HAL'S DIARY
オーナーのひとりごと。買付けの裏日記など。
きまぐれに更新しています。

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2015/11/01

一昨日、ロサンゼルスのスペシャル・オリンピックスの大会で知合いになった人と、食事をした。

彼がワインのグラスを差し出して、「私のワインとあなたのワインの味比べをしてみて下さい」というので、へんだなあと思いながら一口、口に含むと。
あらま不思議。
彼のワインの方が「まろやか」。
他の人も同様な味わいだと感じたようだ。
勿論、同じビンから注いだワインである。

それは「気」だと。
そう言えば、彼がちょっと手の中にグラスを置いたなあと思ったのは、そういう事だった。

「気」がどういうものかという説明は私も出来ないけれど。
だれでもちょっと訓練すればこの位は出来ますというけれど、畏れ多い。

人間の力は不思議なものだ。

HELEN MERRIL "JAZZ IN ITALY NO,8" CETRA
2015/10/30

HELEN MERRIL "JAZZ IN ITALY NO,8" CETRA  (ITALY)

超レア盤の入荷。
これは大変に珍しいイタリアで作られたEP、ヨーロッパ風にお洒落に言うと7インチ盤である。
チェトラ・レーベルは30年代からオペラなど手がけていたが、60年からジャズにも注目し、作られたのがこのジャズ・イン・イタリー・シリーズで同じフォーマット・デザインを使った7インチで12枚、LPは4枚ありどれも劣らぬ名盤である。 その後企画外でもう一枚ある。

さて、このヘレン・メリルのレコードはこのシリーズの中でも最も珍しく、かつ内容の出来も良い。おまけにボーカル作品は購入者がよく聴くので綺麗なものが残っていない。歌物はどうしても聴く機会が多くなってしまうから、それに応じて傷が増えるというもの。
ことろで、なぜこれほどレアかというと、ヨーロッパの知り合いコレクターの話によると、「我々は当時、ジャズは黒人の音楽であるから、歌も当然黒人ボーカルを買った。例えば、サラ・ヴォーンとかエラなど。ヘレン・メルリ等の白人ボーカルは眼中に無かった。」という事であるので、発売枚数も少ないのも想像が付く。
若干、前置きが長い。

さてこのレコード、録音舞台はスタジオであろうか後ろの壁の防音壁の見事な作りはさぞ立派な建物であろう。ピアノの前に座ったRenato Sellani(レナート・セラーニ)がサビをサラッと弾きながら目で合図すると、彼女がワンフレーズ歌って目で答える、いう流れで録音が始まったのか。
ピアノを前にして彼女が中央にいてサングラスを掛けた美人である。サングラスで目が見えないので美人かと突っ込まれると困るが美人に決まっている。ふわりとセットされたブロンドの髪に、当時の上流ファッションのカシミヤのカーディガンにパールのネックレス。これで美人でなかったら、どうする。
彼女の後ろに自信たっぷりのGianni Basso(ジャンニ・バッソ)、 右にFranco Tonani(フランコ・トナーニ)、その横に繊細そうなGiorgio Azzolini(ジョルジョ・アゾリーニ)、左端には私が好きなトロンボニストでちょっと内気そうで真剣なまなざしなDino Piana(ディノ・ピアーナ)がいる。という事はジャズにおけるオール・イタリアンズ・メンバーという事になる。
しかし、イタリアなどは写真の撮り方が本当に良いねえ!
演奏旅行で短期間だが滞在した彼女の為の、イタリア最高のメンバーによる、最高の「おもてなし」だった。

ジャケットが良いのは内容も良いの通り、歌の内容は申し分なく、たった3曲でも「Everything happens to me」「I've got you under my skin」などどれも繰り返し聴きたくなる名曲である。
この時ばかりはニューヨークのため息ではなく「ローマのため息」だったのだろう。

昨日夜遅く来られた仲良しが、聴きたいと言うので一緒に聴いた。
イタリアのは「本当に良いんだね」と感心していた。
欲しいと言うので、値段を言ったら高すぎて買えないと言っていたが、2・3日考えると帰って行った。

BUD POWELL “THE AMAZING BUD POWELL VOL.2”
2015/10/29

BUD POWELL “THE AMAZING BUD POWELL VOL.2” BLUE NOTE 5041 (USA)

ブルーノートの10インチを代表する一枚である。
演奏は言うに及ばず。
コレクターとして考えるに、レア度においてもトップクラスで、綺麗な物など入手困難である。
ジャケットのからにじみ出る当時の雰囲気も筆舌に尽くしがたいものがある。
また、10インチ(トウ・インチ)盤は、最初に出ただけの事があり曲順などコンパクトに纏まっていて、やっぱり良さを感じる。
と言う前置きベースに話を進めたい。

