HAL'S DIARY
オーナーのひとりごと。買付けの裏日記など。
きまぐれに更新しています。

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THE SWEDISH MODERN JAZZ GROUP “SAX APPEAL”
2019/02/24

THE SWEDISH MODERN JAZZ GROUP “SAX APPEAL” BARBEN BLP1004 (SWEDEN)

非常に珍しいアルバムである。
このアルバムはその後、英国のTEMPOレーベルからNILS LINDBERGのリーダーとして発売され、これもまた非常にレア盤でありマニアの垂涎盤である。
演奏はスエーデンの一流処が集まっただけに文句はない。
再発もされているわけでもあり内容について私がいう事はない。

さて話は、何よりジャケットの写真が素敵な事。
SAXとSEXYを掛けて、ジャケットにセクシーなお姉さんを持ってくるとは、なかなか良いんじゃない?!
でも今どきは こういう駄洒落はやらないかもしれないが、オジサンとして嬉しいのよ。

演奏はサックス4本なので、サックスを4本並べ、セクシーな美女がサックスに手を掛けているという構図である。では手を掛けた人は誰?バリトンだからLARS GULLINという事になる、まあ一番のハンサムだから仕方のない所でもある。

ところで、ジャズのアルバムにSAX APPEALというアルバムは結構あって、私がパッと思いついただけでも3・4枚ある。
まず。当アルバムの再発でNILS LINDBERG名義にしてTELESTARから出たもので、セクシーさは低い。
ベルギーではJACK SELS名義で RELAXレーベルから出たもので演奏もイケル、こちらは美女とサックス一本であるがセクシー度は高い。
イタリアにはGLAUCO MASETTIがFOXレーベルから“SAX & APPEAL”というEPを作っていて、ジャケットはちょっと不良っぽい女の子の写真がイカス。
日本においては今津雅仁先生が、同名のアルバムを自費出版したものがあり、内容は抜群であるが、大変なレア物である。
どれもアピールした物だけに内容も素晴らしいのは納得させられる。

こうして思うに、SAXとSEXYは掛け易いのであろう。
ま、結構な話であった

SONNY ROLLINS “TENOR MADNESS”
2019/02/23

SONNY ROLLINS “TENOR MADNESS” PRESTIGE 7047 (USA)

実に素晴らしい写真で、顔が写っていないにも関わらず、いかにもジャズマンという雰囲気が出た素晴らしい、これぞジャズの中のジャズ・ジャケットである。

演奏はRollinsのクァルテットに一曲だけColtraneが参加した珍盤であるが、昨今はロリンズの出来より、二人の共演ばかりが取り上げられる、というへんなアルバムである。
かつては、60〜70年代頃の話であるが、このアルバムの良い所はB−2My Reverie と、ついでA−2When your lover has goneのロリンズのバラードが良しとされていたので、コルトレーンとの共演はあまり重要視されていなかった。
それが 時代が進み、研究も進んで先生方は書くことが無くなったか、只管に共演の話ばかりを書くようになったのだが、その後に続くネットのブログなどもこの話の焦点、どちらが上手かったかという点においてのみ終始している。
あたかも、どちらかが上手くないかを書かないと、書き手として己の「格」が落ちると考えているかのように。
たった一曲のみの共演で、しかも急遽作られたセッションなのに。
何だろうね、どうでも良いのに。

さて、私が注目したのはこの写真。
勿論モデルはロリンズである。テナーの口をこちら側に向けているのはテナーを上に持ち上げているという事で、上手いショットであるが、しかし、見るほどに見事な写真である。
撮ったのはWeinstockとジャケに書かれているからにはワインストックなのであろう。
その時の同じ時のショットが無いかと調べたら出て来た。
正面から撮った写真である。なるほどと思える写真である。
こういうのがあると嬉しいねえ。ネットの利点でもある。

という事で、この作品は写真だけ取っても意味があるのである。
バラードは良いし、コルトレーンとの共演も聴けるし、コルトレーンの中にロリンズの影響も感ずることが出来るし、文句のない作品である。

LESTER YOUNG “THE JAZZ GIANTS ‘56”
2019/02/20

LESTER YOUNG “THE JAZZ GIANTS ‘56” NORGRAN MGN-1056 (USA)

