HAL'S DIARY
オーナーのひとりごと。買付けの裏日記など。
きまぐれに更新しています。
  
| LENA JANSSON “PAY SOME ATTENTION TO ME!” | - 2012/08/29
- LENA JANSSON “PAY SOME ATTENTION TO ME!” BLUEBELL BELL 177 (SWEDEN)
ナイス・ボーカル・アルバム。 このレコードはスエーデンのレコード屋を歩いていても、意外に見つからない。 発売枚数が少ないのか、買った人が気に入って売らないのか、または販売ルートが小さくてライブ時の手売り状態だったのか。想像すればその全てという感じであろうか。 ジャズボーカルとしてかなりの好アルバムである。ジャケットがまた良い。 古いイギリスのオープンカーに乗ってちょっと後ろを振り返って、にっこり笑った写真は、なんという可愛らしさ。車はMGとインパネにもステアリングの中央にも彫ってあるから解る。 相当古そうだ。車は古いが彼女は若い、その対比がまた車ジャケット好きにはたまらない。 全体が緑の色で統一されている事も安心感につながる。
彼女のディテールが無いのでネットで検索すると、出て来るわ出て来るわ、凄い数の日本人が書いたブログとこれまた日本のレコード屋が書いた宣伝ブログ。 それに比べスエーデンでの詳細な書込みは見られなかった、という不思議な歌手。日本で売っている韓流のような気もするが、自主的なので全く違う。 仕方なく、後ろのライナーを読んでみた。 彼女の最初のレコードではないが、彼女の初リーダー・アルバムだという、だが最後のアルバムでもないそうだ。 もっとびっくりしたのは、夫君のJONKENは単に夫だけではなく、彼女のジャズの先生でもあったと。 夫唱婦随とはこの事。歌を聴いていてテナーのサポートがあまりに見事過ぎて夫婦だからかなと思ったりもしたが、音楽の相性もピッタリだったのだ。 JONKEN「LENART JONSSON」はテナーで日本では埋もれたテナー扱いにしている人は多いが、実際は仕事が多かったようだ。彼のテナーは名人芸で、私はアメリカのZOOT SIMS、オランダのRUUD BRINK、ノルウェーのBJARNE NEREM、といったようなボーカルのバックで抜群のサポートをしてくれる、歌手にとってもスタジオでも、とても信頼の厚い人なのだろうと思っている。良いジャズメンである。 こういう人たちの音楽を行間を読むようなつもりで聞くとジャズは楽しくなる。
演奏メンバーは、クラリネットの名手PUTTE WICKMAN,テナーは夫のJONKEN、ピアノはNILS LINDBERG、ベースはSTURE NORDIN、ドラムはRUNE CARLSSONと国のトップクラスがずらりと揃った、これで名盤にならないはずがない。余程の歌手でなければこんなメンバーを前にして、いや後ろに従えて歌う事など出来まい。と、ちょっと意地悪な気持ちになって聴けば、なるほど、大した歌手である。 サラッとした今風の綺麗な声で、バックともぴったりで、選曲もガーシュインの曲ばかりで、これはウケる作品である。
ジャケットの後ろを見ていたら、なんと二人のサインがあった。 From Lena Jansson,And Jonkenとなっていて、彼は髭と太った顔の似顔絵までサービスしている。
聴いても見ても、幸せになるアルバムであった。
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| 餃子屋さん | - 2012/08/28
- 国境争いのせいで、最近は焼肉や中華の店に行きにくい。
新宿だからどうしたって、あちらの人たちと知り合いは出来る。 餃子を食べに行った時の事、あれはちょうどオリンピックの卓球の日本対中国の試合の最中。 おじさんは中国人だが、私たちに「日本人とても強いですね、勝ちますよ。私も応援します」等と気を使ってくれる。それでもやっぱり気が重くなる。それが、はっきり国境紛争になったら、話のしようもない。 無理やり話を避けている風でも面白くないし。 韓国は韓国でお客さんも来るので、お互いに気にしないようにしようなどと言ってみてもすっきりしない。 焼肉屋のおばさんにはもうしばらく会ってない。
仲良くしていても所詮は外国人同士で、国は国、個人は個人とうまく割り切れない。 オレは餃子を食べるのにも気を使っているのか?