今回の出張で当店の若旦那が送って来たアルバムの中にあって、一体これはどういう事かと目をひん剥いた訳とは、実にケッタイな事であった。

ジャケットの正面から見ても解らない。
レコードを取り出そうとして口を開けようとしたら、あれ、口がない。
反対側を見ると、何と左側に口があったのである。

イタリアのコレクターが嫌がるのを数年掛けてゲットしたというこのアルバム。
そのコレクター氏の話によると、サウスポーの人のためのアルバム・カバーとして作られた、と。
まあ、それは冗談だという事にしても、何とも不思議な一物である。
良く見ると。
これは明らかに間違いで作られた物なのであろうと想像するのだが驚くなかれ、何と、ちゃんと右側に額縁があるのである。
という事は裏表逆に作ったのか?
いや、そうではあるまい。
それを見て私は「うーん」と唸ってしまった。
やるもんだね。
私も欲しい!

何も言えねぇ〜。

GLAUCO MASETTI “SAX - APPEAL”
2015/10/28

GLAUCO MASETTI “SAX - APPEAL” FOX epf-108 (ITALY)

本日の入荷。
入ったばかりであるが今後、二度と会う事がないと思ってしまうほど、珍しいレコードで、しかも、EPである。
ジャケットの写真を見て頂きたい。
可愛いくて、ちょっと悪そうで、お尻のあたりがムチっとして、ベットに寝そべっている写真。
手前には灰皿が置いてあって、ちびた煙草がなぜか火が灰皿の外側に向いている。
いかにもあたしは世間の常識などに捉われないのよ、不良なのよと指し示していると事が、何だかワクワクしてしまう。
写真の色調が年代を感じさせてくれるところも良い。

タイトルが、SAX−APPEAL(サックス・アピール)と色っぽさに引っ掛けた所も好ましい。
いやいや、コレクター心をくすぐる一枚である。

ところで、この艶やかな音色のテクニシャンと見受けられるアルト奏者。
どこかで聴いた事があるぞと見ていると、おおそうじゃあ、チェット・ベイカーの傑作、しかもイタリアを代表する名盤SEXTET&QUARTET(Music LPM-2094)でナイスなアルトを聴かせている人で、しかも、あの作品の魅力的なサウンドは彼に負う所が大きいのである。
そんな彼の数少ないジャズ作品。
あっちの人はレコーディングが何故かEPが多く、日本と違って何でもかんでもLPに行かない所が面白い。
という、彼の大変に珍しいEPである。
演奏時期は、多分1960年の前後であろか。

知合いのイタリア人の話。
彼は当時、卓越したテクニックとナイスなサウンドの持ち主だったが、却って才能が禍いというか、ジャズ界ではなく音楽界で売れっ子になってしまいPOPSに行ってしまった。
本人の生活面には良かったかもしれないが、ジャズの世界から見るとマイナスだったという話である。
然もあらん。

仕入価格も相当結構な金額であるが、珍し過ぎて多分、反響は少ない物と思われる。
という事で今日は、超・超レアなEP。


ENRICO PIERANUNZI “JUST FRIENDS”
2015/10/27

ENRICO PIERANUNZI “JUST FRIENDS” RIGHTTONE LP-011 (DENMARK)

このアルバムにはちょっと思い出がある。
店を始めてからヨーロッパ出張のある時、イチリアで、ピエラヌンチのスポンサーの一旦を担っていると言う自分でいう所の、ほぼレコード・ディーラーに見せられたのがこれだった。
始めて見るものだったので、持ち帰りピエラヌンチのマニアでコンプリート・コレクターだと言う人に見せたら、やっぱり見たことが無いと言う。
それから、ちょっとマニアの間に有名になり、何人かからハルズに行けばこのアルバムが入手出来るらしいとリクエストをされた。
その時は私も有頂天だったのだ。
今は昔の話である。

確かにこのアルバムは良く見ると商業ベースに乗った物でもないらしい。
ジャケの表は、タイトルとメンバーを記載しただけで、ちょっとシンプル過ぎる。
裏ジャケは一応説明も多く写真もあって体裁は整っている。
下の方に、「JAZZ WITH SAS」とあるので、やっぱりこれも大企業のスカンディナビアン航空のギブアウェーだったのだ。
ちょっとライナーを見ていると、どうもこのアルバムは自国のドラマー「OLE JORGENSEN(オーラ・ヨルゲンセン)」の為の作品であるようだ。
それは自国の音楽家を取り立てるのが目的である事は理解できる。
サックスは「JENS SONDERGAARD(エンス・ソンダーガード)」となっていて、なるほどデンマークの優秀なドラマーであり、サックス・プレイヤーを紹介したアルバムなのである。
ところで、演奏はイタリア・ローマである。
それを持ち帰ってデンマークで製品にしたのだろう。
Just Friends, These foolish things, Darn that dream, Cheese cake, The summer knowsなどスタンダードが多く、ムードがある上品な良い作品になっていて、それをピエラヌンチが引き締めると言う素晴らしさ。
お薦めできる。

