HAL'S DIARY
オーナーのひとりごと。買付けの裏日記など。
きまぐれに更新しています。

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ART BLAKEY "IN MY PRIME"
2014/02/15

ART BLAKEY “IN MY PRIME VOL.1” TIMELESS SLP114
ART BLAKEY “IN MY PRIME VOL.2” TIMELESS SLP118  (HOLLAND)

MONK’S MUSICの聖歌以来、ちょっと宗教の話ばかりでなんだかなという気がしないでもない。
しかし、引っ掛かってしまっていた物は、明らかにしないといけない。
自分だけでも、すっきりしよう。

オランダのジャズレーベルのタイムレスから2枚のアルバムがリリースされたのは1978年。
だがこのアルバム、あまり売れたという話もなければ、当時評論家の先生方から良い話があったとは聞いた事がない。
彼のアルバムは100枚以上のリーダー作、更に共演ともなれば数知れず、面倒ではあるし、もうアート・ブレイキーなどに鼻も引っ掛けない時期になって来ていた。

ところが、当店においてはこのVOL.1のアルバムが結構な売れ行きなのである。
それはA−1がクラブ・ライクなノリの良さとカーティスフラーを含む4本の管楽器のアンサンブルがすこぶる好調。DJ達にも聴かせると受けが良い。
B−2のコンガと一緒のサウンドも絶好調、と営業トークは置いといて。
このアルバムの興味は他にある。
B−1の「To see her face」を聴くと、おやおや、あれではないか。
始まりの部分がピアノのJames Williamsがソロで弾く聖歌「Abide with Me」!
そうMONK’S MUSICの一曲目のあれ。
聖歌の後、ブレイキーのソロで曲は進行するが、はやり厳かな雰囲気での始まりである。
勿論この曲の演奏は大成功。
そもそも、アルバム・タイトルの「IN MY PRIME」というからには何かがあると思えば、こういう事か。
裏ジャケには、肩車をした女の子、多分孫かとも思う。
私の大切なもの、それは孫も、だけれども信仰心もあるのだと。
しかし、かれは一度ムスリムになったはずだが、そのあたりの経緯はわからぬ。

そして、次のアルバム「VOL.2」。
ここでも冒頭いきなり聖歌のような。題名を見ると、「Life every voice and sing」。
Max Roachも同名のタイトル名の作品で取り上げていたはずの、黒人聖歌・霊歌として知られた歌。
まずJames Williamsが1番を弾き、2番からブラスが加わって、心洗われる演奏。そしてドラムソロから次が始まる曲はショーター作曲の「Free for all」。良い流れだ。

しかし、一も二も、聖歌が入るとは、なぜだろう。
ブレイキーも60歳を目前にして、何か感じる所があったのであろう。
モンクのあのレコーディングから、思えばちょうど20年。
アート・ブレイキーの心にふと20年前の録音時のモンクや仲間の話などが、蘇ったのかもしれない。
彼の中に心境の変化があっても不思議はない。
この作品こそ、御大ブレイキーのジャズによる「遺言」だったような気もする。
そうなると聴きたいな、と思い家に持ち帰って深夜聴いた。
深夜に聴くにはちょっとウルサイかもしれないが、良い作品だった。
しかし、外人は神聖な音楽の演奏はアマチュア・ライクに厳かさを引っ張って、本当に巧く演奏する。
背筋が伸びる。

この2枚の作品は落ち着いた雰囲気があって、その上に尚、彼の得意なノリがあり、実に良く出来た作品だと思う。
さすがにドラム・スティック一つで、生き馬の目を抜くような音楽界を生き抜いて来ただけの事はある。
感心してしまった。

因みにVOL.2のアルバムの裏に、1978年録音とあるが、両方とも77年で間違いなさそう。

音楽で心が落ち着く今日このごろ。

ABIDE WITH ME モンクのアルバムで
2014/02/14

モンクの”MONK’S MUSIC”(RIVERSIDE12-242)の一曲目の聖歌について、私は20代の頃から、ずーっと引っ掛かっていて、何故販売目的のジャズのアルバムの冒頭に聖歌を持て来るのか?
これが大きな疑問であった。それが別に悪いわけでもないが。
私は信者でもないので、余り他人の宗教感に対し踏み込んでもいけないような気がして遠慮していた。
しかし、どうせ書き掛けた事でもあるし、この機会に、ちょっとはいいか?

