| CHICK COREA "NOW HE SINGS,NOW HE SOBS" | - 2014/08/20
- CHICK COREA "NOW HE SINGS,NOW HE SOBS" SOLID STATE SS 18039 (USA)
こんな素敵なピアノ・トリオのアルバムも入荷。 アメリカのオリジナル盤は、ダブル・ジャケットでもある。 日本では二つ折りのジャケットの事を通常、ダブル・ジャケットというが、アメリカ或いは欧州では「ゲートフォールド・カバー(GATEFOLD COVER)」という。 「折込」のカバー、二つ折りという意味なのだろか。 通常のシングル・カバーに比べ、ジャケットを広げた時の気分が良いので、ちょっと素敵である。 その話は置いといて。
このアルバムを見ると、ブルー・ノートから出てないのが不思議な気がする。 なぜなら、この時期、親会社はリバティーなので、他の作品は「SS」とマークを付けたまま、ブルーノートから発売されている。 しかし、なぜかこれだけソリッド・ステート。 だからと言って、どうでも良いが。
さて、ジャケットを見ていると、どこかのスタジオか、彼の家か? 壁にはピカソの絵も飾ってある。 ピアノの陰には、金属の彫刻も見え隠れする。 ピアノに向かった、彼の真摯な姿がある。 彼の後ろには、外を分断する重く分厚いカーテンがあるのみ。 この部屋には「芸術以外何もないぞ」と言い切ったのである。 チック・コリアは、今回の作品に、高い芸術性を示したぞ!と言いたかった。 その通り、非常に高い音楽性を示した作品になった。
彼のこの辺りの演奏は目を見張るものがあって、「CIRCLE」はじめ、ECMに移籍して「RETURN TO FOREVER」、「SOLO CONCERT」と、当時のジャズに関する話題を独り占めした感がある。 目を離せない状況に会った事は間違いない。 それら一連の彼の中の、当作品が芸術の大爆発の点火であった。
いや、思えば楽しかった。 70年と言えど、ジャズはまだ前途洋々たるものはあった。 フリージャズはまだ到達点は見えず、どうなるか目を凝らして、見ている価値があったのである。 我々は、何処でどういうジャズがあり、こっちでこういうジャズが試されてと、ジャズの変化を楽しむ事が出来た。 過去のジャズと、今行われているジャズが、全く遜色なく楽しめたのである。 昔が良かったね、などと言っている場合ではなかった、のである。
ちょうど、来られたお客様が、このアルバムに使われシバルは、フラット ・トップ・ ライドというフラットな形状のシンバルで、響きを抑えている、という話になった。 ドラマーはロイ・ヘインズ(ROY HAYNES)、この作品の鍵はどうも、ロイ・ヘインズにありそう。 まず、フラットなシンバルは、音が小さく、繊細な音色、音の粒立ちがある、最近はECMの録音などに使われるらしい。 きっと、音の余韻が少なく、冷静なサウンドになるのだ。 ヘンな音色だね。
ジャズが例えば、アート・ブレイキーのように情緒たっぷりな実に生身の人間臭さがむんむんするリズムから、チック・コリアは決別しようとした。 その時のシンバルの音色に、情緒や豪華さと言った、音の刺激を排除したかったに違いない。 彼が言い出したか、またロイ・ヘインズがそれならばとこのシンバルをと選択したのか分からない。 しかし、彼等は選択した。 そして、見事に次世代のピアノトリオは出来上がった。 その後の演奏は、冷静さを追及する道に突き進む。 ジャズがオールド・スクールから、ニュー・スクールに移る時期の一つの現象 なのである。
冷静といっても、何故か心地良さがある、不思議なサウンドの傑作である。 しかし、兎にも角にも、ロイ・ヘインズがこのシンバルを使用したのは只の一度だという。 いいドラマーだよね。
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