しかし、ヨーロッパの企業はこういうアルバムなど音楽家等の芸術家を支援する活動があって素晴らしかった。
特にジャズで有名なところでは、KLMのピム・ヤコブス・トリオがあるし、アルファ・ロメオのサラ・ボーンのアルバム、アメリカのルートビアのブロッサム・ディアリーの歌、スエーデンのポテトチップスのモニカ・ゼッタールンド、デンマークのコーヒーメーカーのサヒブ・シハブ等、マニアの人気盤はいくつもある。

お金があるはずの日本の企業が、音楽のノベルティを作ったという話は余り聞いた事がないのが不思議である。
NISSANのゴーンさんなんか、自分の給料からたった2・3百万でCDが作れるんだから。
宣伝費の使い方も考えないとね。

いや、そういえばバブルの頃はジャズ・フェスティバルの後援はみな、日本たばこをはじめ大企業だったなあ。
それもありだったなあ。

今回入荷の物はサインがあって、裏はエンスだが表は読めない、状況から考えると音楽関係者であろう。

MILLI VERNON “INTRODUCING” STORYVILLE
2015/10/26

MILLI VERNON “INTRODUCING” STORYVILLE STLP910 (USA)

このアルバムは大変に珍しい。
レーベルがストリービルという1952年から始まったボストンのローカルのクラブ兼レーベル。
ボストン故にか、発売枚数も少なく、今となってはどれも幻の名盤である。
その中にあって、ミリー・バーノンのアルバムはトップクラスのレア度。
きっと当時はあまり売れなかったのだろう。

それが、いつだったか、作家の向田邦子の愛聴盤がこれだという話が出て、ミリー・バーノンも知らないジャズのマニアも競って探したのである。
考えれば、ジャズの通でもない作家の好みなど、どうでもよいのだがそれが看過できない事があって、それは我々のほぼ知らない歌手だったからである。
俺たちの知らない歌手を然も通ぶって選択するとは何たる侮辱か。
そう言えばいつぞや、石原裕次郎が好きな歌手と訊かれて、TINE LOUISE(ティナ・ルイス)だと答えたので、これもまたジャズ・マニアの我々には縁のない歌手だったので、大騒ぎになった。
まあ、そんなものである。
確かに聴けば、どちらも魅力たっぷりで一度耳にすればマニアならだれでも欲しくなってしまう。
それも、どちらも超の付くレア盤だったのである。

さて、ミリー・バーノンのジャズ・ボーカル作品はこれ一つ。
近年は未発表CDも出たらしいが、当時の発売となるとこれが燦然と輝く一枚である。
オリジナル盤がいいやね。

ジャケットはスタジオでの録音中の風景。
それなのに、右側の前景のベースのネックにそって赤い色を上から下に流したところも不思議で、更に本人の左側の壁の時計を赤いドットを落としたような感じにしたのも不思議である。
きっとこれがモダンだったのかもしれない。
だが、全体から見ると中々の幻の名盤らしさが滲み出て、見た者の印象に残る。

歌はストレートな表現で、温かみのある声が素敵。
一枚は持っていたいアルバムである。
かと言って安くはないが。

今日は忙しい
2015/10/24

今日は通販リストのデータ原稿の締切でもあり、店の仕事もあり、おまけに一人でもあり、もう忙しくて忙しくて仕方が無い。
朝から晩まで働き通し。

そういう時に限って、あれもやってないかった、これもやってなかったと色々と頭をよぎる。
時間が無い時や切羽詰った時にそういう状況になる事を、何と言うのだっけ。
心理学かなんかで出て来る単語。
忘れたから、なんでもいいけど、しかし、忙しい。
トイレ掃除もする暇が無い。
明日も、みんなトイレを使わないでくれると有難いけど、そうは行かない。
まあ、明日にすれば良い。

LEE WILEY “DUOLOGUE”
2015/10/23

LEE WILEY “DUOLOGUE” STORYVILLE 911 (USA)