この曲について少し書きたい。
この曲は詩が先にあったようで、作詞者はヘンリー・F・ライトという、詩の才能のある牧師で、彼の死が近づいた時、聖職を通して経験したり、確信した事からの詩だという。
この詩に、曲を着けたウイリアム・ヘンリー・モンクはオルガニストで、作曲も行っていたようだ。
本によると、彼は、悲しい事があったある夕方、沈みゆく太陽を眺めていて霊感が湧き、わずか10分で書いた、そうである。(讃美歌聖歌物語)

題名の「ABIDE WITH ME」は直訳すると「一緒にお泊まりください」である。

かつての、日曜日の夕拝、夜の礼拝などに集まる、熱心な信徒に歌われた讃美歌であったと。
また、青年達のアウトドアの集まりに、夜の火を囲んだ時などに歌われ親しまれた讃美歌であったようだ。

MONKとは修道士である、従って自分の事を他人以上に強い信心があると自覚したかどうかは分からないが、モンクにとって、この曲は単なる聖歌では無かったという事になる。
作曲者が同じ苗字でもあり、信者でもあれば余計に好きになった曲だったかもしれない。
なによりレコーディングするほどの気持ちだった事に、強く興味を聴かれるものがある。

一緒にお泊り下さい、すなわち「神よ、私とともに、ここにいてください」という気持ちの現し方だった。
彼がこの曲を演奏する事によって心が落ち着く所があったのであろうか。
信心薄い私ゆえ、これ以上の事は分からない。
しかし、私はいつも非常に心を揺さぶられる。

こうして考えると、あまり多くのともだちがいなかった私には、若い時から本を読んだり、映画を観たりジャズを聴いたりして、主人公たちの生き方や、演奏家達の人生を学んで来たのだなあとつくづく思う。

音楽や映画が好きな人達は、きっとみんなそうなのだろうと思う。

エアコン故障
2014/02/13

ランチから帰ると、店内が寒い。
駄洒落が寒いのか、と思ったがそうではない。
エアコンのエアが来ん、などと笑っていたが、どうも壊れたようだ。

どうしてこういう、寒い日に壊れるのかと怒ってみたが、前回は8月の暑い日だった。
その前に壊れた時も、10年以上も前の事だが、これまた8月のお盆の暑い日だった。
これで、暑い時や寒い時に壊れるのがエアコンだという事が解った。

納得できる答えがあって良かった。
って、喜んでいる場合ではない。

業者に修理に来ていただくと、なんと修理費用が、新品を買うより余計に高くつくと言われ、大変にショック。
このまま、冬を越せるかな?

ハルズが
2014/02/12

知り合いから連絡があった。

グーグルで「ハルズレコード」と検索すると、ぼたもちの写真が出る。
オカシクないかと。

私も検索して見た、確かに出るのは「ぼたもち」。
和菓子屋にしたのか、と言われた。

転職しようかな。
甘党だから。

笑っている場合じゃない。
やっぱりクスッ!

消費税
2014/02/11

来るものが来た。いよいよ4月から消費税値上げ。
これで、ほんの微かに上向き加減かと思った景気は一気に落ち込む事になる。
当店もこれからどうなるものか分かったものではない。
安倍総理も惨い事をするものだ。

ところで消費税値上げなく日本の国はやっていける筈である、と私は確信している。
それが何故上げるのか、考えて見よう。
まず収入を、便利なネットを探すと、財務省か「国税庁統計年報書」と言うのがある。
やや古いが平成17年度版があったので、適当に抜粋。

さて、平成17年度の国の税収は、49兆0654億円。意外に少ないものだ。
これでは国家予算を賄えない。だったらお前ら使うなという話は置いといて。

内訳を見ると
1位 所得税 15兆5859億 全体の31%
2位 法人税 13兆2736億 27%
3位 消費税 10兆5834億 21%
消費税は税収全体の21%も占めていて、これは大きい。
その内の3%の値上げで3000億強のお金が増収、政府が放っておくはずもない。

私のしがない調査によると、個人の商店などでは、意外に未納となっているらしい。
不景気でお金が無いと。
そうだよ! 零細の商店にとっては売上金から支払う事に変わりは無いのだから。

それで、統計に滞納がないかと調べて見ると、なんとこれも出ていた。
同じ年度であるが、17年度の滞納件数 全体で430万件、金額にして1兆7844億円。
これは大きいぞ。トヨタの利益で払ってもらおうかな?いや冗談。
その内、問題の消費税は4,875億円も未納となっている。
ちなみに、その前年度は4,885億もある。
これが何年も累積しているとすると、怒りも湧いてくる、国の借金も払っていけるだろうが!と、まあ、ここは冷静に。
それならば、短絡的に税務署のお前ら集金に行けよ!と言いたい所かもしれないが、そんなに世知辛い社会を我々は望んでもいない。

