HAL'S DIARY
オーナーのひとりごと。買付けの裏日記など。
きまぐれに更新しています。

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モノ・カートリッジの続き
2023/06/02

昨日は、モノラル・レコード(盤)にはモノラル・カートリッジの必要性を書いた。

ところで、モノラル盤という物が一つでは無いので、その事に触れたいと思う。
50年代頃までのモノラル盤は、1ミルの針で聴くのである。

ところが、ブルーノートはじめ、70年中頃から始まった廃盤再発ブームが押し寄せ、その当時から盛んにモノラルと表記されたレコードが発売されるようになる。
何故かというと、モノラルが良いと思い込んだユーザーの願望に押される形で、レコード各社が「モノ」と書いたレコードを発売する。

原盤に忠実という名目の、そっくりさん海賊版と言えるような発売である、中には社名を隠しているのもあった。
海賊版のような情けなさである。

ところで、このころの再発盤のモノラルは、先のモノラルではない。
ステレオ盤なのに、モノの音でカッティングしたものである。
既にモノ針が消滅しており、また一台のプレイヤーで済む事を認識していたレコード各社の思いやりであったと、良い方に解釈しておきたい。

従って、使用する針はステレオの針が正しい。溝のサイズが違うのだ。
無理にモノ針を使用しない事。

それから、もう一つテクニックの問題。
使い古した結果、盤によっては溝が相当傷んでいて、音がビビったりすることがあるのだが、そういう場合はステレオ針を使用すると、意外に気にならなかったりすることがある。
モノ針は少し上の方に着地しているからで、其の部分が聴けなければ、ステレオの細い針ならば、その下の部分のあまり傷んでいない部分の音を拾ってくれるのである。
まあ、常にそういうわけでは無いが試す価値はある。わずかなチャンスである。

それから、モノ針の場合、針圧は重ければ重いほど良いかというと、そうでもない事がある。
8gとあっても、軽めにしたほうが、ジャズのリズミックな音がしゃきっと聞こえる事がある。軽さ故に音も軽くなるのであろう。
なんでも色々試してみるのもオーディオの楽しみでもある。


ジャズを聴くカートリッジの事
2023/06/01

レコードを聴こうとした場合、カートリッジ(針)は出来れば、モノラル用とステレオ用の2種類は持っていたい。
まず入門としてステレオ用の針を持って通常とするとする。
針には針圧があって1.5グラムから3.5グラムほどの重さを掛ける事になり、更に発電装置がMM型かMC型などに大別される。その辺りは個人の好みで有るので、私がどうこう言う必要はないし、ここまでならさほど問題はない。
所が、ジャズのレコード・マニアともなれば、モノラル・レコードの存在が大きく立ちはだかり、50年代はまだモノラルの時代であってステレオ盤など存在しない。いや言って見れば、マニアに取ってステレオ盤など興味の外という人も居るほどである。かくいう私もかつてはそういう時代もあった。モトエ。
さて、それでモノラル針の登場である。
モノラルのレコードはモノラル針が必要である。なぜなら針の太さ、すなわち溝の太さが異なるのであるし、針圧も5〜8グラムを掛ける事になる。便宜上、太さと書いたのだが、厳密にいうと太さではなく針先の丸みの事をいう。
モノラル針は1ミル(mil)であり、ステレオ針は0.7ミル(mil)という単位で表される。
ミルというのは半径を表していて、モノ針は1ミルすなわち25.4マイクロメートル(μm)というカーブで、一方のステレオ針は0.7ミル(mil)といい半径値が17マイクロメートル(μm)というカーブになる。
いずれも、正面から見て、レコードに降ろした時の針の左右の接点の下側のカーブの事である。
結果的には若干モノ針の方が太いというのも間違いではない。

要するに、モノラルの時には横方向だけの動きで音を拾い易く針圧も掛けられて、結果的に重厚な音で良かったものであった。
それがステレオという横振動に縦振動も加わった事により、上下左右の音を拾う仕組みになった、そうなると、凹凸がタイトになって来てもっと細い針でさらに針圧も軽くする必要が生じたのである。
しかし、こういう事を一々解決していった当時の技術者たちは偉いと思う。