個人的に大好きでかつ、私がオーディオに目覚めたアルバムでもある。
オーディオに目覚めたというか、女性ボーカルを鳴らすと言う事に目覚めたというのが正しい。
それまではこのアルバムを聞いていて、ああ、良い歌だなと思うだけで、別にそれ以上の感激はなかった。
しかし、友人がクラングフィルムの22cmのフルレンジを持って来てから、女性ボーカルを聴くと言う趣味は、オーディオの中でもジャズを聴く事とはまた異なる装置、アプローチがあり、面白さがあってそれが解った時に、ボーカルを初めて聴いた気になったのである。
一時、10インチのボーカルだの、SPの歌物だのと、面白くてそんな物ばかり聴いていた。
かつてフリー・ジャズにハマっていた事も忘れる楽しさだった。
その中で、最も感動したのは、当たり前かもしれないが、このリー・ワイリーとビリイ・ホリデイだった。
このアルバムは今でも、事ある毎に聴く。

そうしている内に、リ−・ワイリーとビリイ・ホリデイとは、共通点がある事に気が付いて、片や白人で人気も頂点に上り詰めて当時のアメリカ社会の代表的歌手。
一方のビリイ・ホリデイはジャズの頂点の歌手だが黒人で社会の辛酸をなめた苦労の人で、二人はまったく一緒ではない。
だが、この二人には女王の孤独というのか、苦しさと言うか、そういう共通の哀愁を感じてしまって、殊にこのアルバムとレディ・サテン(LADY SATIN)をなんども聴いた。
リー・ワイリーを聴くとビリイ・ホリデイを聴きたくなって、反対にビリイ・ホリデイを聴いているとリ−・ワイリーが聴きたくなる。
そうやって気の向くままに、もう何十回と聞いたが、今もって感心している。

で、今回のアルバム。
リー・ワイリーの風情のある歌と、エリス・ラーキンスのピアノ・ソロを交互に配置したあたかもライブを聴いているかのような仕組み。
リー・ワイリーの歌のバックはピアノがジミー・ジョーンズでトランペットがルビー・ブラフとこれまた風情の人。
彼女の歌は風情が勝っていて、歌は風情が7割だと思っている人にはちょうど良い。
文句の無ない、素敵な構成なのである。
一度、日本盤も出たが、日本盤ですら中々出てこない。

しかし、またビリー・ホリデイもしかりであるが、リー・ワイリーという人の歌を聴いていると、世の中の人間は誰もが声を出し、誰もが歌っているのに、そんな当たり前の発声という行為の中で、聴いた人の心が揺さぶられるような、声の持ち主が存在するという不思議。
そういう人がいるのだという不思議さを感じるのである。

それも彼女は最初DECCAだったかで、変な声だと言う理由でレコーディングを断られたのだった。

人間の才能というものは無限で不思議だね。

レコードプレイヤー SP−10
2015/10/22

店のレコード・プレイヤーが故障したようだ。
回転の時にサー・サーっと雑音が入る。
テクニクス プレイヤー SP−10 MKU
往年の名器である。
店では、使い勝手がよく、壊れにくく、更に78回転もあるので、重宝している。
音は凄く良いとはいわないが、ほどほどで、プロ使用としては大変に良い機械である。

サーっという音が小さいながら気になるので、テクニクスすなわちパナソニックの修理センターに電話をして取りに来てもらった。
聞くところによると、引き取って修理をしようとしても、部品もなく会社としては修理のしようがないそうだ。
でもまあ、悪い所が解るだけでもありがたいので、持ち帰っていただいた。
いったいどうなる事やら。
今後の展開が楽しみである。

ステップ
2015/10/21

知合いが来て、話をしていたら、「以前はチェット・ベイカーの歌は好きでなくてとても聴く気にならなかったが、年齢を重ねて、最近は結構気に入っている」と。
それを聞いて、年齢を重ねるという事はそういうものだ、としみじみ思った。

人間は、年齢を重ねる度に、学習することがある。
仕事を通して学ぶこともある。
本で学ぶこともある。
見て学ぶこともある。
聞いて学ぶこともある。
そして、それらを咀嚼し、吸収し、己の心の中に蓄積され、やがて出会うものに対処して行くときに、経験値が許容範囲を広げて行き、それが好みに代わる事もある。
それはステップを上がって行くと言う事である。
立派な地位にいる人や知識人とよばれる人達だけが、ステップを上がった訳では無い。
みんなそれなりに上がったのだ。
生きると言う事は、そういう事。

昔、解らなかった世の中の仕組みや政治家の考えが、経験を重ねて来て歳を取ってからより理解できるようになった。
しかし、その時には自分はもはや力が無くどうしようもない、という話を、私と同じような年齢の人たちから聞く。
でも、それでいいのだと思う。
解っただけでいいじゃないか。

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