国境紛争のないヨーロッパが羨ましい。
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| 夏 | - 2012/08/27
- 今日は休んで富士山の近くに行っていたら、お客様から電話がかかって来て、ジャズ喫茶ナルシスに行こうと誘われた。
ちょうど5時に戻る事になっていたので、一緒に出掛けた。 久しぶりのジャズ喫茶で盛り上がり、もう一軒という事でDUGにも行く。 ジャズのハシゴだね。
途中、店から電話が来て呼び戻され。 結局、その後また飲みに行ってしまった。
「暇な日は 夏の終わりの モルツかな」
「焼き鳥や 評論家たちの 夏終わる」
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| ART FARMER “MODERN ART” | - 2012/08/26
- ART FARMER “MODERN ART” UNITED ARTISTS UAL4007
私も何度となく昔は良かったという話を書いている。 その流れで行くとこのアルバムなど正にそういう類のレコードになる。 それは廃盤ブームが来た74年の「幻の名盤読本」が発売される少し前の頃。 まだ廃盤、廃盤と騒ぐ前の頃の事。ジャズ喫茶で聴いて、これなら手が届きそうと、レコード屋に行って「モダンアートのオリジナルありませんか」と尋ねている客をよく見かけたのである。 それでも1万円はしていたから、廃盤・モノ盤の結構な上位にランクされていたのである。 私自身もこのレコードを買った時の喜びは格別であった。
あれから40年。 廃盤番付の上位から落ち、今は欲しがる人が少なくなってしまった。 コレクターのプライドをくすぐる事のないアルバムになってしまった感がある。 今もベーシック・コレクションとしては上げられるかどうか知らないが、実に寂しい限りである。 商売上、それも判らない訳ではない。彼のレコードの「PRESTIGEのFARMER MET GRYCE」「ARGOのART」など、ちょっと探せば結構見つかる様になり、ある程度の金額を出せば入手も決して困難でもなくなった。インターネットなど便利な時代の流れの中では仕方のない事かも知れない。 では、このアルバム、興味を失う程の凡庸な作品か?
たしかに録音が大人しいせいか、ハードバップの元気さがあるわけでもなく、今の人が聴けばメリハリはやや乏しい事は否めない。 しかしこのアルバムは実に素晴しい作品で、BENNY GOLSONのアレンジ能力と、二人の共演の効果は評価に値していたのである。 特にBENNY GOLSONのアレンジによるA−2「FAIR WEATHER」のイントロの部分の入りと繋がりは絶妙で、感心してしまう。高々数小節だけであっと思わせるアレンジを施すとは見事で、その数小節だけのために購入しても良いレコードは存在するのである。 サックスだけ聴くと何をしたいかちょっと分かりにくいが、全体のサウンドの中に置くとトランペットを下から支え続けるテナーのサウンドは抜群である。彼は音楽家である。 この作品にはBILL EVANSも参加していて、「なんだ、ハードバップのピアノも出来るんだね」という観客の声も聞こえて来そうなほどサポートに徹している。 全体的にゆったりした曲調も、リーダーのトランペットの柔らかな音色が堪能できる好アルバムなのである。
何を言いたかったのかというと、昔はこういうちょっと気取った、おとなし目のモダンジャズのトランペットの音を贔屓にしていた人がいたのである。 この二人の演奏者の出す音すべてに耳を傾ければ、解る音楽である。 録音でもう少し粘りのある音になっていたらさぞ人気盤になったに違いないアルバムかもしれないが、仮定形で話しても埒も開かない。 傑作はいたる所にあるという事で。
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| 八月は | - 2012/08/25
- 八月はどうしても戦争や国の事を考えてしまう。
