チャロフが演奏する、ブルー・サージだと。 そうだ今の方々にはサージなんて知っている方は少ないかもしれない。 既にジャケットの写真において説明されている通り、サージとはウールの織物の一種で、新入社員のスーツとか、学生服などに使われている、比較的ツルっとして実用性の高いウールの生地。 良い生地である。 昔は、母親が洋服の仕立てなども家でやった人が多かったので、我々の世代なら家庭の会話の中で知っているはずである。 だが、今となってはそんな言い方を聴いた事もない。時代が変わった。 ところで、サージだけでなく、チャロフもちょっと織物に関係していなくなくてチャリスというのも生地の一種なので、何から何まで、洋服の生地に関係した名前ところから、このアルバムのタイトルになったのだった。
ところで、このジャケットはそんな生地で青いジャケットを作っている、仮縫いの手前の途中、一生けん命に作っている様子が写されている。 ボディーの下にはハサミと布片は落ちている。
ブルーなサージ君と、青い色のサージの生地と掛けて、それをジャケットのデザインにした所が素敵。 そんな、スーツも演奏も素敵と、うっとりした顔の美しい女性が右手にバリトン、左手をスーツすなわちサージ君に掛けて寄りかかった所である。 サージの生地も音楽も、どちらも本物だ、と言っている。 考えたものである。
ジャケット左側、音楽の方は、SONNY CLARK(piano),PHILY JOE JONES(drums),LEROY VINNEGAR(bass)が構成していると表記がある。 素敵なジャケットを眺めながら、演奏を聴けば、最初の一音で、とても良い音の録音である事が伝わってくる。 良い録音は演奏もグッと引き立つ。 一曲目、ややおとなし目なイントロから始まり親しみやすいメロディに耳を傾ける。 バリトンの低音の魅力とばかりに、低い音でブオー!っと鳴らして見せたり、中々の芸達者、エンターテイメントも忘れていない。 良いジャズである。 しかし、キャピトルの録音は悪くない。 素晴しい。 バリトン・サックスの名盤は少ないので、こういう作品を聴けるのはありがたい。
最近はこういうレコードのオリジナル盤が見つけにくくなった。 いや、綺麗な盤が無いのは昔から。 今回は状態が良いのと、中くらいのと、2枚も一遍に入った。
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| CHRIS CONNOR “CHRIS CRAFT” | - 2014/08/03
- CHRIS CONNOR “CHRIS CRAFT” ATLANTIC 1290 (USA)
こんなナイス・ヴォーカル・アルバム入荷。 この人の歌は本当に良い。
私がかつて、最初に買った彼女のアルバムである。 クルーザーに乗った彼女の姿が生き生きとして映ったので、購入したのだ。 これは間違いないと確信した通りの出来で、私も大いに満足した記憶がある。 写真は彼女が海、きっと、アトランティック・レコードだから大西洋なのだろう、その海をクルーザーの前に乗って、波を立てて進んでいる。 白いのジーンズが活発な様子を表している。 タイトルのクリス・クラフトとは、丁寧に物を作る事と、船のクラフトを掛けているのであろう。 どうぞ、今日は私の舟に乗って楽しいんで下さい、と言っているかのよう。 誘われたら断れない。 その通り、なかなか丁寧に作られたアルバムで、好感がもてる。
このアルバムもそうなのだけど、彼女のレコードは時々見かけても、盤を見ると、かなり聴きこんでしまったものが多く、綺麗なものに出会わない。 まあ、ヒットした作品の宿命である。
冒頭の「MOONLIGHT IN VERMONT」、あまりに有名なバラードだが、丁寧に唄っているだけで、このアルバムを買って良かったと思わせる歌心。 バックはスモールコンボでジャズの雰囲気はしっとりと出る。
軽快にスイングした時のギターのマンデルロウの乗せ方も見事。 スタン・フリーのピアノも音楽性を高めている。 「HERE LIES LOVE」では、ボビー・ジャスパーのフルートも素敵。
彼女の歌は軽快なスイング感があって、バラードになるとハスキーな声がぐっと迫るので、聞き飽きしない天性の巧さを持っているのだろう。 ベツレヘム時代のアルバムは、若さが出ていて良いけれど、アトランティック時代の作品はどれも大人の雰囲気を出していて、歌手として成長した部分が聴けるのは嬉しい。 それにベテランの域に入っても、丁寧に作品を作っていく事に関しては完璧で、歌に対する心意気を感じる。