それでいったい、どのくらい税の徴収に関して経費が掛かるのかと思うと、これも数字は出ていて、約1.5%くらいが徴収経費となるらしく、金額にすると7、000億も掛かる。
これ以上、そんな所に金を持って行かれては本末転倒。

正直なところ、国や政府が悪いと言うつもりで、調べてみたら、意外にも滞納額が多く、これが延々と累積されていると思うと、累積滞納額の金額には恐れるものがある。
払わない人が社会で楽しい思いをしているのはある意味羨ましいが、私には出来ないので仕方がない。 

冷静に考えて見ると、現状で税の増収は、取れる所、取リ易い人からとるという方法にならざるを得ない。
すなわち、未納の4千億円は3%のアップで賄えるという事である。
私が財務大臣でも、こうする。
手っ取り早い。

ただ現実問題として、申告をして一生懸命に払おうとしている善良な市民が、更にまた、負担を負わされることになるのだ。
みんな税金は払ってよ!

ただ、消費税の未納4000億も含め未収額の1兆円がもし、本当に払う事が出来ないほどの税率によるものであったとしたら、ここは安倍政権の腕の見せ所なのだが、さて。
景気回復の鍵もここからだと思うのだ。

都知事選挙
2014/02/10

都知事選挙が終わった。
開票一時間で舛添知事誕生と、あっけない勝利。
それはそうだ、自民党(都自民も)、公明、連合とこれだけ推薦を受けて負けるはずもない。
事務所関係者は天候悪化を願ったであろうことは想像が付くが、見事大当たり大雪。結果、投票率は46%。
投票率が低いほど組織票が勝つと、決まっている事。
それは今更であるが、関係者・支持者は、投票に対する積極性・義務感が違う。
我々の言葉でいうとマニアと同じで、何があっても選挙に行く人達である。
それに比べ雪だから行かない等と言う人達は、ノリで動くわけで、選挙などに真剣さが足りない。
マスコミでも煽ってくれなければ、腰は上がらない。
という事で勝は決まっていた。
しかし、散々コケにされて、やっと除名した舛添氏を、ここで推薦するとは自民党に失望するし、政治の嫌らしさを感じてしまう。

前回の猪瀬知事の時は、600万人が投票して投票率62%、有権者の6割が参加した選挙なので、これはまあ良しとして、今回の投票率46%は権利執行者が過半数に満たないと言う、民主主義も危うい無関心さ。
まあ、いいけど。

今回の舛添氏の獲得投票200万票強。
これは淋しい。こんな状況で勝たせて良かったのか?
前回の猪瀬知事が獲得票は400万票。これでも全有権者の4割にしか達していないのだ。
ところで、嫌味を言うと、有権者総数1000万人の内、今回棄権した人500万人と、反対票280万人の合計で780万人が反対とは言わなくとも、賛成をしていない訳である。
こんな知事で良かったのか。
しかし考えると、選挙と言うのは、マニア対一般人、という事が良く分かる。
これが今日の結論か?

ところで、細川元総理の立候補はちょっと驚いた。
二人の元総理がコンビ。小泉氏が引っ張り出したのだが不思議なのは、他人ではなく人気の高い自分が出れば良かったのに解せない。後ろにいて細川氏を操ってお金儲けを企んでいる様子が、何となく覗えてしまうのでは、都民の目は誤魔化せない。またオリンピックを控えているのに、原発が争点では、宇都宮氏と被ってしまうだけで、これも残念であった。
また、マスコミ受けするかと思ったのだが、テレビに取り上げられなかったのは見当違いだったのであろう。
殿が可哀想。

健闘したのは、右翼と言われる 田母神氏の61万票。
今まで左翼が得票を伸ばすことはあっても、右翼がここまで検討する事がなかった。
それを、ここまで善戦したのは時代背景があったのだが、若者を中心とするネット右翼とか新保守とか、言うらしいが、着実に日本の領土を守ろうとする意識が芽生えている事は驚く。
団塊世代はじめサラリーマンには基本的に左翼が多いので宇都宮氏90万票は分かる。
だが新保守の台頭という、こういう事態が続くと、今後の新旧対決が楽しみである。
若者に多いとされる無関心層を、どちらが、どうやって取り込むかが興味ある所。
ネット右翼も馬鹿にならない所まで来た。
左翼もいつまでも反日では票は伸びない。