それでひと月前に行ったスエーデンで、スエーデン在住の日本人と話したことを思い出してしまった。 それは私が常日頃考えていることを質問した事から始まった。 まとめると話の内容はこんな感じ。 スエーデンと言う国は、最も成功した社会主義国家ではなかろうか? 社会主義の最も良い点、すなわち社会保障を取り入れ福祉に力を注いだ結果、国民が安心を手に入れた国を作り上げた事。そのため40%という高い税金・保険料があっても国民は満足している事。 そこで、世界トップクラスの社会福祉があるからには、相当な数の左翼の人々がいて、それが選挙でも相当数の左翼議員が選出されたはずで、それがなぜ共産国家にならなかったのか?と長年の疑問をぶつけると、常に微妙なバランスを取っていて決して、どっとそちらに流れてしまう事がないそうだ。それは国民の政治と民主主義に対する意識が非常に高く、常に冷静に判断された結果であると自慢気だったのが印象に残った。
つい私が「日本の左翼は、左翼イコール反日という状況なので、左翼が出て来ると日本の国に不利な状況が作られたりしますが、スエーデンの左翼は反スエーデンという事はありませんか?」と聞くと。 「とんでもありません、こちらの左翼はとても愛国心が強いです。ヨーロッパ諸国では左翼が多いのでグローバル化を進めたい人はいるけれど、皆愛国心は強くて、他国に隙があらばさっと付け込む国ばかりです」 国民が政府を信頼している事は間違いそうだ。 それが何ゆえ、日本では自国を愛していない議員や左翼の群れになってしまったのだろう?と、最後は笑い話になってしまった。 まあ、戦争に負けるという事はこういう事だ。
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| 暑い | - 2012/08/24
- お盆が終わっているのだが、増々暑くなっていく。
日ごと暑さがつのる。 8月が終わろうとしているのにヘンだな。
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| 休み | - 2012/08/23
- 今日は、平日の昼間にはめったに来たことが無いお客様が次々に来店した。
不思議に思って聞くと。 休みを取ったと。
残り少ない夏に休みを一日だけいただいた方、やってられるか休んでやると一日休んだ方、色々。
私の経験でも、平日に一日休みをもらって好きな事に使うのって、嬉しいものだ。 しかし、話を聞いていると、日本人は相変わらず働き者で感心してしまう。 本当にエライ!
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| 原発の事で | - 2012/08/22
- 私は原子力発電所そのものについては反対でもない。かといって賛成もしない。
原発に依存してここまで来てしまった訳でもある。今すぐ停止と言ってもどうしようもない問題が残されている訳だし。その最も大きな問題は、核燃料廃棄物ともっともらしく呼ばれるが実は「死の灰」で、それが原発を停止したとしても、死の灰は貯まって行く。 その死の灰の処分は、決定的な方法が確立されていないというなんとも頼りない現実。 どこの家庭でも薪ストーブがあれば捨てる方法や場所が決まっているのが当たり前。 日本の国は灰の捨て方を知らない、無責任な国なのにストーブは欲しい。
原子力発電所というと私は、子供の頃泳いだ、ふるさとのあの美しい木曽川を思い出してしまう。 中央アルプスと御嶽山の間の急峻な谷を流れ下るのでどうしたって川の流れもまた急である。 それでも、その川の流れも所々に溜りの様な場所が出来る。淵と呼ばれる場所である。 そういう場所に子供たちが集まって、上級生を中心にして泳いでいた。 まず、岸辺で泳ぎを覚える。次に向こう岸に横断する事に挑戦する。それが出来るようになると上流から流れに乗って下流まで流されながら泳いで下るのだが、これが深い所で潜ったり、渦巻くところは力を抜いて身を任せたり、それはスリリングな遊びだった。 そのまた上級者は高くそびえる岩からのダイビングがあった。その岩は長方形を空に向かって立てたような岩で、僕たちは立岩(たていわ)と呼んでいた。岩によじ登るのも英雄的行為であり、その岩の上に立ちあがった雄姿もカッコ良かった。その競争にも似たダイビングが始まるとみな泳ぎを止めて、それぞれの贔屓というか親分というか、日焼けした近所の兄ちゃんたちの雄姿に見とれるのだった。僕たちは取りあえず下の段から飛び込みを練習していた。 私は小学校前から喘息などで虚弱児童と呼ばれていたので、それを隣の3つ上の兄ちゃんが心配して、泳ぎは体に良いからと毎日川に連れて行ってくれたおかげで、小学校2年の時に向こう岸に泳げるようになっていた。クラスで向こう岸に行けたのは、一番強いと思われていた子と私の二人だけだったので、その時ばかりはクラスでも一目置かれたのが嬉しかった。