実際にこうなってみると、部屋のスペースと費用に余裕があれば、もう一台プレイヤーがあった方が快適に聴く事が出来る。
まあプレイヤーが一台しかなければ、追加のアームをセットすればよい。
モノラルの針もまだ沢山売られているのだが、どうしても当時の針が欲しくなってしまう。
どんな針が良いかと言われると、安価なところではGEのバリレラが一つの選択肢である。モノとステレオの切り替えで両方使用可能でもあり昇圧トランスも不要でもあり、アメリカの明るいジャズが好みなら大正解である。
私個人のバリレラはタンノイ製でモノとSPの切り替えになっていて大変便利である。
プレイヤーに78回転が付いていると有難い。

しかし、その先の音質の好みは、さらなる研究と費用が必要なので個人の趣味である。
オルトフォンなどは最近の発売されたものより、80年代頃までの、かつてデンマークに会社が存在していた頃までの中古を入手する事をお薦めしたい。
シュアの会社も日本のマニアの間では、かつては人気ナンバーワン企業で、バリエーションも多く、針圧が8gくらいの物も売られていたが、今はもう見る事も無くなった、どこかが作ってくれると良いと思う。

レコードの音はオーディオによる、そのオーディオには少しでも興味を示して頂きたいと願う。

岸田首相の息子.....
2023/05/29

岸田首相の息子は懐が甘いというか、馬鹿というか、調子に乗っているというか、どこか昔のおぼちゃんタイプでなんでも自分の思うとおりになると思っているのかね。

しかし、しかしだ、私は公邸と官邸の区別がよくわかってはいないのだが、事件とされるのは首相の公邸でしょ。
官邸ではなく公邸。官邸ならいざ知らず公邸はプレイベートな住処であって、
別に、大騒ぎして週刊誌も首相叩きに走らなくても良かったんじゃないのかな。

それから、もう一つ、いったい誰がこの情報と写真を週刊誌に売ったのか?
公邸の従業員か?
それとも招待された親戚といわれる、岸田家の身内か?
身内でありながら、岸田親子憎しで情報を流したなら、馬鹿一族としてこれもあり得る。
だが、公邸の従業員が流したとなると、これはとんでもない犯罪であって首相の秘密を守れないような人間が公邸や、また官邸に出入りしているのか?
こっちの方が大変な問題である。

親子を叩いて喜んでいる場合ではない。

しかし、自民党本部も新しく首相が誕生した場合、その家族共々、日本の父としての心構えや態度、金銭感覚について教育しないのかね。
まったく!

ビ−トルズのレコード
2023/05/28

ここの所、二日間続けて通ってきた外国から来た観光客。

他のレコード屋は無いかと言うので、ここにはビートルズ専門店もあると教えてあげると、「いや、もうビートルズは沢山、しかし、日本人ほどビートルズ好きの国民はいないよ」と呆れていた。

彼のいうには、ビートルズの熱の入れようは日本人が世界一だと。
なんで?
と聞かれたが、ジャズの店の私には答えようがない。
確かにそうであろう、とは思う。
私も訊きたい、なんで?




ノンフィクション 暁の宇品
2023/05/26

暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ 講談社(堀川恵子著)
最近読んだ本。

ちょっと前「チンチン電車と女学生」という本が面白くて一気に読んでしまった。それが同じ作家さんだと知って買って見たのだ。
もう一つ、義父が終戦当時、国鉄の広島鉄道局、総務部長で、原爆投下を体験しているので、その興味もあった。
当時の軍部に握られてしまった国鉄輸送の苦労の話もあったようで戦時中はもとより、終戦後の混乱の苦労も時々訊いたから。

原爆は何故広島に落とされなくてはならなかったか?という単純な問いから話は進む。
呉=広島という戦略上・日本防衛上の最重要拠点である事を明らかにする。日清・日露の時には国会が広島に移転し、天皇も来ていた事も分かる。
かく言う私の義父も仕事場のあった宇品の防空壕から「呉が爆撃されるのを見ながら暗澹たる気持ちになっていた」と語っていた事を思い出す。
その時まで、広島はほぼ無傷であったのだから、原爆投下の布石であった事が理解できる。