黄色のラベルの盤に、やや黄土色っぽさを残した、くすんだ茶色のジャケットのオリジナル盤。
私は見ていると胸が熱くなる。
ブルーノート盤などとは違った、ある種の悲しみを伴った、胸に迫るレスターヤングの名盤である。

以前のスイングジャーナルには50年代のレスターヤングを、あの大和先生や粟村先生をして聴くべきものはない、と言わしめた作品群であるが、「Press & Teddy」そして当アルバムの「Jazz Giants 56」は別格としていたのだから、厳しい耳を持った当時の先生方にも心揺さぶられるものがあったのであろう。

確かに、Press & Teddyは誰の耳においても大傑作であるのだが、当アルバムもまた傑作あると私は断言する。
Press & Teddyは1956年1月13日 Lester, Teddy Wilson, Gene Ramey, Jo Jonesのワンホーンである。
一方、当アルバムはその前日1月12日 Lester, Teddy Wilson, Gene Ramey, Jo Jones,と同様のメンツにRoy Eldridge(tp)とVic Dickenson(tb)が加わっただけである。
やはり時期的にもたった一日違いでもあり、内容も充実していると断言できるものである。

聴けば、正にPress & Teddyの続編とでも言いたくなるTeddy Wilsonとの、目と目を合わせて演奏したからこそ出てくるような、聴く人の心にぐっと迫る哀愁が素晴らしい内容である。
続くトランペットとトロンボーンの演奏も期待を裏切ることはない。
B面などもかつての彼の腕前を彷彿とさせる音の運びで、誠に元気いっぱい、これほど充実していようとは。
親分が元気なら皆も元気、Jo Jonesのドラムも他の演奏に無い程元気で、嬉しくなってしまう。
Press & Teddyが気に入った方なら、必ず満足されるに違いない。

ところで、50年代のLesterの作品は毛嫌いするほど悪いのかと思うと、全くそんな事はなくて、LP時代の演奏としては、どれも満足できる内容であると、私は言いたい。
かつてのAladdinなどの78回転SPが入手出来て聴く装置がある方々は、かつての先生方と同様な発言になるとは思うのであるが、時代が進んでしまった現在それは殆ど不可能な話でもある。

只管納豆
2019/02/19

家内が豆腐を買いに行ったら、こんな納豆を見つけたと買って来た。
只管納豆。
味は大変に美味しいものであった。

なにしろ豆腐で有名な三の助豆腐が作ったものだけに流石であった。
でもちょっと高いのが欠点でもある。

ZOOT SIMS "COOKIN'"
2019/02/18

ZOOT SIMS "COOKIN' " FONTANA 683 273JCY (ITALY)

アルバムの内容としては、何度か日記にも掲載したので、あまりくどくどと言う事はない。
今回の要件は、ただ一つ、それはイタリア盤だという事。
なにしろ、今まで何枚というこの作品に触れてきた、しかし、イタリア盤はお目にかかった事が無かった。
それがあったんだな。

仕入部長がイタリアから送って来た荷物を見ていたら、COOKIN'が出て来た。
そうかと、眺めていて、ふと違和感があった。
なぜならジャケットのコーティングに皺があったから。
皺が寄ったジャケットはイタリアにしか生まれない。
ひょっとしてと思いラベル等も眺めたら、案の定イタリア製だった。
驚いた。

さて、話は変わって、ジャケットのコーティングの皺の事。
イタリア在住の仲の良かったマニアに聴いた話、かつて一度書いたかもしれないが、今回はもう一度説明しておかなければなるまい。そうでなければ、読者がこのOOKIN'に興味を示さないであろうから。

1950年代の終わり頃からイタリアにおいても各レコード会社もアメリカのブルーノートやプレステイジ・レーベルのような、あの光り輝くコーティングされたジャケットカバーを作りたいと考えた。
所が、どうしてもコーティングに皺が寄ってしまう。
薄い紙いわゆるペラジャケならコーティングが出来る。
しかし、アメリカのような厚いボール紙にコーティングすると、必ず皺が寄ってしまったのだそうだ。
結局、その後厚紙のコーティングは諦めたそうだ。
イタリアだけではない、ヨーロッパは皆ペラジャケである。
従って、皺の寄ったジャケットこそ紛れないオリジナルの証拠なのである。