しかし、投票率38%等という低い市・区もあったには驚いた。日本の民主主義危うし。
民主主義は有権者が、積極的に推す人を探さないといけないのだが、そんな理想の人がいるはずもない。
子供の生徒会でもなし、そんな事は実際不可能で、これだけ多くの人たちが投票に行かないのは民主主義自体が限界の気がする。
今回だって入れたい人がいなかった事も事実。
でも、勝てば官軍。

スター
2014/02/09

この前、近くにある電気店の大型スクリーンに東方神起が映し出された。
すると、その向かい側の道路に観客が2・30人ほどもいた。
それにわざわざ、整理の掛かりが腕章をして、これまた4人ほども待機。
そんなに人気なのかと暫く観察していると、どうも観客が熱くない。

時々、観衆の人混みの入って行って、携帯で写真を撮ったりしているのだが、どうもやる気が無さそう。
面白くなさそうな顔をして、数分立つと、後方に戻って、タバコを吸ったり休憩。
そうかと思うと前列で、わあわあ大声を出している人もいる。
わざわざ、ここまで来て大騒ぎ。
ひょっとすると分業?

思えば、そんなに好きならDVDを買って家で見ればいいわけで。
これって、人集めのバイトで来た人達かと、オジサン勘ぐってしまった。
何も係員が出るほどの混みようでもないので、なんだかワザとらしい。

いや別に文句はない。
オジサンになると、ただ疑い深いだけで。

2014/02/08

今日は雪が降って、暇な一日だった。

明日ももちろん営業。


QUINCY JONES “with Harry Arnold and his Orchestra”
2014/02/06

QUINCY JONES “with Harry Arnold and his Orchestra” BARCLAY 82.181 (FFRANCE)

珍しいアルバム入荷。これは書かねばならぬ! とオヤジも義務感に駆られる。
このレコードのジャケットを見ると、余りお目に掛かった事がないぞと、裏をひっくり返してよく眺めると、な、なんと、例の彼の代表作、スエーデンMETRONOMEの「HOME AGAIN」のフランス・プレスではないか。
当時こんなレコードも出ていたのかと、大いにソソられる。
ジャケットもスエーデン盤と異なって写真が洒落ている。
彼が笑顔で立っていて、後ろの壁に蔦が這った様子がなんともシュール。
試聴をすると、これがまた、原盤以上のメリハリの効いた音質。
これは拾い物!
レコード屋冥利に尽きる。

クインシーと言えば、ジャズメンなどという肩書は当の昔に捨て去って、あのメジャーのマーキュリーの副社長に上り詰め、更にポップスの世界で大活躍、マイケル・ジャケソン等大スターと仕事をし、世界のクインシ−になってしまった。
しかし、どこかの国の人気ミュージシャンのように、過去のジャズの経歴を消したいなどと言わない所が素晴らしい。

さて、このアルバムの録音された、あの頃に戻ろう。
1958年、満を持してスエーデンに渡ったクインシーは、音楽活動に没頭。
数々の演奏、録音と忙しかった。そして当アルバムの発表。

このアルバムは特に優れた作品であると、私は保障する。
メンツは全員スエーデン陣であり、AKE PERSSON, ARNE DOMNERUS,BENGT HALBERGなどトップクラス勢揃い。
通常、ビッグバンド・アルバムは聴けば元気いっぱいに、音がこれでもかと流れて来る。
所がこの作品、キラビやかと思えば、いたって大人しく、ガツンと来たかと思えば、ソフトな小編成かと思わせる音色、これぞ緩急自在の音楽で、作者が非常に精神的にも充実していたのであろうと推測できる。
この中のA−2「MIDNIGHT SUN NEVER SETS」など、ビックバンド嫌いの方々でも、一度聴いたら忘れられない上品さ、夏のスエーデンの白夜に人々が楽しみ、そして去る夏を惜しむ風景が偲ばれ、思わず目頭が熱くなりそう。
B−3「MEET BENNY BAILEY」などは、ベニー・ベイリー好きな方々なら感動なくして聴く事は出来まい。
なにしろ、この作品がリリースされ演奏会が開かれた時に、この曲は一体なんだと現地の記者に聞かれた時、彼は我々の気持ちなど全く理解してないと怒って記者会見の席を立ったという話もあるほどの、思い入れだったらしい。
即ち、ベニー・ベイリーを失ったのはアメリカに取って損失だという意味で、当時のアメリカの楽団のリーダー達から渡欧を惜しむ声が高かったのだ。下らない質問などするなと。
スエーデンに渡り、姉ちゃんは綺麗だし、音楽家として尊敬もされ、クインシー本人も一時は永住を覚悟した事もあるので、スェーデンに滞在した事は彼の音楽人生に取って非常に有意義であった。