海軍が輸送について全く問題にしていなかったので、陸軍が海上輸送を担う事になり、宇品に船舶司令部が置かれ、陸軍軍人でありながら、船舶の神と言われる田尻中将が海上輸送の設計から上陸用舟艇の設計まで行う。
船舶輸送の重要性など興味を示さず、ひたすら戦争への道をすすむ軍部とのやり取りは息をのむ。
先の戦争物を読むたびに、馬鹿な軍部にハラワタが煮えくり返る思いであるのだが、ここでも同様の感情で読み進む。諦めの境地である、ってそれしかない。

話は原爆投下で終わるかと思えば、本は、実はそれからが俄然面白い。
原爆投下直後から広島の復旧に動いた佐伯司令官と広島の陸軍。放射能の高濃度のなか、死人の整理、怪我人の治療輸送、のみならず電気、水道の復旧、道路・電車・線路の復旧、はては各家ごとの郵便ポストの設置まで八面六臂の大活躍。
それが、なぜかと追跡すると、関東大震災時の復旧で働いた当時の陸軍にいて作業を経験したのであった。
関東大震災と言えば、今では朝鮮人を殺した事ばかりあげつらう本や報道が多く、その事ばかり目立ってしまいがちだ。
しかし私はその時の復旧にもっと注目してほしいと思っていたのだが、ここではきちんと評価をしている。
現在においても、震災時における自衛隊の働きも、なんど続く災害などがあって、その復旧作業でテレビでもようやく画面に映る様になり、本当にやっと認められるようになった。
関東大震災と原爆投下後救助の意外なつながりに言及したあたり流石に力のある作家さんである。

とても面白いだけでなく、戦争の一面を抉り捉えたノンフィクションであった。

世田谷区にある豪徳寺の本屋
2023/05/22

世田谷区の豪徳寺にある「七月堂」という本屋。

詩の本が沢山あって、ちょっと通好みの本を扱っていて、出版もしているようだ。
新本のみならず古本も同居している、近くに住んでいたら、ちょこちょこ通ってしまいそうな店である。本好きにはたまらない。

ここの軒先で今日まで、下高井戸のカフェ2−3が移動カフェを開いているというので出かけてみた。

美味しいコーヒーとマフィンをいただき、気に入った2・3冊も買え、その場で出会った見知らぬ人とお話もし、なかなか楽しい本屋とコーヒーの旅であった。

帰りに豪徳寺に寄って、名物である招き猫がずらっと並んでいる様子を眺め、境内を散策した。参拝客はそこそこの数がいたが、すべて中国からの観光客ばかり、ここが日本とも思えぬ雰囲気になっていた。

湿布薬
2023/05/21

骨粗鬆症と診断され約四か月間、自宅で週二回注射をしていたのだが、検査の結果骨密度が70%に回復していた。
では注射より楽な飲み薬にしますか、と先生に言われ週に一度飲むだけで良いと言われるフォサマックという薬を処方された。
そして木曜の朝飲んだのはいいのだが、その日の夕方から胸と背中が痛くなって、そのまま翌日も寝込んだ。土曜日に主治医の出番があるので診察を受ける。

レントゲンなど数枚撮って検査しても悪いところはないと。
では副作用ですかね。副作用による筋肉痛かもしれないという事になった。

次回、再び同じ症状になったら、間違いなく副作用ですね、と私も実験する意欲満々になって帰ってきた。
湿布を貼って、休んでいてくださいね、という優しい声を背中に聞きながら。

さて、家に帰り医療箱にあった湿布を貼ってもらったのだが、翌日起きた時の、効き目のなんか充実感がない。

昨夜、家内に貼ってもらう時にビニールも固まっていて剥がれにくかったし、スーッとする感じもなかったのでオカシイと思った。 
今朝、湿布薬の箱を手に取って、裏を見入ると、期限が1996年になっていた。

チックショウ!

