| FRANK SINATRA “CLOSE TO YOU” | - 2018/02/15
- FRANK SINATRA “CLOSE TO YOU” CAPITOL W-789 (USA)
オリジナルのグレイ・ラベルで音が良い。
さて、このアルバムを探そうとすると意外に見つかりにくい。 といっても探す人などあまりお目にかかる事もない。 そこの所を書こうと思って、まずは三具さんの書かれたシナトラ本を読んでしまうと、本当の事が記されていて、なんだ私が書くことも無かったかと、ガッカリさせられるのだが、一応本の内容を紹介する。 「シナトラの数ある作品中、最も評価が低い物は?と問われれば、迷うことなくCLOSE TO YOUを挙げる。注目される事もなく、キャピトルの中で真っ先に廃盤・カタログから消えたのは、日米とも同様である」と。 しかし、次の言葉で救われる。 「このアルバムが面白くない、また水準以下かと言えば、これは断然否である」と。 結論が出てしまった感があるが、ここで気を取り直して先に進む。
私が昨日、値段を付けるために聴き始めて、なんという素敵な作品であったのだろうかと、ちょっと驚いた。 何しろ、ジャケットもあまり目に飛び込んでくるような印象ではないし、ネルソン・リドルのアレンジなのだが、しっとりし過ぎと言いたいほど、しっとりして派手にスイングする処もない。 しかし、それが非常にすーっと心に入ってくるのだから不思議なものである。
冒頭の「Close to you」 いつも君のそばにいたい、という切ない思いが聴く人の胸にしみる。
「Everything happens to me」など、しかし、私はうっとりするような素晴らしい曲に耳を傾けていて、ふと気が付いた。詩を写すとこんな感じ。 Black cats creep across my path.......。黒猫が私の前をゆっくり横切って.....。 ありゃりゃ、これって私の家の黒猫だ、おまけに私が家に帰ったら二階から落ちた。 I've telegraphed and phoned, sent an Air Mail Special, too You answer was "Goodbye", there was even postage due 電報も打った、電話も掛けた、エアメールも送った、しかし君の返事はグッドバイ、しかも料金不足の郵便で.... と他人から見ればどうでも良い片思いを、自嘲気味に歌った歌を、シナトラは丁寧に歌う。 本人には至って悲しい歌だけに、聴けば聴く程余計に可笑しい。私が家内から「あなたは疫病神」と言われたのが思い出される、という実にハマってしまった、よくできた歌。
そして、私が一番好きなのは「It’s easy to remember」 思い出すのは簡単さ、だって忘れないんだもの....。 という悲しい恋の歌を、シナトラは本当に聴く人に同調するように歌う。 切ない思い出を持って聴く人にはたまらない。
派手さはないが、失恋経験のある人には聴けば聴く程好きになる、シナトラの真の実力が出た玄人好みの傑作なのであった。
しかし、失恋経験あって、かつ玄人というと、そうそう聴く人はいないという事か?
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