という当時に想いを馳せながら、このアルバムを聴くと、過去への郷愁が沸々と心の中から湧き出る。
素晴しき50年代のモダンジャズの時代よ。
ああ、ため息が出てしまう。

ついでに右側に、スエーデン原盤の写真も掲載しておく。
ストックホルム・コンサート・ホールの正面玄関での写真である。
QUINCY JONES “QUINCY’S HOME AGAIN” METRONOME MLP 15010 (SWEDEN)

ALTEC 603B
2014/02/05

そもそも、昨日は何をしに先輩というか友人宅に行ったかと言うと、現在使用中の古いドイツのスピーカー、KLANG FILM(クラング・フィルム)KL-L307-11も良いけれど、ジャズマニアの習性か、時々JBLのD−130の38センチのフルレンジのガツンとした音が聴きたい時があって、買い換えようかなとも考えていたからである。

そこでまず、棚の下の奥に転がっていた、グッドマンの古い30cmウーファーが良いんだよ、といいながらフルレンジの実力を有する音を聴いたりして感心していたら、そうだこんなもあったぞと、引っ張り出して来たのが、アルテックの603B。
38センチのフルレンジ。こんなものを押し入れに入れ置くのか、あんたは!
これこそJBLのD−130という名機を世に送り出した、ジェームス・ランシングがその前に作っていた歴史的とも言える往年中の往年の名器。
「いや、なにか使えると思って、押し入れに仕舞ってあったんだけどさ、使うなら持って行くかい」
と言うので、ちょっと箱に入れてと言うか乗せて、適当に試聴。
こういう初期のスピーカーはどうしたって良いやね。
こんなのを聴かされると、やっぱり心が動く。
欲しい!欲しいがこれをどうやって部屋に入れるか。
都心の家の部屋は狭い。
以前、当店の棚を直しに来た大工さんの台詞、「新宿辺りはこんな狭い部屋に住むのかい、え? 私だったら住めないね」と言う通り、こんな場所に大きなスピーカーが置けるスペースがあるものか?
一応ためしに、片方だけ運んで部屋に入れて様子を見ようという話になった。
しかし、どうなるものか心配。

と考えつつ、新宿に帰り、愛器のKLANG FILM KL-307を聴くことにし、その前に借りてきたケーブルに替えたり、カートリッジを付け替えたりして試聴すると、あらまあ、何のことはない、ソニーロリンズのテナーサックスも、ゴリゴリと堂々と鳴っているのであった。
サイズが25cm弱の大きさのフルレンジも、ボリュームをいつもよりやや大きめにするだけで、立ち上がりの良い迫力満点の音がする。サックスの鳴りっぷりに、これぞジャズ向きとホレ直してしまった。
シンバルの音は、私の望み通り、カンカンと鳴り渡る。チンチンとか、シャンシャンより、カンカンと鳴った方が良い場合もあるのだ、ジャズにおいては。
そこはもうジャズ喫茶状態。
そう言えば、帰りがけに「このケーブルで聴くと、満足したって言いそうだけどね」とニヤニヤしていたのが目に浮かぶ。
いやいや、こんな事で喜んでしまって、新規の、買う話はどうなる?

いや、やっぱり603Bは欲しい、ここは思案の思案橋。

一夜明けて、そんな状況で電話してみると「いやね、考えたけれど、私も二つとも手放したくないからさ、お互い一個づつってのはどう?」なるほどね、こういう初期の名器は手放せないらしい。
「そうすると狭い部屋にも入るでしょ?」ときた。
音楽を聴く場面、場面、において丁度良い道具が必要なわけで、こういうのは欲しいに決まっている。
お互い一個づつとは考えたものだ。
それでもいいけど、良い方のをどっちが持つんだい?

ところで、説明もしないでだらだらと書いてしまった。
これらのスピーカーは、どちらもフルレンジで、どちらも古いが、家にあるKlang Film KL-L307-11 25センチ・ドイツ製、は1950年以前の製造らしく、過去のヨーロッパらしい質素な所と言っては言い過ぎだが、それが人生の機微が伝わるような落ち着きがある。それでいてメリハリもあり正直、非常に気に入っている。
Altec603Bはアメリカの製品というかジミー・ランシングの音というのか、明るさと豪華な響きがあって、38cmの大きさによるところか余裕も感じられ、そこが堪らない魅力。中央の小さなホーンが同軸かと見えるが、音を 拡散するための道具にしているようだ。当時のこういうアイディアに甚く感心させられる。


写真 左:KlangFilm KL-307 25cm, 右:Altec 603B 38cm

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