彼女の歌を聴いていると、爽やかな声、雰囲気、エンターテイメント性、ジャズの心とそれぞれ見事なのに更に、アメリカの母親らしい優しさや、アメリカの女の洗練さが常にあって、それらの見事に混ぜ合わせたり、取出したりして聴かせる、凄い才能の持ち主だったと思う。
そうそう、彼女の歌は朝聴いても、夜聴いても、夏に聴いても、冬に聴いても、どちらも良い。 夏は涼しげなのに、冬がウォームな感じが頭をもたげてくる、不思議な歌手なのである。 夜は当然、セクシーに。
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| デパートのポイント | - 2014/08/02
- 小田急百貨店のマイレッジのポイントが貯まっていて、7月いっぱいで切れますよと、買い物時に店の人から言われ続けていたので、昨日の金曜日に出かけていった。
売り場の人に確認してもらったら、あれ800ポイントしかありませんよ。 それでよく考えたら、昨日は既に8月1日になっていた事に、やっと気づいたのだ。 週の終わりの金曜日と、月の終わりがなんとなく、重なってしまって勘違いをしていたのだ。 愚かな! 4000ポイントもあったのに、なんという愚かな。
考えると、ムカついて来るから、考えなかったようにしよう。 4000ポイントあったら食堂街で鰻もたべられたな・・・。 天麩羅だって・・・・・。
だから考えないようにしようと思いながら、ふとした時に何度も、悔しさが蘇って来て一日過ごした 。
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| BEVERLY KENNEY “BORN TO BE BLUE” | - 2014/08/01
- DECCA DL8850 (USA)
こんな素敵なジャケットのヴォーカル・アルバムの入荷。 なにしろ歌手本人がモデルを勤めていて、この美貌。 よくある写真の撮り方で、この人がこんなに美人になって、騙される所だった、と思うレコード・ジャケットも時にはあるけれど、彼女は正真正銘の美しい方だったようだ。
美しい青のドレスを着て、手には一本の赤いカーネーション。 きっと本当だったら、今日は楽しい事があったに違いない、それなのに一人で青い長椅子に横たわり、右手で根元を持ち、左手の指先で花びらにそっと触れてみる。 花の持ち方に、哀しみがよけいに出て来てしまう。 そう言えば、部屋の壁の色も青だった、カーペットもまた。 私はブルーになるために生まれて来たのよ、という悲しい人生の定めに泣く彼女。 椅子だって、高価に見える。 生まれも良い、家も良い、生活は豊かで、何一つ不自由が無い程幸せなのに、たった一つ、あたしは「心」がブルーなのだと言っているよう。 ブロンドの髪もショートにしてしまって、美しい彼女をいったい誰が苦しめたのか、問い詰めたい気持ちに駆られるのである。
このアルバムの冒頭はタイトル曲「BORN TO BE BLUE」 どうせあたしはブルーになるために生まれて来たのだから、という開き直り方が、彼女の場合はとても可愛い。
可愛いけれど、妙に板に付いた様子が感じられる。 彼女は元来、鬱な気質だったようで、こんな歌を唄うと、本当にブルーな心が素直に表現されていて、ちょっと心配になってしまう。
彼女の声はちょっと子供のように、あっけらかんとした可愛らしさがあって素直な人だったのだろう。 そんな感じが伝わって来る。 彼女のアルバムはどれを聴いても素晴らしい。 可愛らしさに加え、アマチュア・ライクの感じがある。 良いヴォーカルは大概こういう感じを感じさせてくれるものだ。 そういうアルバムは私の知らない曲を聴いても、何処かで聴いた事があるように感じて聴き入ってしまう。 不思議である。
彼女の人生僅か28年、その間に6枚のレコード・アルバム。 いいじゃないか、28歳で人生を終わらせても。 6枚の作品が残っていて、我々のような縁もゆかりもない日本人にも、歌を聴かせてくれて、楽しませてくれる。
そして、心に安らぎも下さる。
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