言って見れば、50年代後半のアメリカの技術はとてつもなく進んでいたのだ、それに気づく事も無くアメリカはコストダウンを優先する事ばかりに注意が行き、世界に輝くジャケット作成技術を音楽産業の中から捨てるのである。
厚紙にコーティングを掛けて、それを曲げ、その裏側にライナーノーツの紙を貼るという、見事なジャケットは、いくら頑張っても本物は出来ないのだ。

JULIAN DASH “A PORTRAIT OF JILIAN DASH
2019/02/17

JULIAN DASH “A PORTRAIT OF JILIAN DASH” MASTER JAZZ RECORDINGS MJR8106 (USA)

ちょっと珍しい、かつマイナーなアルバムである。
ミュージシャンもマイナーと書こうと思って、裏のライナーを読んでいたら、major tenor saxophonistと書かれていたので、私もそれに倣う。といって彼の作品はこれ一枚であると思う。
だが、かつては彼のテナーサックスの味に惚れ込んだマニアが時々探していたのだ。
最近はこういう珍盤を探す人が減った気がする。

このアルバム、ギターが活躍している、随所にというか、いやずっと出てくる。
Jimmy Shirleyというジャズ、ソウル、ブルース、ジャイブと言った所のギタリストで、どうもジュリアンさんが気に入っていたギタリストらしい。
そういえば、ジュリアンさんのスタイルもまた、ジャズ、ブルース、ジャイブと何でもイケル感じで、ジャズはスイング・スタイルと言った方が合っているようでもある。
だが、ムード・テナーでオジサンの好きな感じ。

ところで、この盤を聴いていたらA−2に「Taxedo Junction」という曲が出て来た。あれと思って眺めると作曲の所に彼の名前がある、まさかジミードーシーなんかじゃないのかと疑問に思い、さっそく調べてみた。
彼一人では無く、仲間の3人で作曲したらしい。
これほどの有名な曲を作った凄い人だったんだね。
感心してしまった。
という事で、作曲者本人の演奏を有難くきかせて頂いた。

良い味わいのアルバムであった。

JOHN LEWIS “FOR MUSICIANS ONLY”
2019/02/13

JOHN LEWIS “FOR MUSICIANS ONLY” VERVE MGVV9018 (HOLAND)

何だか見た事のないジャケットだなあ、とよく見ていたら、ジョン・ルイスのVERVEの名盤「フォー・ミュージシャンズ・オンリー」だった。
オランダ盤で、発売はどうもかなり古い物らしい。

ジャケットのデザインは、石造りの壁にJOHN LEWIS とか RAY BROWNとか落書調で書いて、ドアにFOR MUSICIANS ONLY と、ぶら下げてあるのが面白い。
大いに遊び心を出して制作されている。

いやいや、いいジャケットだなあ。

LARRY RUSSELL “& THE MEXICAN JAZZ REVOLUTION”
2019/02/12

LARRY RUSSELL “& THE MEXICAN JAZZ REVOLUTION” 自主製作 LP-1 (MEXICO)

随分前アメリカに行った時に購入したものだが、ちょっと引っかかる所があってそのまま持っていた。
なぜなら、あまり有名なアルバムではないが演奏が良い、それでその内誰か騒ぐだろうと思ったのだ。
しかし20年も経ったが、ついぞこのアルバムの事はどこにも出て来ない。
このままでは静かに消えてしまうのかと、私もこの辺りで良いかと考え、せめて日記にでも出す事にした。

リーダーのLARRY RUSSELLという人はサックス・プレイヤーでアルトでもテナーでもなんでも吹くらしい器用貧乏なアメリカ人、それがメキシコに行きアルバムを作ったのがこれだという。
他のメンツは全員メキシコのそれなりに有名なプレイヤーなのだと、当時向うで私に売りつけたメキシコ人に聞かされた。
ムーディーなWILLOW WEEP FOR MEなど聴かせるアルトサックスが素敵。
高速のST.THOMASなどバリバリとやっている。
B面になると俄然、実力発揮か?
MANHANA DE CARNIVALなどソロでそろそろと入って行き、観客を焦らせてから、ADOLFO SAHAGUNのトランペットが強くも哀愁漂う良い感じ。メキシコのバックのリズムも徐々にノリが出てくる。
そういえばALAN HOUSERの「NO SAMBA」を彷彿とさせるサウンドである。
ラストのMEIDEN VOYAGEは力作。