ドーナツ
2023/05/20

ここのところ、また甘いものを食べている。午後になると山下達郎のドーナツソングが脳裏を巡る。

きみと食べたいなドーナツ♪。
私の血糖値が下がったから、ドーナッツ♪。
少しくらいならいいだろう、ドーナツ♪

とかってに歌をこしらえて、ドーナツを買ってくるようになったのだ。
ドーナツ一個食べるのだが、もう一個は一生懸命我慢する。
すると、なぜか、更に他の何かが欲しくなって下のコンビニでチョコを買ったりしてしまう。だったらドーナツ二個でもよさそうだな。

それで、これではいけないとネットで調べていたら、血糖値が上がりにくい糖なるものを売られていた。
どこかの大学が作り出したもので、希少糖という天然由来の甘味であるらしい。
従来ある合成甘味料=ダイエット・シュガーとは異なるらしく、あれは基本的に発がん物質があるらしいから。それに甘さより苦味など変な味もするから。

今はまだ店頭にはなく、ネットのみの販売だというので、早速アマゾンで注文してみた。
血糖値が上がるか下がるかは測定していないので、分からない。
朝食など砂糖を使っていたものの代わりにしている。
さて、どうなるか?
しかし、ちょっと引っかかる所もあって、結局甘い物を口にしているわけで、そうすると、私の脳の中で、ならばもっと甘い物が食べたくなるのである。
普通、それを世の中では中毒と言うのだが、甘味中毒は実にたちが悪い。

甘味は甘党のみならず、実はビール党も同様である。
クワバラ、クワバラ。

レコードの事
2023/05/19

私は毎日店でレコードを売ったり、こうして日記に書いたりしている。
特にジャズのレコードを紹介している。
だが、現在のCDで聴くジャズ等は紹介する事はない。
過去の作品について揃え、紹介しているだけである。
新しい音楽は、私がやる必要はない、世の中の多くの評論家と名乗る人たちがこれでもかと本、ネットで書き連ねているし、アマチュアのマニアも同様である。
この世はプロが沢山いる。

大切な事だが、レコード以外の媒体について人それぞれに楽しめば良いと思っているし、否定しているわけでは無い。
むしろ、最近の人の方がレコードマニアを否定している事の方が多い。
ま、それも人生好き不好き、単に私がレコードを愛しているだけである。

私の仕事は、1950年代などの過去の音楽を記録したものを見つけ出す事でもある。
終わった音楽を見つけ出す。
終わってしまったけれど、どこか現在の音楽の基礎になっているもの。
私はジャズのレコードだけの骨董屋。
私は時間を遡る。

レコードが作られた時の様々な状況、ジャズメンだけでなく、あの時の企業の状況、社会情勢も考え、残せたらいいなあ。

私はジャズのレコードのジャパニーズ・サンドマン(日本人の骨董屋)。


Herb Ellis “ Ellis In Wonderland”
2023/05/18

Herb Ellis “ Ellis In Wonderland” Norgran MG N-1081 (USA)

ハーブ・エリスの名前が日本で、それなりに耳にするようになったのは、70年代にコンコルド・レーベルから、かなりの数のアルバムが発売されたからである。
しかも、コンコルドの1番から3番まで、彼の名前が頭に持って来ると言う破格の扱いであった。
ちょっと中間派のジャズであって、それで当時ジャズ・ファンにはかなり人気になった。
そこから、過去に遡ってVerve系のアルバムもちょこちょこ聴く人が現れた、と言っても嘘ではない。

と思いながら、この作品を聴けば、かなりの水準にある音楽性になるほどと納得させられる。
当アルバムは彼の初リーダーであるが、初にしては年齢的には35歳、というかなりの晩生でもあるが、何しろスタジオ・ミュージシャンとしても、かなりの腕前であったので、それほどリーダー作に拘らなかったのだろう。しかし、ノーマン・グランツには気に入られていたようで、以後一・二年毎に吹込みがされているのが興味深い。
有名な所ではNothing but the blues(Verve)になるが、こちらの初リーダー作は新鮮味と、初録音と言う張り切った事が大きな長所になった。

Harry Edison(tp)と Jimmy Guiffre(cl,sax)と言うスイングとクール・スイングの管楽器の素敵な取り合わせにも感心する。
Ray Brownのベースがしっかりと低音部を支え、腰の据わったジャズにしている。
豪華なバックがいる事も素晴らしいのだが、何より、ムードのあるギターの音色が素敵である。
この録音のギターの音色も完璧である。

そういえばタイトルは、本のAlice in wonderlandをモジったものだが、他にも同様なレコードがあって、スエーデンのアリス・バブスのレコードに、Alice and wonderband,というのもある、出来が良いので是非聴かれる事をお勧めする。
レコード各社、タイトルの命名には苦労していた事が偲ばれる。いや、安易か?

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