それが6年に上がる前に、ダムが出来る事になり、水泳は禁止になった。 やがて工事がはじまり、青々とした水をたたえ、アユも一緒に泳いでいた美しい淵も、あの水の側にやや傾斜し空に向かってすっきりと立った「立岩」もダムの水底に沈んだ。釣ったり取ったりしていた魚たちに触れる事も無くなった。 泥と砂で白っぽく濁った水がそういう景色すべてを飲み込んだのである。 それでも地元では村に対する税収の大きさや、関西電力に電力供給して社会に貢献しているからと、美しい景色と引き換えの満足はしていた。ダム建設は当時、何十年という長い間仲の良かった村の人たちを二分するほどの激しい論争があり、それでもなし崩しに建設が決まった。 それからしばらくして、時々帰郷すると何となくダムの辺りが活気がないというか、錆びっぽい。 母親に聞くと、水力発電はもういらなくなった、ということだった。 ではダムを壊して元の故郷の姿に戻すのかと聞くと、それはもう無理だと。 要はそのまま放置されるのだと。そういう話をしながら、美しい景色も失い、社会貢献もなく、不要だと言われたダムだけが残ってしまい村の人々の空しい思いと敗北感を母の話から聞いた。
そうこうしている内に、日本のあちこちに原発が出来上がった。 昭和45年頃からの話である。
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| 熱中症 | - 2012/08/21
- 夕方、休憩でジャズ喫茶ナルシスに行った帰り、歌舞伎町の街頭テレビのニュースで「今年、今日までに熱中症で無くなった人数が関東地区だけで32人に達した」と言っていた。
暑さで毎年人が死んで行くのに、それを黙って見ている事は、一言でいうと政府の怠慢だと思う。 毎年暑さで無くなる人の数を、ここ数年だけでも足すと何千人となる。 国民の目線でなどときれいごとを言いながら、それでも対策が打てない政府など、やっぱりカッコだけなんだろうな。 真剣味が無いわな。 イカン。
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| 売ったレコード | - 2012/08/20
- 私はレコード屋なので、売ったレコードを後から売らなければ良かった等という女々しい後悔はしない。
特にジャズ専門店なので、ジャズに関しては間違いない事にしている。 事にしていると言うのが、ちょっとはあるとも取れるが、やせ我慢ともいう。
それでもジャンルを広げると、売ってしまったが後悔しているレコードが実は一枚ある。 クラシックのレコードでオイストラフ” ベートーベン・バイオリン協奏曲”英国コロンビア盤オリジナル。 数年前、何かの話でお客様に見せてしまった。すると美品だし、どうしても欲しいという事になり、売りたくなかったのが3万円で買うからと言われ、安い金額では無いし、売り上げの為にウンと返事してしまった。 その後、もう一枚持っていたモノ盤のオリジナルはどうせ安い物だし、やけくそになって売ってしまった。
ところが、自分で言うのもなんだが私は意外にロマチックな性格なのか、時々どうしてもこれが聴きたくなる。 あの甘い音色のオイストラフのあの演奏が。 それで、知り合いのクラシックの店に電話して価格などを尋ねると5万ならあるという、それだったらモノ盤でも十分に良かったのにと、よけいに悔しいので買わずにいる。
しかし、オイストラフという人は写真の顔を見ると旧ソ連の首脳部の人のように恐ろしい面構えで恐怖政治でもやりそうな感じなのに、あの演奏のバイオリンの響きは甘くてとろけそうで、なんという気持ちの悪いアンバランスな人なのだろうと思うのだが、演奏は大のお気に入り。
悔し紛れの文句は置いといて、もう私には入手は不可能だろうと思っている。 CDでは聴く気にならないし、オリジナルのレコードでなければ欲しくないし。 だれか売ってくれないかな。
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