メキシコのメンバーはシャイなのかちょっと引いた感じながら、哀愁あるサウンドでサックスを支える。
リズムはラテンのリズムが根底にあるであろうか、素晴らしい。

と、言って見れば、ちょっと引いた感じのALAN HOUSERという所である。
面白い作品である。
私もこれから二度と見ることは無いかも知れない。


(写真は、ファクトリー・シールなので変な光などあってうまく写っていない)

VA “2nd ESQUIRE CONCERT”
2019/02/10

VA “2nd ESQUIRE CONCERT” FOR DISCRIMINATE COLLECTIOR FDC 1008/9 (ITALY)

ちょっとゲテモノ扱いされているか、海賊版として無視されているアルバムでもあるが、最近は、殆ど見ることも無くなった。
だが、内容は大したものである。

まず、当作品の概要から説明すると、遡る事70余年、1945年1月17日、第2次大戦は終わっていないが、サイパン・グアム・レイテ沖海戦は勝利、東条内閣総辞職とほぼ米国内では勝利が確信されていた時である。
この年、ロサンゼルスで批評家投票で金賞を獲得したエリントンを中心に、ビリー・ホリディ、アニタ・オデイ、ウイリー・スミス、アート・テイタム、等々豪華メンバーが共演した。
同時にルイ・アームストロング、バンク・ジョンソンがニューオリンズから、更にニューヨークではベニー・グットマン、ミルドレット・ベイリーが出演しているという、考えられぬ豪華なメンバーの大都市3か所からの、同時開催で、放送電波に乗り史上初の三元放送ジャム・セッションが行われたとある。
何と贅沢なジャズ・セッションで、ジャズの全盛期だけにワクワクする内容である。

そんなジャズ・セッションを2枚のレコードにプレスされたものが当作品である。
作られたのは、どうもラベルに貼られた収入印紙から察するとイタリアであろうか。
1枚目はJAMES P.JOHNSONの見事なピアノ・プレイ。
LOUIS ARMSTRONG、J.C.HIGGINBOTHAM、BUNK JOHNSON、BENNY GOODMAN等。
2枚目はDUKE ELLINGTONと関係者の好演奏。
若き日のANITA O’DAYの味の良い歌声も聴ける。

戦時中といえど豊かさを満喫していた米国の、ジャズという当時先端の音楽シーンが垣間見え、また気持ち良く聴くことが出来る重要な記録である。
音質の良さも加えておこう。

SANDY DENNY “SANDY”
2019/02/09

SANDY DENNY “SANDY” ISLAND ILPS 9207 UK

値付けするレコードを漁っていて、ふと目に留まった。
これは懐かしいなあ、と思いながら手に取ると、おや!綺麗なオリジナル盤ではないか?
ならば、さっそく聴いてみようと思ったのが午前中の話、それからもう4時すぎ、誰も客がいないとずっと聴いている。
これね、良いんだな。
私はジャズ派だからロックなどは極力避けている、という事にしている、だが、音楽好きとしては、心にひっかりのあるアルバムなどはどうしても聴いてしまう。
彼女の声は優しい、ブリティッシュ・フォークの歌手だからとは思うのだが、彼女の声は高い音でも優しさがふわっと迫る。
そこが堪らない、通常高音に行くと音が強くなって広げた両手を腰の辺りから地面を押すような仕草になってさ、「ありの〜ままで〜」みたいな。
あれじゃなくて、ふわっとした高音。
まあ、それがきっと彼女の歌声の素敵な所なのかな?
そして、やっぱりフォークの歌なんだ。

私は ジャズ専門だから、わからないけど、彼女の歌はいいなあ。
苦しいとか悲しいとか思っている人達よ、皆わたしの元に来なさい、と言っているようだ、
それが31歳で若死にしてしまったそうだ。
悲しいけれど、彼女は何枚もアルバムを残したんだからまだ救われる。

我は70年も生きたが、何も残してない。生きる事の時間の長さは何の意味もない。
虎は死して皮を残し、と言うけれど、凡人はただ消える。
最後はどうでもいい話になるなあ。

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